2008年06月01日     このエントリーをはてなにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマーク

トヨタの社員は机で仕事をしない?


こんにちは。水口です。
今日は本の話です。


■ トヨタの社員は机で仕事をしない?

割と最近、書店の新書コーナーを通りがかったときに、
こんな本を見つけました。

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トヨタの社員は机で仕事をしない (PHP新書 526)

「トヨタの社員は机で仕事をしない」というタイトルが目に入ったので、
「いやいや、机で仕事するでしょ」 と突っ込みを入れたくなりましたが・・・(笑)
その突っ込みは置いておきます。

著者が言いたいのは、「現場主義」の重要性です。


この本の著者の若松義人さんは、「トヨタ生産方式」の伝道者的な存在です。
現在も著書などで「トヨタ式」を紹介し続けている方です。

前に紹介した、山田日登志さんもそうですね。
(↓「プロフェッショナル 仕事の流儀」に出演されていたのを紹介した記事)
「仕事のムダ取り」と、その抵抗勢力


この本は「トヨタ生産方式の紹介」という本ではなく、そのなかにある
「現場主義」について、事例をあげつつ紹介しています。

人によっては「説教くさく」感じる部分もあるかもしれませんが、
耳を傾ける価値のある話が、事例をまじえて紹介されています。


■ バッドニュース・ファースト

この本のなかに「バッドニュース・ファーストの定着」という項目があります。
バッドニュース・ファースト、つまり、「悪い情報ほど早くもってこい」という
ことです。


「悪い情報ほど早く上げる」というのは、「仕事の基本」といってもいい
と思います。これを「時間」の観点で説明すると、こうなります↓。

・ いい情報(順調にいっているという情報)は、その後に特別なアクション
  を必要としないため、報告が遅くなっても時間的な損失は生じない

・ 悪い情報(失敗したり、問題が起きたという情報)は、その後に何らかの
  アクションが必要になる。そのため報告が遅くなることは、次のアクション
  の遅れを生み、時間的な損失につながる。

・ さらに、悪い情報への対応が遅れることは、場合によっては重大な損失
  につながりかねない。

だから、「バッドニュース・ファースト」が重要だということです。


ところが、「これがなかなか実行できていない・・・」 という職場も多いの
ではないでしょうか。

この「バッドニュース・ファースト」を実行するためには、各個人がそう意識
することも必要ですが、それ以上に上司の態度や対応の影響が大きい
ものです。


■ 「悪い情報を早く上げる」ことの阻害要因

その悪い例をひとつあげますと・・・

悪い情報があがってくるたびに、部下を叱責するばかりの上司には、
だんだん「悪い情報」は上がってこなくなります。

部下も人間ですから、

  「この情報を上げれば怒られる」
  「しかも、上司に知らせたからといって、対応策を
   アドバイスしてくれるわけでもないし・・・ 」

という状況では、報告するのが嫌になってしまいます。この状況では、
いくら上司が「悪い情報もどんどん上げてこい」と言ったとしても、
うまくいきません。

会社生活がある程度長い人のなかには、そんな上司を見た(または
そんな上司についた)経験がある人も、結構多いのではないでしょうか。

※ ちなみに、この状況では、本当に不思議なくらい、上司のもとへは
   悪い情報が集まらなくなってきます。私は昔そんな例を見たことが
   あって、不思議に思っていました。

   しかし、この現象を行動分析学的に見ると話は簡単です。こういう
   タイプの上司は部下が「報告する」ことに対して、強力な「負の強化」
   を行っていることになるのです。ある意味、「報告したくなくならせる」
   ことにおける天才?です。


■ 「バッドニュース・ファースト」を定着させる上司のあり方

先の本には、こんなエピソードがありました。
 (『』内は引用です)
 
『 接着剤の種類を間違えるトラブルがあり、張氏が現場に駆けつけた。
  調べると、似たような缶がたくさん並んでおり、「これでは間違える」と
  感じて改善を命じた。

  「ミスの現場に社長が来た。レイオフされる」とパニックになっていた
  米国人も、やがて責任追及ではなく改善をするトヨタ式を理解する
  ようになった。こうして、徐々に、バッドニュース・ファーストが北米
  工場にも定着するようになったという。』

  (90ページより引用」:改行のみ追加しました)

  ※ この「張氏」とは、トヨタの現会長(前社長)の張さんです。
     (北米工場の立ち上げを担当されていた頃の話です)

「トヨタ式」に限らず、製造業の現場では、トラブルの原因を個人の責任
として糾弾するよりも、「再発防止するためにどうするか」という、全員の
問題として取り組む風土を持っているところが多いと思います。
(そうでなければ、長期的な品質改善は難しくなってしまいます)

その分かりやすい事例ですね。

もちろん、デスクワーク(ホワイトカラー)の仕事は、現場とまったく
同じようにはいきませんが・・・

「怒る」だけで、「改善」のための知恵やアドバイスをくれない上司には
問題がある、という点はまったく同じだと思います。


「バッドニュース・ファースト」の話が長くなってしまいましたが、
上記の本のなかのいろいろなエピソードのなかに、いま抱えている問題
を解決するためのヒントが見つかる可能性は、比較的高いと思います。
私もいくつか参考になる点がありました。

一読の価値があると思います。



ただ、一点気になることがありました。この本のなかで、
「パソコンを使うことの弊害」について触れられている箇所があります。
(パソコンを使うと「見える化」できないという主旨です)

しかし、本来は「パソコンだからダメ」なのではなく、「パソコンで書類を
作った時点で安心してしまい、その後有効に活用できていない」という
ところに問題があります。それを「パソコンがダメ」と取れる言い方をする
のは、私は納得できないところがありますね・・・。

(パソコンを使った「見える化」はまだまだ一般的ではない、という
 状況は頭に入れておく必要はありますが)


今日の記事作成時間は66分でした。

では、また明日!


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Posted by 水口和彦 at 23:57│Comments(1)TrackBack(0)

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この記事へのコメント
 タイトルを見て、どこかで聞いた
「京セラの社員は、社内で廊下を歩かない」
と言う話を思い出しました。

「廊下が『動く歩道』になっている」
とか
「社員が『目的の場所まで瞬間移動』を出来る」
とか言う話ではなくて
「常に社内の廊下は走っている」
と言う話の様ですが、事の真相は不明です。
Posted by yume at 2008年06月02日 23:38
 

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