2008年02月09日     このエントリーをはてなにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマーク

「課長は何を着るべき?」という議論について


こんにちは。水口です。

今日は、PM(プロジェクトマネジメント)とタスク管理の関係について
書こうと思っていたのですが、ちょっと置いておいて(・・・すみません)。

他のブログの話題について、私なりに思うところがあったので、
書いておきたいと思います。


■ 「課長はスーツを着るべき」なのか?

その話題というのは、NED-WLTさんのブログにあります。

NED-WLTさんのブログは、この本(↓)をご献本頂いたことが
きっかけで、読むようになりました。
amazonはじめての課長の教科書
この本いいですよ。まだ発売前なので、発売する頃にまた紹介します。


さて、その話題というのはこちらです(↓)
NED-WLT : 課長はスーツを着るべき?

それに対して、著名ブロガーのdankogaiさんの意見がありました。
404 Blog Not Found:課長が着るべきなのは「戦闘服」

それを受けてのNED-WLTさんのコメントがこちら。
NED-WLT : 負の遺産であるスーツは、もう使えないのか?


早く言えば、「課長はスーツを着るべきか否か?」という議論です。

こういう話です。まず、NED-WLTさんのご意見。
『』内は引用です)
 
『公式、非公式にドレスコードが定まっている職場の場合は悩む事の無い
問題ですが、最近では経営者クラスはスーツ(しっかりとした服装)でも、
末端社員クラスにはラフな服装が容認されている企業が増えつつあるようで、
丁度中間の課長クラスぐらいの人が、「果たして自分はスーツを着るべき
(しっかりとした服装であるべき)か否か」に関して悩んでいるケースが意外
とあるようです。

結論から言えば、悩むようなら課長はスーツ(しっかりとした服)を着るべきです。

外見が良い人のほうが他者との付き合いで有利になるということは一般に
広く知られていることですが、社会心理学の研究では、大概の人はその影
響力をかなり過小評価しているということがわかっています。我々が、「人は
見た目では判断できない」と何度も教えられて育つのは、逆に言うならば、
「人間には避けがたく人を見た目で判断する傾向が備わっている」という
事実の存在を示しているのです。』

(上記1番目の記事より引用)


それに対して、dankogaiさんは、
 (『』内は引用です)
 
『結論から言うと、課長に着るべき服は、「戦闘服」である。研究所なら白衣、
建設現場ならヘルメットにジャンバー。もちろんスーツが「戦闘服」の場合も
あるが、スーツは後述のとおり、「礼服」にはなっても「戦闘服」としてはなにか
と不適である。

なぜか。

課長には「現場のトップ」という機能が欠かせないからだ。課長というのは
軍隊で言えば尉官。管理職としては、最前線に立つ機会が多いポジション
でもある。古代ローマで言えば、百人隊長である。

もし「兵隊」たる平社員がスーツを着てなくて、課長のみがスーツを着ていたら、
士気は高まるだろうか?課長にとって、もっとも避けねばならない事態の一つは、
「あいつは(所詮)『あちら側の人間』だ」と思われることである。それでは部下は
付いてこない。部下が現場で汗まみれになっている時に、スーツを気にするよう
な課長は最低である。』

(上記2番目の記事より引用)

どちらも、記事の一部の引用ですので、詳しい内容は両ブログを
ご覧になってみてほしいのですが、両者の立ち位置は、この文章
から、ある程度つかめると思います。

どちらの意見にも一理ありますし、考えさせられるものが
あると思いませんか?
(なので、紹介したわけです)


ただ、よく考えると・・・、
上記の議論は微妙に噛み合っていないようにも思えます。

まず、課長が着るべきなのは「戦闘服」という部分は、まったく
その通りだと思います(課長じゃなくてもそうですが)。

では、その「戦闘服」は、どんな服か? というところで、
話がズレてしまっているような・・・気がします。

どんな「戦闘服」がふさわしいかという議論は、
「どこで戦うか?」によって変わってくるはずです。


■ 何を着るか? で変わる印象

つまり、私は「どこで戦うかによって、着るべき戦闘服は違う」と
考えているわけです。その話の例として、私の前職(製造業)での
経験談を少しお話します。

※ 前職は旧財閥系のメーカー勤務。取引先は自動車メーカー。
   そんな、やや保守的な業界の話として聞いてください。


ある工場の品質保証部門のスタッフとして勤務していた頃の話。

工場には、ときどき取引先の方が監査のためにやってきます。
おもに「品質」に関することについて、目を光らせに来るわけです。

「リコール問題」などが取り沙汰されたりしてはいますが、自動車
メーカーの品質に対する基準や考え方は、元々厳しいです。です
から、私たち監査の受け入れ側は緊張します。

別に、後ろめたいことをしているわけではありませんが、何を指摘
されるか分からないという状況は、緊張するものなんです。


そして、そういう監査にやってくる人のなかには、スーツのまま工場
に立ち入る人と、上着を作業服に換えてから立ち入る人がいます。
それだけで、監査を受ける側の印象はずいぶん変わります。

