2005年08月31日     このエントリーをはてなにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマーク

時間管理術の7つの嘘 その2 : 80:20の法則に従えば、うまくいくのか? (4)

80:20の法則パレートの法則)が、どんな仕事でも
適用できるとは限らない!

ということについて前回考えてみました。


今回は、80:20の法則が適用できる場合には、どうすれば
効果的に仕事ができるのか? について考えてみます。

80:20の法則が使える場合の、「できる」20%の人達、
「スーパー20%」の行動パターンが分かるかもしれません。


私は、ポイントは「臨界点」だと思います。

仕事を、「臨界点」のある仕事と、無い仕事に分けて考えると
うまく説明できることが多いのです。



まず、臨界点の無い仕事とは、やればやった分だけ成果に結びつく
仕事
です。

例えば、何か決まったものを作る仕事や、定型的な事務処理をこなす
場合などが、これに当てはまります。
(昨日述べたような、80:20の法則が適用できない場合です。)

この場合、仕事に投入した時間と、成果の関係は直線に近い形に
なると考えられます。


臨界点の無い仕事.jpg

このような仕事の場合、要領のいい人や、頑張った人は、
より多くの成果を上げることができますが、16倍もの差がつく
ことはほとんどないでしょう。

人によって傾きは違うものの、やればやっただけの成果がでる。
という状況です。


これに対して、臨界点のある仕事とは、

あるポイントを超えるまでまったく成果が出ない仕事

のことをいいます。

図にすると、こんな感じです。

臨界点のある仕事.jpg


80:20の法則が成り立つ仕事、例えば営業職の場合を考えてみます。

営業の仕事の成果は、「物やサービスがどれだけ売れたか」です。
いくらがんばっても、成約できなければ成果はゼロです。

上のグラフの赤のラインがそれを表しています。

見込客に対してアプローチしている段階では、成果はゼロ、
成約できた時点で初めて売上という成果が生まれます。

この、初めて成果が出るポイントが「臨界点」なのです。

   このポイントを説明するのに、「臨界点」と「閾値」の
   どちらの言葉を使おうか迷ったのですが、より広く
   知られていそうな、「臨界点」を使うことにしました。
   このポイントを「閾値(Threshold)」と考えて頂いても
   構いません。


一度成約できた顧客に、さらに時間を投入すると、継続して購入
してくれる可能性があるので、臨界点を超えたあとは、右上がりの
線になるわけです。


80:20の法則が適用できる仕事は、この臨界点があるのが特徴です。

  よく言われるセールスでの例(売上の80%は20%のセールスマンに
  よって得られる)は、まさに、このパターンです。

  私が経験した例(製品売上の80%は、20%の開発者または開発
  チームによるものである)も、これと同じです。
  (がんばっても、売れなければ成果(売上)はゼロですから。)


もう1回グラフを出します。

臨界点のある仕事.jpg

このグラフの青い点線は、何を意味しているのか?
これは、私が精神論ラインと名づけたものです。

ちょっと脱線しますが、重要なことなので説明します。

  この精神論ラインは、
  「成約には結びつかなかったけど、こんなにがんばったんだ!」
  と自分をなぐさめたくなる気持ちを表しています。
  
  実際は成果が出ていないのに、自分を無理に納得させようと
  することを繰り返していると、「時間を投入したこと」自体に
  価値があると勘違いするようになってしまうのです。
  (昔の私がそうでした・・・。)

  実際は成果はゼロなのに、何らかの成果が出たような気に
  なってしまう。それを表しているのが、青の点線です。
  
  これは危険な勘違いです。この考えにとりつかれると、
  80:20の法則どころではありません。
  ムダな仕事をやって、成果が出た気になるわけですから。


 ※もちろん、成果が出ない仕事の中にも、次の仕事に結びつく
  ノウハウや経験はあるでしょう。でも、それらは、次の仕事で
  結果が出て初めて成果になるのです。

  結果に結びつかないノウハウや経験、あるいは人間的な成長、
  それら自体は、「成果を上げる」ことに対しては何の価値も
  持たないと私は考えます。あくまでも、次に結びつけてこそ
  価値があるのです。

  精神論を重視しすぎると、こういうワナにおちいりがちに
  なると思います。

  実際に、私が仕事で出会った人の中には、こういう考え方をする
  人もいました。おそらく、あなたの周りにも何人かいるでしょう。。



  実は、私は今はこういう考え方をとても嫌っています。
  自分をごまかすことは、「ストレスの先送り」だと思います。

  成果が出ていないことは、本当は自分が一番分かっています。
  それをごまかすと、将来、より大きなストレスを招きいれる
  ことになります。

  成果は成果、ダメなときはダメだった、と割り切る考え方の
  方が、長い目で見るとストレスが少なくなると思います。
  (少なくとも私の経験ではそうでした。)

  (気をつけていただきたいのは、精神論がすべてダメだと
   言っているわけではなく「自分をごまかすこと」がダメと
   いうか、ストレスの元になるよ、ということです。)



脱線してしまいました・・・。


話は戻って、
臨界点のある仕事の場合、どうするのが効果的なのか?








スイマセン。長くなっちゃったので、
次回に持ち越します・・・。


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Posted by 水口和彦 at 22:48│Comments(0)TrackBack(0)

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