「効率至上主義」は効率がよくない?
こんにちは。水口です。
今日は「効率」について、ちょっと違う視点で考えてみます。
■ 「効率至上主義」は効率が良くない?
最近、こんな話を目にしました。
効率至上主義は、人のやる気を低下させてしまうので、
かえって効率は良くない
という話です。
その例として、「流れ生産」と「セル生産」の違いを例にあげています。
「流れ生産」というのは、いわゆる「ベルトコンベア式」の生産のことで、
複数の人が、それぞれの工程を担当して、生産していくと言う方法の
ことです。(実際には「ベルトコンベア」を使わないことも多いですが)
それに対して「セル生産」というのは、1人の人が、1つの製品を
初めから終わりまで担当する方法。つまり、1人ですべて組み立てて
しまうという方法です。
「流れ生産」は「効率」を追求した方法だけど、「非人間的」。
単純作業ばかりで飽きてしまう。
「セル生産」は、1つの製品に責任を持って取り組むので、
働く人のやる気も出る。
だから、「効率至上主義」は良くない。
というのが、私が見かけた主張です。そんな話を複数の場所(本やメルマガ)
で見かけましたし、これからもそういう主張をされる方が増えるかもしれません。
確かに「見かけの効率」ばかりを追い求めるのは良くないこともあるという点
には私も同意するのですが、「効率」をないがしろにするのは、私は反対です。
特に、先の話は「セル生産」のくだりに、大きな勘違いがあるように思えます。
■ 「セル生産」の発祥
そもそも、「セル生産」が成立するようになったのは、「流れ生産」の
なかで、「仕事の効率を上げる」こと(むやみにがんばるという意味では
なく、仕事をやりやすくする改善をすること) をくり返してきた結果、
1人でも効率的に生産できるようになった、というのが発祥のようです。
「セル生産」の生みの親、山田日登志さんがそういう主旨の発言をしていました。
(↓ここでその話を紹介しました)
「仕事のムダ取り」と、その抵抗勢力
その「流れ生産」で「仕事の効率を上げる」という段階を飛ばして、
単に「1人ですべてやる」という生産方式を行ったとすれば・・・、
それこそ「部品や工具をもとめてあっちにウロウロ、こっちにウロウロ・・・」と
いう状態になりかねません。当然効率は落ちますし、その状態で無理に
効率を上げようとすれば、作業者には大きなストレスがかかります。
つまり、言いたいのは・・・、「1人でやるようになったから効率が上がった」の
ではなく、「効率を追求してきたからこそ、セル生産が可能になった」ということ
なんです。これは、似ているようで、大きく違います。
言い換えれば・・・、
・ 「効率を追求する」という積み上げがあったからこそ、セル生産方式に
対応できるようになった
・ 「効率の追求はよくない」と、改善に背を向けてしまえば、セル生産方式
はまったく成立しない(無理にやっても極端に効率が落ちてしまう)
ということです。
ですから、「セル生産」を例にあげて、「効率」を追うことを否定するのは、
明らかに間違いであると、私は思います。
※ ここでいう「効率を追求する」というのは、「がむしゃらに速くやる」という
意味ではなく、「仕事をやりやすくする」ための改善を積み上げていくこと
を指します。
■ 「効率至上主義」の問題点
というわけで、「流れ生産」と「セル生産」を例にあげて、「効率至上主義は
良くない」という主張をするのは、的外れな議論です。
※ この話にやけにこだわってしまうのは、私が製造業の出身だからです。
製造業の現場で、工程や作業方法を「改善」していく(効率を上げる)と
いうことには、「自分の仕事の効率を上げる」だけではなく、「他の人も
仕事がやりやすくなるように」という思いが込められています。その考え方
を私はとてもいいことだと思っていますので、そういう「改善」の活動を
軽視するような発言には、違和感を感じてしまうのです。
ただ、それとは別の観点では、「効率至上主義」の問題点もあります。
たとえば、前にも書いたことがありますが・・・、
「スキマ時間をムダにしたくない」
と思うのはいいとしても、
スキマ時間をムダにしないために、(スキマ時間用の)ムダな仕事を
作ってしまう
ということになると、本末転倒です。
あるいは、
「計画通り行動したい」
と思うばかりに、
今日発生した突発的な仕事に柔軟に対応できない
すぐやれることも、(計画にないからといって)すべて先送りする
となってしまうのはまずいです。
つまり、「目先の効率」にとらわれてしまって、全体が見えなくなると
まずいということです。
もちろん、私達は神様ではありませんから、常に全体を見渡す視点を
持ち続けることは難しいです。しかし、完璧にはできないとしても、
そういう視点(目先にとらわれない視点)で考えようとすることは、
とても大事なことではないでしょうか。
※ たとえば、「自分の仕事の効率」だけを考えて行動するあまりに、
「他の人の仕事」とのつながりが悪くなる。その結果、全体としての
効率が悪くなってしまう・・・というのは良くないですよね。
というわけで、間違った「効率至上主義」にも問題はあるわけですが、
「効率」を毛嫌いするのも間違いです。という話でした。
「効率」という言葉は、人によって解釈が違うので、難しいところも
ありますね。(「がんばる」ことによる「効率」と、「やり方改善」の「効率」
は違いますから・・・どちらも大事なのですが)
今日の記事作成時間は52分でした。
では、また明日!
Posted by 水口和彦 at 23:59
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