2007年03月30日     このエントリーをはてなにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマーク

「コミットする」 ということ


こんにちは。水口です。

昨日の記事に関連して、今日は「コミットする」ということに
ついて考えてみたいと思います。


■ コミットしている仕事、していない仕事

  (知らない方のために再度解説)
  「GTD」 というのは、「Getting Things Done(仕事を成し遂げる)」 
  という言葉の略で、仕事を成し遂げる技術という本が出ています。

昨日の記事ではこういうことを書きました。

 「現物管理」が必要なタスク(サブタスク) → GTD的ワークフローが有効
  (書類やメールの処理など)

 いつかやれればいい、いつかやりたいタスク → どちらでもいい
  (プライベートにも仕事にもこういうタスクはある)

 絶対納期に間に合わせるタスク      → GTD的手法は向かない
  (「コミット」しているタスク)

  ※ タスク = 時間が決まっていない仕事
    (納期はあるけど、いつやるかは自分で決められる仕事)
    という意味です。


昨日の記事でも 『 「コミット」しているタスク 』 という表現を
使ったのですが、コミットするとはどういうことなのか? 
私が基本としている考え方を紹介します。


■ 「コミットする」 とは?

先月のメルマガにも書きましたが、コミット(commit)という言葉には、
いくつかの意味があります。

  ちなみに、コミット(commit)という言葉の名詞形が、C・ゴーン氏によって
  メジャーになった 『コミットメント(commitment)』 という言葉です。

「コミット」の意味は、例えば・・・・

 〔特定の目的・責務を〕引き受ける; 〔…を〕約束する
 〈…すると〉約束する
 〔…に〕専心する,傾倒する
 (新英和中辞典 第6版〔研究社〕より一部を引用)

 (1)かかわる  (2)確約する
 (国立国語研究所 「外来語」言い換え提案 より引用)

と言われています。


ここで言う「コミットする」とは
ある仕事を、ある期限までに「必ずやる」という約束をすることです。

・・・こう聞くと、「仕事はコミットするのが当然じゃない?」
  と思う方もいるかもしれません。
  (特に顧客と直接接する業務が多い方はそうだと思います)

  しかし、仕事にはコミットしていないものもあります。
  例えば、「書類の保管棚を整理し直す」 という仕事は、
  特別な事情がない限り、明確なコミットはないものです。

また、「コミット」は「人」と約束することが多いですが、
「自分と約束する」という場合もあります。

立ち上げたばかりの会社で、まだ顧客がいない場合などは、
「顧客との約束」ではなく、自分たちの計画にそって動くことが
多いわけですが、これが「自分との約束」の例です。


■ 「コミットする」ときに確認すべきもの

この「コミットする」というのが、どういうことか、
もう少し考えてみたいと思います。


例えば、製造業の営業部門では・・・

顧客から受注することは、「コミットする」ことです。

注文を受けるからには、

・ 約束した納期に   ・ 約束した物を   ・ 約束した数量

納めなくてはいけません。


では、その「コミット」が発生する瞬間、つまり、
受注するときには、何をすべきでしょうか?

当然、その注文内容を、その納期に納められるかどうか、
確認できていないといけません。

つまり、

・在庫を確保する
 (在庫で対応できることを確認すると共に、
  その在庫を他に出荷しないようにする)

または、

・生産が間に合うことを確認する
 (そして生産指示を出す)

ことができていなければ、お客様と「約束」はできません。

 ※もちろん受注内容によっては、確認しなくても大丈夫な場合も
   あるでしょうが、それは経験による確信があるために、これらの
   確認プロセスを省略しているということです。


ここまでは、当たり前の話です。


では、私たちが行う「仕事」ではどうでしょうか?

「ある仕事を引き受ける」というのは、

・ 約束した納期に   ・ 約束した仕事を   ・ 約束した内容で

完了します、とコミットすることです。


では、このコミットをするためには、何が必要でしょうか?


■ コミットするためには、○○○○を知ることが必要

ある仕事に対して、「コミットする」ためには、何が必要でしょうか?