どう違うかというと・・・、

明らかに、作業服で来る人に対してのほうが、より「手ごわい」相手
だという印象を持ちます。逆に、スーツで工場に入る人に対しては、
通りいっぺんのものを見せれば満足するだろう、と安心します。

作業服を着る人は、「汚れてもいい」覚悟で来るわけですから、
それだけ、より深く見ようとするだろう。と感じるわけです。


先ほどの言い方で言えば、

・工場での「戦闘服」は作業服である。

・だから「戦闘服」を着てこない人は(悪く言えば)、なめられる。
 「戦闘服」を着てくる人は、警戒される(または敬意を払われる)。

ということになります。
これは社内の人間でも同じだと感じます。

私の感覚では、工場や開発部門、研究所などの現場に出るかぎり、
課長であろうと社長であろうと、作業服を着るべきである。と考えます。

これは、先ほどのdankogaiさんの意見と共通点があります。


■ では、スーツは不要なのか?

では、スーツは不要なのか? というと、そうでもないと思います。

たとえば、取引先との打ち合わせや交渉を行う場合には、やはり
スーツのほうがふさわしいと感じます。特に、普段作業服の職場だと、
「スーツを着る」=「外へ戦いに出る」というイメージが強いですね。

会議室という「戦いの場」では、スーツが「戦闘服」だということです。

確かに、スーツ自体は決して機能的な服とは思いませんが、一般に
「会社間の折衝の場」における「戦闘服」として認知されているものを、
あえて着ない理由はないと思います。

 ※ これは、業界によって違ってくると思います。私がいた業界
    (製造業)では、そうだったという話です。
    別の業界、たとえば、デザイナーがカチカチのスーツを着て
    いたら、それは戦闘服としてはふさわしくないでしょうし・・・。


あるいは、作業服の無い職場の場合は・・・、

たとえば、いつもはカジュアルな課長がスーツを着て予算会議や
役員会議に向かう。そんなシチュエーションは、部下の目から見て、
頼もしく見えるものではないでしょうか?
(課長は「課の予算を取ってくる」存在。言い換えれば、課のために
 「会議で戦ってくる」存在ですから)


これは、先ほどのNED-WLTさんの意見に近いです。


■ で、結論は・・・


私の意見を簡単にまとめると、

  「戦いの場」によって、ふさわしい「戦闘服」を着るべき

ということになります。こういうと、ちょっとカッコつけっぽいですが、
言い換えると、

  「ケースバイケースで着るものを選ぼう」

という、なんとも中庸で、つまらない意見です (笑)


でも、これが本質だと思います。
その場にふさわしい「戦闘服」を着る。

もちろん、課長以外でも同じことなのですが、「課長」という役職は、
特にそれを使い分けるべき状況が多いということではないでしょうか。



例外としては・・・

たとえば、三鷹光器会長の中村義一さんのような、
「カリスマ技術屋社長(会長)」の場合は、作業服のまま
交渉に臨むでしょうし(テレビでもそうでしたから・・・)、
それが逆に凄みを感じさせるように思えます。

その人のアイデンティティと深く重なっているなら、
何を着ても構わないということなのか・・・?





ちなみに、私は現在はスーツ派です。
(もちろん、家で原稿書きしているときはカジュアルです)
別に何を着ても良さそうなものですが、講演や研修講師をする
という役割を考えると、そうすべきだろうという判断です。



明日こそ、PMとタスク管理についての話をします!

今日の記事作成時間は69分でした。
では、また明日!



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Posted by 水口和彦 at 23:55 │Comments(2)TrackBack(0)

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この記事へのコメント
水口先生

お忙しいところ、先生の69分もの時間を頂戴し、拙著と拙ブログをご紹介いただき、誠にありがとうございます。

まったく先生のおっしゃるとおり、この問題はケース・バイ・ケースということだと思いますが、課長は、その服装からして相当悩まないといけないということですから、これがまさに「板ばさみ」な状態を示す好例とも言えそうですね。

また、色々と勉強させて頂きます。今後とも、よろしくお願い致します。
Posted by NED-WLT at 2008年02月10日 04:00
水口です。

コメントありがとうございます!
ご著書「はじめての課長の教科書」は大変興味深く拝読させて頂きました。
「課長」の役割に2つの面があるというのは、ご著書にある通りだと思います。
(だから「板ばさみ」にもなると。)

以下、私見です。
仮に、片面しか見ない課長がいたとして・・・
「下(現場)ばかり見て、上に対する折衝能力の無い課長」と、
「上(経営層)ばかり向いて、現場をないがしろにする課長」では、
部下が文句やグチを言いたくなるのは、後者。
だから、もし世の中の意見を集計したとしたら、
「上ばかり見る課長はダメ論」が多数を占める気がします。

しかし、それは部下側に顕在化しやすい問題点であって、
課長は両面を両立すべきという本質は変わらないわけです。
それを多くの課長さんに理解してもらえるように、
御著書が広まることを期待しております。
Posted by 水口和彦 at 2008年02月11日 14:51
 

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