2005年08月20日     このエントリーをはてなにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマーク

時間管理術の七つの嘘 その1 : 優先順位をつければうまくいくのか? (4)

「何を優先するか」 を決める方法について・・・、続きです。

今回は「重要性」と「緊急性」以外の見方をしている人を紹介します。


登場するのは、ケン・ブランチャード氏です。
「1分間○○○」というタイトルの本をたくさん書いている著者です。

  私の書評記事でも2冊取り上げています。
   1分間マネジャーの時間管理
   1分間自己管理です。
  どちらも良い本です。この著者は今後も書評で取り上げていく予定です。


このケン・ブランチャード氏と スティーブ・ゴットリー氏の共著の
「1分間自己管理」という本では、優先順位について次のような
分類法が述べられています。

『』内が引用です)

 ・やりたいし、やらなければならないこと
  ・やりたくないが、やらなければならないこと
  ・やる必要はないが、やりたいこと
  ・やる必要もないし、やりたくもないこと   

   (38ページ 1行目より)

また、この4つのうち、

  最初の2つが『イエスというべき活動』
  3つめが『どちらともいえない活動』
  最後が『ノーというべき活動』

と述べられています。(同 38ページより)

本の中にはこれを表で表したものがあるのですが、
ちょっと分かりにくいので、私がマトリックス形式に
置き換えたものを下に示します。

1分間自己管理マトリックス.jpg


この分類では、仕事を

 自分がやりたいか / やりたくないか
 やらなければならないか / やる必要はないか

という2つの要素で分類しています。

 前者は、主に自分の中での重要性
 後者は、主に周りとの関係での重要性

と言ってもいいと思います。

この分類は、とても潔い感じがします

「やらなければならないこと」は、やらなければならない。
ウダウダ言わずにとっととやれ! という感じでしょうか。


この考え方は使い方によっては、とても有効だと思います。

この本の中では、これ以上深くは述べられていませんので、
有効な理由として私が感じたものを2つ述べておきます。



1つは、この考え方を取り入れることで、仕事をしていく中で
起こりがちな無用なトラブルを避けられるということです。
(この記事の第2回で述べた「デキ男」問題も避けられます。)

どういうことかと言うと・・・、

 前々回述べたような「重要性」と「緊急性」のマトリックスによる
 分類を使って、「7つの習慣」的にB領域を重視したとします。
 (B領域は「重要だが緊急性が低いこと」です。)

 結果として、C領域は優先されないわけです。
 (C領域は「重要でないが、緊急性の高いこと」です。)

 このC領域に入る仕事は、別の見方をすると

 ・周りの人はやってほしいと思っている
 ・でも、本人にとっては重要ではない

 というものが多いです。


 これをほったらかしにしておくと、組織内でのトラブルや、
 人間関係のトラブルを起こしてしまいがちなのです。

 
   例えば・・・
   あなたが子供だったころ、こんなことはありませんでしたか?

     学校で掃除の時間についつい遊んでしまった(男子生徒に多い・・)。
     (掃除は「やりたくないこと」の1つです。) 
          ↓
     女子生徒が怒りだす。
          ↓
     男子生徒は遊びをやめない。
          ↓
     先生が登場する。
          ↓
     ホームルームでこのことについて議論が始まる・・・。


 今の例は、ちょっと単純すぎたかもしれませんが・・・(^_^;)

 こんな、「やりたくない」ちょっとしたことをやらなかったために
 トラブルを引き起こした例は、数限りなくあります。
 私が原因で起こったトラブルは、幸いにして軽いものばかりでしたが、
 会社の中では、重大なトラブルに発展した例がいくつもありました。

 某自動車会社の「クレーム隠し」なども、原因をたどっていくと、
 こんな理由に行き当たるのではないか、と私は推測しています。


こういうトラブルを避けるためには、

「やりたい/やらなければならない」の分類を使い、
「やらなければならない」ことは、とりあえずやっておく。

というやり方が有効です。
こうすることで多くの無用なトラブルは避けられます。

これは、「重要性」「緊急性」だけでは抜けてしまいがちな見方です。


しかし、これでは「やることが」増える一方なのでは ?
そんな疑問も出てきます。

それに対する答えの一部は、私がこの分類を有効だと思う、
もう1つの理由の中にあると思います。



そのもう1つの理由を述べます。
この分類を意識しながら仕事をすると、

 「仕事のしくみ」について積極的に考えるようになる

という傾向があるのです。
これはどういうことか、説明していきましょう。

私の場合、この分類を意識し始めてから、予想以上に仕事の能率が
上がりました。

最初は「仕事を先延ばししない」のがその原因かと思ったのですが、
どうも、それだけでは説明がつかないのです。

よく考えてみると次に述べるようなメカニズムが働いていたのです。

 ちょっと考えてみてください。

ある仕事を、「やりたくない」という意識を持つと、
その仕事を先延ばしたくなりますよね。


では、「やりたくない」×「やらなければならない」という
意識を強くするとどうなるでしょうか ?


