トヨタの社員は机で仕事をしない?
こんにちは。水口です。
今日は本の話です。
■ トヨタの社員は机で仕事をしない?
割と最近、書店の新書コーナーを通りがかったときに、
こんな本を見つけました。

トヨタの社員は机で仕事をしない (PHP新書 526)
「トヨタの社員は机で仕事をしない」というタイトルが目に入ったので、
「いやいや、机で仕事するでしょ」 と突っ込みを入れたくなりましたが・・・(笑)
その突っ込みは置いておきます。
著者が言いたいのは、「現場主義」の重要性です。
この本の著者の若松義人さんは、「トヨタ生産方式」の伝道者的な存在です。
現在も著書などで「トヨタ式」を紹介し続けている方です。
前に紹介した、山田日登志さんもそうですね。
(↓「プロフェッショナル 仕事の流儀」に出演されていたのを紹介した記事)
「仕事のムダ取り」と、その抵抗勢力
この本は「トヨタ生産方式の紹介」という本ではなく、そのなかにある
「現場主義」について、事例をあげつつ紹介しています。
人によっては「説教くさく」感じる部分もあるかもしれませんが、
耳を傾ける価値のある話が、事例をまじえて紹介されています。
■ バッドニュース・ファースト
この本のなかに「バッドニュース・ファーストの定着」という項目があります。
バッドニュース・ファースト、つまり、「悪い情報ほど早くもってこい」という
ことです。
「悪い情報ほど早く上げる」というのは、「仕事の基本」といってもいい
と思います。これを「時間」の観点で説明すると、こうなります↓。
・ いい情報(順調にいっているという情報)は、その後に特別なアクション
を必要としないため、報告が遅くなっても時間的な損失は生じない
・ 悪い情報(失敗したり、問題が起きたという情報)は、その後に何らかの
アクションが必要になる。そのため報告が遅くなることは、次のアクション
の遅れを生み、時間的な損失につながる。
・ さらに、悪い情報への対応が遅れることは、場合によっては重大な損失
につながりかねない。
だから、「バッドニュース・ファースト」が重要だということです。
ところが、「これがなかなか実行できていない・・・」 という職場も多いの
ではないでしょうか。
この「バッドニュース・ファースト」を実行するためには、各個人がそう意識
することも必要ですが、それ以上に上司の態度や対応の影響が大きい
ものです。
■ 「悪い情報を早く上げる」ことの阻害要因
その悪い例をひとつあげますと・・・
悪い情報があがってくるたびに、部下を叱責するばかりの上司には、
だんだん「悪い情報」は上がってこなくなります。
部下も人間ですから、
「この情報を上げれば怒られる」
「しかも、上司に知らせたからといって、対応策を
アドバイスしてくれるわけでもないし・・・ 」
という状況では、報告するのが嫌になってしまいます。この状況では、
いくら上司が「悪い情報もどんどん上げてこい」と言ったとしても、
うまくいきません。
会社生活がある程度長い人のなかには、そんな上司を見た(または
そんな上司についた)経験がある人も、結構多いのではないでしょうか。
※ ちなみに、この状況では、本当に不思議なくらい、上司のもとへは
悪い情報が集まらなくなってきます。私は昔そんな例を見たことが
あって、不思議に思っていました。
しかし、この現象を行動分析学的に見ると話は簡単です。こういう
タイプの上司は部下が「報告する」ことに対して、強力な「負の強化」
を行っていることになるのです。ある意味、「報告したくなくならせる」
ことにおける天才?です。
■ 「バッドニュース・ファースト」を定着させる上司のあり方
先の本には、こんなエピソードがありました。
(『』内は引用です)
『 接着剤の種類を間違えるトラブルがあり、張氏が現場に駆けつけた。
調べると、似たような缶がたくさん並んでおり、「これでは間違える」と
感じて改善を命じた。
「ミスの現場に社長が来た。レイオフされる」とパニックになっていた
米国人も、やがて責任追及ではなく改善をするトヨタ式を理解する
ようになった。こうして、徐々に、バッドニュース・ファーストが北米
工場にも定着するようになったという。』
(90ページより引用」:改行のみ追加しました)
※ この「張氏」とは、トヨタの現会長(前社長)の張さんです。
(北米工場の立ち上げを担当されていた頃の話です)
「トヨタ式」に限らず、製造業の現場では、トラブルの原因を個人の責任
として糾弾するよりも、「再発防止するためにどうするか」という、全員の
問題として取り組む風土を持っているところが多いと思います。
(そうでなければ、長期的な品質改善は難しくなってしまいます)
その分かりやすい事例ですね。
もちろん、デスクワーク(ホワイトカラー)の仕事は、現場とまったく
同じようにはいきませんが・・・
「怒る」だけで、「改善」のための知恵やアドバイスをくれない上司には
問題がある、という点はまったく同じだと思います。
「バッドニュース・ファースト」の話が長くなってしまいましたが、
上記の本のなかのいろいろなエピソードのなかに、いま抱えている問題
を解決するためのヒントが見つかる可能性は、比較的高いと思います。
私もいくつか参考になる点がありました。
一読の価値があると思います。
ただ、一点気になることがありました。この本のなかで、
「パソコンを使うことの弊害」について触れられている箇所があります。
(パソコンを使うと「見える化」できないという主旨です)
しかし、本来は「パソコンだからダメ」なのではなく、「パソコンで書類を
作った時点で安心してしまい、その後有効に活用できていない」という
ところに問題があります。それを「パソコンがダメ」と取れる言い方をする
のは、私は納得できないところがありますね・・・。
(パソコンを使った「見える化」はまだまだ一般的ではない、という
状況は頭に入れておく必要はありますが)
今日の記事作成時間は66分でした。
では、また明日!
Posted by 水口和彦 at 23:57
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この記事へのコメント
タイトルを見て、どこかで聞いた
「京セラの社員は、社内で廊下を歩かない」
と言う話を思い出しました。
「廊下が『動く歩道』になっている」
とか
「社員が『目的の場所まで瞬間移動』を出来る」
とか言う話ではなくて
「常に社内の廊下は走っている」
と言う話の様ですが、事の真相は不明です。
「京セラの社員は、社内で廊下を歩かない」
と言う話を思い出しました。
「廊下が『動く歩道』になっている」
とか
「社員が『目的の場所まで瞬間移動』を出来る」
とか言う話ではなくて
「常に社内の廊下は走っている」
と言う話の様ですが、事の真相は不明です。
Posted by
yume
at 2008年06月02日 23:38
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