「成功本」を読んでいると「成功」できない理由
こんにちは。水口です。
昨日書店に行ったら、この本が出ていました。

カンブリア宮殿 村上龍×経済人II
「カンブリア」のパート2ですね。
■ 村上龍氏のコラム
ご存知の方も多いかもしれませんが、この本は「カンブリア宮殿」という
テレビ番組の内容をまとめたものです。
(同番組のHPは↓こちらです)
カンブリア宮殿:テレビ東京
この番組が始まってもうすぐ2年。4月以降も続くようなので、3年目に入ります。
番組自体にいろいろ試行錯誤しているところが見られますが、その甲斐あって
というべきか、最近は面白い回が多い気がします。
(個人的には坂根正弘氏(コマツ会長)の回が良かったです)
先ほどの本は、この番組本のパート2です。番組内のインタビューの抜粋で
構成されています。
私の場合、この番組はほぼ毎回(録画して)見ていますので、あらためてこの本
を買う意味はあまり無さそうなものです。 でも、買いました。 ・・・というのは、
同書のパート1で、インタビューの後にある村上龍さんのコラム(短いものです)が
面白かったからです(今回のパート2にもコラムは載っています)。
同書のパート1は↓これです。

カンブリア宮殿 村上龍×経済人
(『』内は引用です)
『 ヒット商品を生み出す努力に関して、日本社会はいまだに古い文脈に
とらわれているような気がする。どんな職種であれ、どんな商品であれ、
成功の条件は「科学的な努力の継続」に決まっているのだが、どういう
わけか、そういった理由付けは人気がないのだ。』
『 旧来の文脈では、成功には大きく三つの要因があることになっている。
つまり、「きっかけ」「苦労」「秘訣」の三点セットで、インタビューなどで
わたし自身も必ずその質問を受ける。』
『 三点セットは、成功者が共同体内で個人として突出するのを防ぐために
あるのだろうと思う。(中略)もちろん「科学的な努力を継続」した人が
すべて成功するとは限らない。だが、成功するためには「科学的な努力の
継続」は絶対に必要だ。』 (173ページより引用)
補足しておくと、ここで言われている『科学的な努力』というのは、決して
「科学を活用する」とか、「高度な計算をする」という意味ではありません。
合理的な考え方をもとに継続的に努力していくことや、結果を客観的に
評価して改善していくこと(ひとりよがりにならないこと)を、指していると
思われます。
この本のパート1のコラムには、『ミもフタもないシンプルな事実』という
言葉を使いながら、この考え方が何度かでてきます。
■ 「成功の秘訣」を求めることが、「成功」を遠ざける
先ほどの引用部を言い換えると、こうなります。
・成功者が成功した要因は、客観性を持ちながら、合理的な
考え方のもとに、徹底して努力を続けたこと。
(それなくして成功することはない)
・しかし、普通の人は「何か成功の秘訣があるに違いない」と
思ってしまう(思いたがる)もの。
ということです。
そうすると、次のようにも思えてきます。
・そんな「秘訣」を求める思考回路が、普通の人を普通のままに
とどめている原因ではないだろうか?