私の経験では、

 「やりたくないことでも、いずれやらなきゃいけない。
  だったら、さっさとやってしまおう!」
  と自分にハッパをかける効果。

が、まずありました。先延ばしを防ぐためには有効です。
そしてもう1つ、

 「やりたくない仕事だから、できるだけ早く終わらせたい。」
 「こんな仕事はできるだけ手を抜いてやりたい!」
 「どうやったら手を抜きながら素早く仕上げられるだろうか?」
  と、自分の意識を変える効果。

そんな効果もあったのです。


  「やりたくない」×「やらなければならない」
           ↓
   「前向きに手を抜く方法を探す

という方向に向かったわけです。


実際、いろいろ工夫して「ストレスの素」「めんどくさいことの素」を
減らしていく作業は、結構楽しかったですね。

「やりたくないこと」をやるのは、いやいややっているわけですから、
 工夫してやろうという意識はなかなか出てきません。しかし、
「いやなことを減らす」ために工夫するのは、やる気が出るのです。


結果として、仕事の能率は大きく上がりました。
ちょっとした意識の違いで、結果が大きく変わったのです。


このような、ある意味開き直りのような境地は、「重要性」×「緊急性」の
考え方からは絶対に出てこないと思います。

どうしても「やらなければならない」「逃げられない」と意識することが、
それを必要最低限にすませて、「やりたいこと」をやれるようにしよう、
という方向への切り替わりを生んだのです。

(「重要性」「緊急性」でのC領域の仕事を、「先延ばし」や「無視」
 ではなく、「圧縮」するというイメージです。)


   ちなみに・・・私の場合、「重要性」×「緊急性」で
   考えていた間は、どうしても先延ばし癖が直りませんでした。

   A領域・B領域の仕事が片付くまでは、C領域の仕事をする気が
   なかなか起こらないのです。そうすると、また次の日に持ち越して
   ズルズル・・・といくわけです。
   こういうときはストレスが溜まりやすかったですね・・・(涙
   


このように、「やりたい/やらなければならない」で分ける考え方は、
意外な効果を私にもたらしました。

「重要性」「緊急性」で分けるだけでは欠けているものをカバーする
ことができ、とても有効な考え方だと思います。



しかし、この分類法には致命的な欠点があります。
時間についての観点がまったく入っていないのです・・・。

だからといって、K・ブランチャードの考え方が間違っているわけではなく、
これはこれで素晴らしい考え方だと思います。


それでは、私達はいくつかある考え方について、
どう対処したらよいのでしょうか?


私は、こう考えます。これまでに紹介したものを含め、「何を優先するか」
についての判断基準は、それぞれ良いところ、悪いところがあります。


 すべてをカバーする考え方は無いのです。


 これはとても重要なことです。


 1つですべてをカバーできている考え方は無いのです。

 絶対にありません!


時間管理の本の中には、
今までのやり方は間違っている! 優先順位はこう考えるべきだ! 
と言って、別の固定した考えを押しつける本もあります。

それは間違いなく、

  「嘘つき」「単なる思い込み」

  にすぎません。

  1つですべてをカバーできている考え方は無いのです。


また、そんな考え方を作ったとしても、それは複雑すぎて使い物には
なりません。なぜなら、判断に必要な要素は他にもいくつかあるからです。
(それらの要素についてはこのシリーズの最後でも述べる予定です。)


私達ができることは、複数の考え方を頭に入れておき、
複数の視点から判断していくこと。それしかないのです。


そういう意味では、先人が述べていることをできるだけ多く
知っておくのは良いことだと思います。

  実は、私が異常なほどに時間管理に関する本を収集・読破しようと
  している理由の1つはこれなのです。



このシリーズはもう少し続きます。
今度は「カエル」と「GTD」を取り上げておこうと思っています。


参考文献
ケン・ブランチャード、スティーブ・ゴットリー (田辺希久子訳)
1分間自己管理:「先延ばし癖」を克服する3つの原則.ダイヤモンド社,2004


1分間自己管理

スティーブン・R・コヴィー (ジェームス スキナー、川西 茂訳)
7つの習慣:成功には原則があった!.キング・ベアー出版,1996

7つの習慣―成功には原則があった!


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Posted by 水口和彦 at 15:39│Comments(0)TrackBack(1)

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1分間自己管理【コーチング情報サイト 「コーチの森」 ブログ版】at 2006年05月08日 14:41
 

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