2007年09月19日     このエントリーをはてなにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマーク

ホワイトカラー・エグゼンプションを企業側から考えてみる


こんにちは。水口です。

先週、「舛添さん、名前だけじゃダメですって!」と題して、
ホワイトカラー・エグゼンプション関連の話を書いてみましたが、
今日は別の観点から、これについて考えてみたいと思います。


■ ホワイトカラー・エグゼンプションが敬遠された理由

「残業代ゼロ法案」と揶揄された、日本版ホワイトカラー・エグゼンプション制度
(以下、WEと書きます)は、元々は経団連が2005年に提言したものです。

今年、年収などの基準を検討して、法案化しようとする動きがあったのですが、
世論の反発が大きかったために、国会への提出が見送りとなりました。


世論の反発というのは、主に2つの意見がありました。

ひとつは、「結局、残業代がカットされるだけじゃないか」というもので、
もうひとつは、「サービス残業を助長することになりかねない」というものでした。

この反応は、言ってみれば当たり前のものです。
これをもう少し突っ込んで考えてみます。


元々、雇用される側には2つの考え方があると思います。

ひとつは、「とにかく残業代をカットされると困る」という考え方です。
これは、今の生活水準を崩したくないという考え方です。
悪く言えば「既得権益を守る」という考え方ともいえます。

もうひとつは、「成果(貢献度)に応じた報酬がもらえるなら、残業代なしでもいい」
という考え方です。「成果主義」的な考え方です。

  ※ただし、「成果主義」と言われているものの中には、成果と報酬に
    相関が無い場合も多いです。本当の成果(貢献度)を計測するのは
    難しいですから、仕方ない面もあるのですが・・・。


もし、WE的なものを法案として成立させようとするならば、少なくとも
この後者の人たち(成果主義を歓迎する人たち)を味方につける必要が
あるのですが、今回はそれに失敗したわけです。

(私も個人的には後者の考え方なのですが、今回のWE案は、
 企業側が単に報酬を減らそうとしてるとしか見えませんでした)

そもそも、「制度を変えよう」という交渉をする場合、その変更に伴なう
相手のメリットを強調するという戦術を使うべきです。

お互いのメリット・デメリットをはかりながら、落としどころを探すのならともかく、
今回は雇用される側には、何のメリットも感じられない内容でした。
だから、交渉にもならないわけです。


■ ホワイトカラー・エグゼンプションは「ジャブ」なのか?

これだけ見ると「経団連はバカな提案をした」とも思えますが、
実際は違うのかもしれません(いくらなんでも、それはない気もしますし)。

では、なぜ経団連はこういう案を出したのでしょうか? その理由は、
企業側に「危機感」のようなものがあるからではないでしょうか。

その危機感というのは、先日のNHKスペシャル
『人事も経理も中国へ』とも関係しています。

  その番組に関して、このブログで書いたのが↓こちらです
  オフショアリング(アウトソーシング)による脅威とチャンス

早くいうと、

 ・ 国内と海外(特にアジア)との人件費には大きな差がある
 ・ 同じ労働で人件費が違うなら、海外に仕事を振った方がいい
 ・ そういう取り組みをする企業が出てきているし、今後も増える

という状況があるわけです。

実際に人件費に大きな差がある以上、企業としても国内の人を
使いにくくなってくるわけです。

  企業側が、国内の人に働いてもらいたいと思っていたとしても、
  海外にアウトソーシングできる環境が整いつつある以上、
  意味無く国内の人を使うわけにもいきません。

  これは決して「儲けたい」という動機だけではありません。
  株式を上場している以上は、明らかに利益が上がる施策をあえて
  行わないことは、(株主に対する)一種の背反行為になってしまいます。


企業の立場で見ると・・・こういう論理になるのではないでしょうか。

 日本の企業であるからには、日本という国に豊かになってほしいとは思う。
 人件費は、できれば日本に落としたい。

 しかし、国内外の人件費の差が大き過ぎる状況では、それも難しく
 なってきかねない。

という問題意識があって、

 この悩みを解消するためには、国内の平均給与が下がってくれると
 いいのだが・・・、これはむやみにやれることではない。
 特に低所得者の賃金はカットできない。

 それならば、高所得者側に、少し泣いてもらってはどうだろうか?

という案が出てきた・・・。


こう考えると、結構、腑に落ちるものがあります。
考え方としては、間違いとも言い切れません。

もちろん、今回はちょっと欲張りすぎたのかもしれません。
ついでに「サービス残業」の問題も同時に片付けようとしたせいでしょうか。
(サービス残業には違法性があるので、企業としては頭の痛い問題です)

あるいは、今回の案は、まずは「ジャブ」として牽制するために、
まずは様子見をするために、くり出したのかもしれません。

そして、今後、本当の落としどころを探っていくことになるのかも・・・
そんな気がします。実際、上記の問題はなんとかしないといけないですからね。


というわけで・・・、 WE案はこれで終りにはならないと思います。
(私も、このままでいいとは思いません)
来年あたり、また次の案が出てくるのかもしれませんね。


  私のおすすめは「残業そのもの」をゼロにすることです。
  そんな大胆な案は出てこないですかね・・・。

  「残業代ゼロ」とは違って、使用者・労働者の両者にとって、
  Win-Win となり得る解決策だと思うのですが。

  その理由はこちらに書きました↓  
  「残業ゼロ」の世界について、真剣に考察してみる


  ドイツでは、やっていることですから、
  日本もできないわけではないと思います。
  【豆知識】 ドイツでは労働は1日10時間以内と法律で決まっています

  残業ゼロで仕事の生産性を上げることが実現できたら
  面白いことになると思いませんか?


そういえば、「残業ゼロ」で有名な「トリンプ」は、
ドイツ系の会社だったんですね (← 最近気付きました)

最近あまり話を聞きませんが、社長が交代した後も、
同じようにやっているんでしょうか・・・?


   なんてことを考えつつ・・・、
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今日の記事作成時間は61分でした。

では、また明日!


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Posted by 水口和彦 at 23:52│Comments(0)TrackBack(0)

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