なるほど・・・。ということは・・・、
いわゆる「成功本」を読んでいると、「成功できない」ということですね。
本を読んで「秘訣」を求めようとしている時点で間違っているわけです。
・・・というのは、冗談です。 いや、微妙に本気です。
■ 「成功本」を読んでいると「成功」できない理由
私自身は、どんな本であれ、読まないより読んだ方がいいと思ってますし、
「成功者の本」「成功法則の本」も読みますし、嫌いじゃないです。
(※ この類の本を、以下「成功本」と呼びます)
でも、「成功本を読むことで成功しようと考えている人」が、かなりの確率で
成功しないことは、保証してもいいと思っています。
なぜなら、
「これを読めば・・・」
「この本の通りにやれば・・・」
「成功者のように行動すれば・・・」
と考えている時点で、「自分の頭」を使って考えることを、
一部放棄しているからです。
もちろん、「成功する人」は、本をたくさん読む人が多いですが、本を参考に
することはあっても、(精神的に)本に頼りはしないのではないでしょうか。
逆に「成功本を読むことで成功しようと考えている人」には、成功することの
担保として、あるいは「失敗するかもしれない不安」を打ち消すための道具と
して、成功本に頼っている人が、少なくないように思えます(自分も含めて)。
私はこれまでに1000冊以上の本を読んできました。そして、考えるところが
あって会社を辞めて独立し、自分で事業を起こしました。 「成功した」とは
言えませんが、何とかやってきています。
そんななかで感じたのは・・・、
結局、自分の頭を使わなければうまくいかない。人の意見や本を参考にする
ことはあっても、(精神的に)頼ってはいけない。自分の選択には自分で責任を
持つ覚悟が必要。 ・・・ということでした。
でないと、フラフラするだけで、とてもやっていけません。
(成功するしない以前に、自信を持ってやっていくことができません)
こんなことは、自分で事業を起こし、長年やってきている人にとっては当たり前
かもしれません。しかし、「成功本」に目を輝かせ、「成功の秘訣」を知ろうとして
いた頃の自分、悪く言えば「サラリーマン根性」に浸ったまま、「サラリーマン」から
抜け出ることを望んでいた自分は、そんなことさえ分かっていなかった・・・と、
今になって思います。
(もちろん、今でも甘いところがありますし、これからも考えは変わると思いますが)
先ほどの、村上龍さんの言う『ミもフタもないシンプルな事実』という言葉は、
このように私が感じてきたことを、うまく言い表してくれているように思えます。
本は、人が行動した結果や考えを知るために役に立ちますし、そういう学習も
「科学的な努力」の1つです。ですから、私はこれからも本を読み続けます。
しかし、昔のように、「安易に秘訣を求める」ことや、「不安を打ち消すために
本に頼る」ことは、しないでおこうと思っています。
もちろん、一時的にはそういう時期があってもいいと思いますが、そこから
抜け出さないと、成功どころか事業を継続していくこともままならないように
感じるのです。
(追記)↓こちらもご参考に
それでも「サラリーマン」が「経営者の本」を読むべき理由
今日の記事作成時間は75分でした。
では、また明日!
Posted by 水口和彦 at 23:55
│Comments(6)
│TrackBack(1)
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私は田舎に住んでいるわりに図書館に恵まれていることで、読む本には困らない環境にいます。通勤電車の中にいる時間や、昼休みの間など、それほどまとまった時間はとっていないとはいえ、意外と本は読めるものです。
※通勤電車といっても、わたしの場合はひと駅で目的地に....
思いつくままに、たくさんの本を読もう。【彦根仏壇の組立現場より〜仏壇を作る人の日々】at 2008年03月13日 22:48
この記事へのコメント
はじめまして。
いつも楽しみに拝見しています。
大学院修士1年で就職活動中なのですが、
就活においても今回のお話しと同じことが言えるように思います。
テクニック本や面接問答集が本屋に溢れているのを見ると、
需要が結構あるようです。
それらは使い方次第では有用ですが、
自分でどれだけ考えるかのほうが重要だろうと最近よく思います。
いつも楽しみに拝見しています。
大学院修士1年で就職活動中なのですが、
就活においても今回のお話しと同じことが言えるように思います。
テクニック本や面接問答集が本屋に溢れているのを見ると、
需要が結構あるようです。
それらは使い方次第では有用ですが、
