2007年09月09日     このエントリーをはてなにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマーク

「挑戦的」継続は才能を凌駕する


こんにちは。水口です。

今日は、紹介したいと思いながらも紹介できていなかった、
とてもカッコいい職人の話です。


■ 靴職人 山口千尋さん

NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」という番組(9/4放送の回)で、
靴職人の山口千尋さんという方(男性です)が紹介されていました。

この回の概要はこちらです(NHKのサイトです)

この方は、イギリスで靴作りを学び、現在は日本でオーダーメイドの
靴作りをされています。

私は手作りで革靴を作っている映像は初めて見たのですが、
革を引っ張ったり、叩いたりと、かなり力も神経も使いそうな仕事でした。

それで、山口さんの作る靴ですが・・・、本当にすごいです。

もちろん映像を通してしか見ていないのですが、
「靴ってこんなにきれいなものなんだ」と認識を改めました。

言葉では表現しきれないのですが、革には少しのシワもなく、
均一にピンと張っていて、それでいて注文主の足の形にぴったり
合っているわけです。

  この回は月曜日の深夜(火曜午前)1:40から再放送があるので、
  「職人技」が好きな方は、ぜひご覧になってみてください。

この山口さん、職人としてかなりカッコいいのですが、
それだけでなく、とてもいいことをおっしゃっています。


■ 「挑戦的」継続・・・とは?

上記のサイトからの引用です。(『』内は引用です)
 
『 職人の仕事は、多かれ少なかれ同じ作業の繰り返しになる。まして、
 山口の靴作りのように、ほとんどを手作業で行う場合はなおさらである。
 それを「常に挑戦しながら、緊張感を持って行う」のが山口の流儀だ。
 「単なる流れ作業として、漫然と繰り返す」のでは、職人としての成長も
 ないし、結果的によい靴も作れないという。 』


このことは、「 『挑戦的』継続 」と番組中で紹介されていました。

常に、「より質の高い仕事を」という意識で仕事をされているわけです。

山口さんが、技術的に難しいオーダーメイドの靴に挑戦し続けるのも、
そのためだそうです。


■ 質を高め続けるために必要なもの

この「挑戦的」継続という話は、とても示唆に富んでいます。

その示唆のひとつは、言うまでもなく「継続していくことが高い質を生む」と
いうことです。

「継続は力なり」とよく言いますし、継続していくことは、それなりに
仕事の質を上げてくれるものです。

しかし、上に引用したように「漫然とくり返す」よりも、常に挑戦し続ける
ことが、より大きな成長につながるわけですね。

もちろん、当たり前ですが、なかなかできることではありません。


例えば、「仕事の質を高める」ことの例として、「精度を上げる」ことを
考えてみると、こんな感じです。

  例えば、私が知っている、ある加工技術を例に上げると、

  ±0.5mmの精度を±0.3mmに上げる → 充分できる
  ±0.3mmの精度を±0.2mmに上げる → がんばればできる
  ±0.2mmの精度を±0.1mmに上げる → 維持することが困難
  ±0.1mmの精度を±0.05mmに上げる→ まず無理

  という感じです。分かりにくいですかね(笑)

  感覚的には、加工の精度を1桁(10倍)高めるのは、
  100倍くらい大変という感じです。
  ±1mmを±0.01mmにするのは1万倍大変です。
  (あくまでも感覚ですが)


何が言いたいかと言うと・・・、

・仕事の質を高めていけば、お客さんは喜んでくれる

・しかし、高めれば高めるほど、さらに質を上げるのは難しくなる。
 一方、そのレベルになると、お客さんがほとんど気づかない
 レベルになってくる。

・それでも質を高めようと努力する、その意志を保ち続けるのは
 容易なことではない。

ということです。

それをやり続けるのは、本当にすごいことです。


 これに似た話で、「昨日よりも1パーセントがんばる」を毎日続ければいい
 という意味のことを言う人がいますが・・・、安易にこういうことを言う人は
 信用できません。

 「宝くじ」の本にもちょっと書きましたが、「毎日1パーセントアップ」を
 複利計算すると、1年で11倍、2年で119倍、3年で1290倍になります。
 (一応、休日を省いて計算しています)
 3年で1290倍の能力・・・というのはありえません。
 (忍者が麻を飛び越える話のようなものですね)

 「昨日よりも高いレベル」を追い求め続けた場合、最初はいいですが、
 必ず成長が鈍化する(成長が感じられなくなる)日がきます。

 つまり、「成長を実感するから努力できる」 という段階から、
 「成長を実感できなくても努力できる」 という段階に移らなくては
 いけない日が来るわけです。

 さらに、「お客さんは気づかないかもしれないけど、こだわり続ける」
 という意志も必要です。

 これらのギャップを乗り越えるためには、何が必要なのでしょうか?

 変な例えですが、今回の放送を見ていて、「無償の愛」という言葉を感じました。
 山口さんがこのギャップを乗り越えた力の源は、「靴(靴作り)への愛情」としか
 考えられないのですが・・・。どうなんでしょうかね。


■ 質の高い仕事をするために、自分の働く場所を選ぶ

さて、もうひとつの示唆は、山口さんがその経歴の中で「質の高い仕事をしたい」
という思いを曲げないために、自分で「仕事の場」を作り出していったことです。

山口さんがイギリス式の靴作りの技術を身につけて日本に帰ってきた後、
どうしても価格がネックになり、靴が売れなかった時期があったそうです。
それでも、安価な製法に乗り換えることはなく、技術を駆使した靴を
作り続けたそうです。もちろん、この時期はつからったことだと思います。

そして、試行錯誤する中で、オーダーメイド靴の店を開くという選択肢が
見えてきて、現在につながったそうです。


つまり、レベルの高い仕事をしたければ、レベルの高い仕事ができる「場」を
自分で作るしかない場合もある、ということです。




最後に、誤解を招くといけないので言っておきます。

私は「自分の成長を感じられること」や、「人から認められること」を、
モチベーションにしてはいけないと言いたいわけではありません。

これらは、モチベーションを高めるために、とても大事なことです。
(私も大事にしています)


しかし、そのレベルを超えた仕事をしている人も、実際に存在している
ということです。これについては、もう少し考えてみたい気がします。




私は、昔から「職人」にあこがれるところがありますが、
今回は特にハマりました。録画してあるのでもう一度見ます。


  というわけで・・・、
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今日の記事作成時間は70分でした。

では、また明日!


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Posted by 水口和彦 at 23:50│Comments(0)TrackBack(0)

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