2008年04月26日     このエントリーをはてなにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマーク

「長時間労働」がいけない、いくつかの理由


こんにちは。水口です。

今日は、こんなニュースから。


■ 「言ってはいけないこと」

asahi.com:「休みたいならやめればいい」急成長の日本電産社長 - ビジネス

『』内は引用です)
 
『 「休みたいならやめればいい」――。日本電産の永守重信社長は23日、
記者会見で「社員全員が休日返上で働く企業だから成長できるし給料も
上がる。たっぷり休んで、結果的に会社が傾いて人員整理するのでは意味
がない」と持論を展開。10年間で売上高が6倍超という成長の原動力が
社員の「ハードワーク」にあることを強調した。

(中略)

 今後も積極的な買収戦略を進め、10年度に売上高1兆円、15年度に
2兆円に押し上げる青写真も披露。「成長しているからこそ休みが無くても
優秀な技術者がどんどん転職してきてくれている」と現路線に自信をみせた。 』



うーむ。一言でいうと・・・

 「突っ込みどころ満載」

の発言です・・・。


その気持ちはわからないこともないのですが・・・、確かに、業績が伸びて
いるときなどは、仕事が面白くて休日返上でも働きたくなる、という状況も
(場合によっては)あるでしょう。

また、自らのスキルを磨くためには、「長時間働く時期」は、役に立ちます。
本人の将来のためになる部分も多いわけです。こういった点は、心情的には
否定できないところがあります。


しかし、従業員がそう言うのはともかくとしても、社長がそれを言っては
いけません。

また、社長が「社員のハードワークが自社の成長の原動力」というのは、
確信犯的に長時間労働「させている」のではないかと疑われても仕方
ありません。

これは、ちょっと不用意すぎる発言ですね。単にバッシングされるだけ
でなく、実際に調査が入るのではないでしょうか。


「営業利益が過去最高」という連結決算の記者会見だけに、
つい言い過ぎてしまったのですかね・・・?


■ 「休日返上」「長時間労働」の弊害

念のために言っておくと・・・、

休日返上や、長時間の残業は、様々な弊害をもたらします。

従業員視点で見れば、最近話題の「ワーク・ライフ・バランス」の実現の
ために、長時間労働は避けたいという思いもあるでしょうし、自ら、
スキルアップのために勉強したいという人も増えています。そんな状況
で、「まず長時間労働ありき」とう経営方針は頂けません。

最近は、そういった(長時間労働などの)情報は、ネット上などで広まる
ようになっています。ですから、長い目で見ると、採用にも影響してくる
恐れもあるわけです。


一方、経営者の視点でも、長時間労働には問題があります。最も大きな
問題は、「法令遵守」「コンプライアンス」です。

経営課題や経営方針の中に、「コンプライアンス」に関する項目を掲げ
つつ、一方では長時間残業、サービス残業を放置しているというのは、
矛盾しているわけです。「法令遵守」の観点では、「昔からやってるから」
という言い訳は、残念ながら何の効力も持ちません。


さらに、長時間残業と、不払残業(サービス残業)は、共に厳しく指導
されるようになりつつあります。

前にも書きましたが、労働基準監督署によって、不払残業の是正指導を
受ける企業の数は年々増えています。指導された結果、100万円以上の
不払残業をさかのぼって支払うことになった企業の数は、H18年度で
1,679社もあります(毎年増えてます。ちなみに総額227億円です。)

不払残業は、過去2年分までさかのぼって計算することになるのですが、
その金額が数億円に及ぶことも珍しくありません。
(今年の最高額は、今のところ「18億6千万円」の某社だと思います。
 もしかしたら、上記の会社はそれを超えるかも・・・? )

そういう意味では、これも経営リスクの1つになるわけです。


そして、長時間残業が良くない理由は、さらにもう1つあるのですが、
その話の前に・・・


■ 「午後七時前の電話はまかりならぬ」 って、どういうこと?

さて、先ほどの日本電産の永守重信社長ですが、同社のHP上には、
このような発言も掲載されています。

 
『 我社の営業方針は、「納期はライバルの半分の時間で、訪問回数はライバル
の倍」をモットーにしている。そこで営業マンは、連日十時、十一時まで仕事を
することになるのだが、本社、営業所、工場との連絡はすべて七時以降にする
ように私は厳命を下している。

 これには、七時以降遠距離電話の料金が安くなるということもあるが、七時に
なれば、各自が自分の席へ戻れるということでもある。

 午後七時になれば自分の席につき、部下からの報告を受ける。翌日のスケ
ジュールをお互い確認しておく。また、七時になれば、東京の営業所であろうが
峰山工場であろうが、電話をすれば必ずすぐにつながるようになっている。

 もちろんそれ以前は社内間の電話連絡は緊急事項以外はご法度で、それまで
に何を話すかを考えておく。そうすれば、要領よく電話もかけられ、一石何鳥かの
効用がある。 』



この方・・・確信犯ですね。

それはともかく、「納期半分、訪問回数は倍」というモットーを掲げるのはいいと
しても、本来ならそれを時間をかけずに、効率よくやる工夫をさせる(必要なら
ある程度はお金もかける)のが、社長をはじめとした経営陣の役割ではないで
しょうか。

逆に、22時、23時まで仕事をするのが「当然」という意識を持っていては、
そういう効率化のための知恵も工夫もなかなか出てきません。

それに加えて、遅い時間に電話をしろというのは・・・。これでは狙って
長時間労働させようとしている、としか思えないですね。



ちなみに・・・、私も前の仕事で長時間労働をしていた時期がありました。
(それは強制されてではなく、自分の意志でやっていたものです)

ですから、実感として、そういった中で培われる能力があることも否定
できません。実際、ありがたかったと思っています(本当に)。

しかし、それはそれとして、これからは、

・ 労働時間を短くしつつ「集中力を高めて効率良く仕事をする」
・ 労働時間は短くても、その分仕事以外のところで「幅広く学ぶ」

という方向に、意識を切り替えていくことが、個人として、組織として、
求められているのではないでしょうか。


私も、「長時間労働」ではダメだと気づいた(長時間労働に疲れた?)
三十代半ばから、労働時間を短くするために、より頭を使うようになり
ました。その意識変化があったからこそ、自分の仕事の幅を広げること、
新しい仕事を作り出すことができたのだと思います。


「会社の平均寿命は三十年」とも、もっと短いとも言われることもあります。
長い目で見れば、新しい事業を作り出すこと、それができる人材を育てる
ことも必要なものです。

「長時間働けばいい」という風潮は、そういう「新しい事業を作れる人材」
よりも、「とにかくやる」人を育てる方向に向きがちではないでしょうか。

というのが、先ほど言った「長時間労働がよくない」もう1つの理由です。



・・・ 皆さんはどう思われますか?




今日の記事作成時間は48分でした。

では、また明日!


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Posted by 水口和彦 at 23:49 │Comments(0)TrackBack(0)

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