自分でどれだけ考えるかのほうが重要だろうと最近よく思います。
Posted by こうへい
at 2008年03月12日 15:09
こんばんは。
大変興味深い記事でした。
経験上、ビジネスにおいて「成功本に頼る人」からにじみ出ている印象というのは、「恋愛のハウツー本に忠実に従ってデートをする人」に似たものを感じます。
デートをする時にハウツー本に頼ってもその通りに上手くいくことはあまりありませんし、そもそもそれに頼っていることが相手に知れた時点で大幅なイメージダウンは避けられません。ハウツー本に頼る人でも、そのことは相手に知られない方が良さそうだということは心得ています。
ところが、ビジネスにおいては、どういうわけか特定の「ハウツー本」に沿って行動していることを堂々と公言する人をたまに見かけることがあります。
自分の言動は、誰かの脳でなく、自分の脳で考えたものに従いたいですね。
大変興味深い記事でした。
経験上、ビジネスにおいて「成功本に頼る人」からにじみ出ている印象というのは、「恋愛のハウツー本に忠実に従ってデートをする人」に似たものを感じます。
デートをする時にハウツー本に頼ってもその通りに上手くいくことはあまりありませんし、そもそもそれに頼っていることが相手に知れた時点で大幅なイメージダウンは避けられません。ハウツー本に頼る人でも、そのことは相手に知られない方が良さそうだということは心得ています。
ところが、ビジネスにおいては、どういうわけか特定の「ハウツー本」に沿って行動していることを堂々と公言する人をたまに見かけることがあります。
自分の言動は、誰かの脳でなく、自分の脳で考えたものに従いたいですね。
Posted by
☆shinchan☆
at 2008年03月13日 00:18
水口です。
こうへいさん、コメントありがとうございます。
なるほど。確かに就職活動のHowTo本は多いですね(昔はあまり無かったです)。
人の意見を聞くことも重要だけど、就職活動は自分の頭で考えなければ
意味がないですよね(会社の選び方も面接も)。
私は面接官はしたことはありませんが、
単純な、たとえば「弊社を志望された動機は?」といった質問だけでも、
自分で考えたのか、本のマネをしてるのかは分かりそうな気がします。
ぜひ、(人の意見も参考にしつつ)自分で考えて就職活動をなさってください。
関係ない話ですが・・・
私の頃は、就職活動は修士の2年になってからでした。
(当時は協定があって全般にそうだったんです)
いまは、就職活動も早く始まって大変だと思いますが、
早くから就職について考え始めるのはいいことだと思います。
せっかくの機会ですから、いろいろ考えたり、行動したりしてみてください。
こうへいさん、コメントありがとうございます。
なるほど。確かに就職活動のHowTo本は多いですね(昔はあまり無かったです)。
人の意見を聞くことも重要だけど、就職活動は自分の頭で考えなければ
意味がないですよね(会社の選び方も面接も)。
私は面接官はしたことはありませんが、
単純な、たとえば「弊社を志望された動機は?」といった質問だけでも、
自分で考えたのか、本のマネをしてるのかは分かりそうな気がします。
ぜひ、(人の意見も参考にしつつ)自分で考えて就職活動をなさってください。
関係ない話ですが・・・
私の頃は、就職活動は修士の2年になってからでした。
(当時は協定があって全般にそうだったんです)
いまは、就職活動も早く始まって大変だと思いますが、
早くから就職について考え始めるのはいいことだと思います。
せっかくの機会ですから、いろいろ考えたり、行動したりしてみてください。
Posted by 水口和彦
at 2008年03月13日 06:43
ふたたび水口です。
shinchanさん、いつもありがとうございます。
「恋愛のハウツー本に忠実に従ってデートをする人」という例えは秀逸ですね。ウケました。
この話は、結構微妙なところがあって、書くかどうか少し迷ったのですが、書いてしまいました。
なかなか線引きが難しいんですよね。
たとえば、いい言葉や、役に立ったノウハウなどは、言ってもいいと思います。
(いいものは共有しようという姿勢ですから)
あるいは、たとえば「松下幸之助さんの本が好き」と言うのも、別にいいと思います。
(※私がそうだというわけではありません)
ただ、「成功」という言葉がからんでくると、変だなと思うことが時々あります。
「成功法則を学ぶだけじゃなく、何か自分で具体的な行動しようよ」と言いたくなる、
そんな感じです。
「学ぶこと」で「行動すること」の代償としているように見えるからですかね・・・?