もちろん、「その仕事をやり遂げよう」 という意志も必要ですが、
それだけではなく、その仕事を本当に納期までにやり遂げられるか
どうか確認することが必要なのです。

そして、残念ながら多くの人は、この確認を自分の「カン」だけで
行っています。そのため・・・、

 ・やれると思ったのに、実際は時間が足りなくて
  後になってから後悔する

 ・または・・・長時間残業してなんとか乗り切る

といった状況になることがあります。また、逆パターンとして、

 ・今抱えている仕事が気になっているために、実際はやれるのに、
  「やれない」という思い込みを持ってしまう
  (何でも「無理っす」症候群 とでも呼びましょうか・・・)

という問題も起こります。また、

 ・やれるかどうか確信が持てないので、
  その仕事を保留するしかない

という状況もあります。これは組織全体として見た場合の
スピードを著しく低下させます(「何でも先送り体質」 です)。


本当にコミットするためには、自分の時間リソース
(自分の持ち時間・空き時間)を知ることが必須です。

「実は他の仕事があったので、できませんでした」
なんて言い訳は、コミットした仕事には使えません。
(たとえ、顧客と直接接する仕事でなくても同じです)


厳しい言い方をすれば・・・「コミットした仕事」と「していない仕事」を
はっきり区別できないまま自分の仕事を管理しても、それは
「自己満足」のレベルから抜け出てはいないのかもしれません。

本当の「仕事人」になるためには、
この部分が重要なのではないか・・・私は経験上、そう思います。


【重要ポイント】
 コミットすることは、自分の時間リソースを知ることと、
 セットでなければならない。

 そのためには自分の持ち時間・空き時間情報の元、つまり、
 アポイント(時間指定タスク)・タスク(時間流動的タスク)情報
 を整理し、常に更新しておくべきである。


これが、私の時間管理の基本にある考え方のひとつです。

これを手間をかけずにやるために、手帳のフォーマットの工夫や、
「すぐ書く」「頻繁に見る」という原則が必要と考えているわけです。

 ※ もちろん、手帳やこの原則には、自分の頭をスッキリさせたり、
   無用なストレスを感じないで済むように、という目的もあります。
   こちらの目的も、とても重要なことです。




「コミット」と少し関連しますが・・・ 

「約束」という言葉の重みって、下がってるような気がします。
これは便利になった反動かもしれません。

例えば、携帯が無かったころの待ち合わせは、
「遅れちゃいけない」というプレッシャーが高かったものです。
(相手はその場所でちゃんと待っていないといけませんから)

もちろん、待ち合わせなどが便利になったのはいいことですが、
そのせいで「約束」を軽く考えないよう、気をつけるべき・・・
というのが現代人に必要なことかもしれませんね。


  というわけで・・・
  あなたがクリックするという「コミット」に期待してます・・・(笑
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今日の記事作成時間は60分でした。

では、また明日!



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Posted by 水口和彦 at 14:23│Comments(2)TrackBack(0)

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この記事へのコメント
水口さま
 本ブログから、いつも有意義な情報をいただき、ありがとうございます。(クリックをコンテンツ毎にしたいぐらいです。笑)
 
 『「コミットした仕事」と「していない仕事」をはっきり区別できないまま』では、仕事は管理できないのでは、とのご指摘は、まさにそのとおりで、事実、どうやって多種多様な仕事に対し、適切な時間配分をするかが悩みの種です。
 重要な仕事にリソースを振り向けられない。あるいは、さほど重要でないにもかかわらず、こだわってリソースを割いてしまう、など改善しなければならない課題が多々あり、なんとか解決していきたいと思います。

 今後もよきアドバイスをよろしくお願いします。
Posted by Y.U. at 2007年03月31日 08:39
Y.U.さん、こんにちは。ありがとうございます。

私自身もそうですが・・・、

・コミットした仕事・していない仕事 が不明確
・「すべきではない」のに、してしまったコミット

などなど、「コミット」に無自覚だと起こりやすい
問題はいろいろあるように思います。

このへんは、続けて考えていきたいと思いますので、
ご参考にしていただけるとうれしいです。

Posted by 水口@時間管理術研究所 at 2007年03月31日 14:14
 

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