shinchanさん、いつもありがとうございます。
「恋愛のハウツー本に忠実に従ってデートをする人」という例えは秀逸ですね。ウケました。
この話は、結構微妙なところがあって、書くかどうか少し迷ったのですが、書いてしまいました。
なかなか線引きが難しいんですよね。
たとえば、いい言葉や、役に立ったノウハウなどは、言ってもいいと思います。
(いいものは共有しようという姿勢ですから)
あるいは、たとえば「松下幸之助さんの本が好き」と言うのも、別にいいと思います。
(※私がそうだというわけではありません)
ただ、「成功」という言葉がからんでくると、変だなと思うことが時々あります。
「成功法則を学ぶだけじゃなく、何か自分で具体的な行動しようよ」と言いたくなる、
そんな感じです。
「学ぶこと」で「行動すること」の代償としているように見えるからですかね・・・?
Posted by 水口和彦
at 2008年03月13日 07:02
>「学ぶこと」で「行動すること」の代償としているように見えるからですかね・・・?
同感!と膝を打ちました。
私も一時「成功本」をよく読みました。でも多くの場合、イメージを買っているだけなんですよね。
そこで、ある時からこの類を控えています。
「答えは自分の中にある」とよく言われます。読書には、自分が漠然と抱いておる思いを表現して欲しい、人の言葉で聞きたいという願望もあるのでしょう。しかしそれはあくまでも借りもので、自分の思想でもない。そう感じて、今は「読むより書け」をモットーにしています。
でも、ブログに書評が掲載されていると、水口さんのお勧めなら間違いないと本屋さんに走っているのですが!
つまるところ、何かを成すためには、2つのことが必要なのだと思います。
一つ目は、体でも頭でも、汗をかくことを厭わないこと。
そして二つ目は、退路を断つこと。
これからもよろしくお願いいたします。
同感!と膝を打ちました。
私も一時「成功本」をよく読みました。でも多くの場合、イメージを買っているだけなんですよね。
そこで、ある時からこの類を控えています。
「答えは自分の中にある」とよく言われます。読書には、自分が漠然と抱いておる思いを表現して欲しい、人の言葉で聞きたいという願望もあるのでしょう。しかしそれはあくまでも借りもので、自分の思想でもない。そう感じて、今は「読むより書け」をモットーにしています。
でも、ブログに書評が掲載されていると、水口さんのお勧めなら間違いないと本屋さんに走っているのですが!
つまるところ、何かを成すためには、2つのことが必要なのだと思います。
一つ目は、体でも頭でも、汗をかくことを厭わないこと。
そして二つ目は、退路を断つこと。
これからもよろしくお願いいたします。
Posted by うずまり
at 2008年03月13日 21:47
水口です。
うずまりさん、ありがとうございます。
・本を読むことは役に立つし、必要なこと
・でも本を「読んでるだけ」では前に進めない
ということなのかなと思うのですが、どこがどう違うのか、なかなか難しいところもありますね。
自分のなかに「課題」があって、そのヒントを得るために本を読む。そして、それを行動に移す。
という読書は必要だと思います。
ただ、何気なく読んだ本からヒントを得ることがあるのも、また事実・・・なかなか複雑です。
読むことも必要。しかし、読むことが、どれだけ自分の行動につながっているか? を
振り返る機会を持つことが大事なのかなとも思います。
「退路を断つ」というのは、私も分かります!
うずまりさん、ありがとうございます。
・本を読むことは役に立つし、必要なこと
・でも本を「読んでるだけ」では前に進めない
ということなのかなと思うのですが、どこがどう違うのか、なかなか難しいところもありますね。
自分のなかに「課題」があって、そのヒントを得るために本を読む。そして、それを行動に移す。
という読書は必要だと思います。
ただ、何気なく読んだ本からヒントを得ることがあるのも、また事実・・・なかなか複雑です。
読むことも必要。しかし、読むことが、どれだけ自分の行動につながっているか? を
振り返る機会を持つことが大事なのかなとも思います。
「退路を断つ」というのは、私も分かります!
Posted by 水口和彦
at 2008年03月16日 21:52
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