2008年06月15日     このエントリーをはてなにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマーク

「水から電気を作る」よりも「空気から熱を」作ろう!?


こんにちは。水口です。

ちょっとこだわるようですが・・・、今日は、昨日の「水から電気を作り出す」と
いうシステムに対抗して「空気からエネルギーを作り出す」システム?を紹介
したいと思います。


■ 「水だけで発電する」という、うたい文句のトリック

昨日の話というのは、「水だけで走る自動車」の話です。
(テレビなどでも紹介されていたので、ご存知の方も多いかもしれません)

そのシステムを開発した企業のHPの「よくあるご質問」のページに
こう書かれていました。
『』内は引用です)
 
『 Q  本当に水だけで発電するのか?

 A  発電します。繰り返しになりますが、新たな外部エネルギーは
     一切使用しません。理論的説明も存在しております。』


とあります。

(引用元はこちら↓)
よくあるご質問 - 株式会社ジェネパックス


このやり取り、なかなか巧みです。

というのは、これに「半永久的に使用できます」と追記すると、明らかに
嘘になってしまいます。
(同社のHP上のメカニズムの説明でも、その記述はありません)

ですから、このシステムの説明に関して「嘘」はない。
という見方もできるかもしれません。
(普通なら言うべきであろうことを、あえて言っていないだけで)

※ それでも、個人的な意見としては「水から電気を作り出す」という
   言い方は適切でないと思いますが。


■ 「空気から熱を作り出す」システムでエネルギー問題を解消?

これについて、わかりやすい例えを思いついたので紹介しておきます。

たとえば、こんな発表があったとしたら、
「エネルギー問題」は解決しそうに思えませんか?


  化石燃料は一切使わず、化石燃料以外のエネルギーも使用せずに、
  「空気から熱を作り出す」システムを開発しました!


「空気から熱を作り出す」ことができれば、それを利用して発電もできる
でしょうし、エネルギー問題は一挙に解決しそうです。

そして、実は、このシステムはすでに実用化されています!


その「システム」とは・・・、



冬場には私もお世話になることもある、「使い捨てカイロ」のことです (笑)

空気を与える(空気に触れさせる)ことで、発熱が始まりますし、
発熱させるためには、外部からエネルギーを加える必要もありません。
ですから、上記の説明は「使い捨てカイロ」についての説明として、
「間違い」ではありません。

もちろん、使い捨てカイロは時間がたつと発熱が止まってしまう(反応が
終わってしまう)のですが、そのことにさえ触れなければ、上記のような
文章に仕立てられるわけです。

もちろん、↓こう書くと嘘になります。

  化石燃料は一切使わず、化石燃料以外のエネルギーも使用せずに、
  半永久的に「空気から熱を作り出す」システムを開発しました!

この「半永久的に」という部分を、自分では言わずに、聞いた人に
想像させるというのが、上記の文章のなかにあるトリックです。

「水で走る自動車」の場合も、これと同じことだと考えられます。


■ (もちろん)「使い捨てカイロ」ではエネルギー問題は解決しない

ちなみに、使い捨てカイロの場合、鉄が酸化する反応を利用して発熱させて
います(だから空気中の酸素が必要なんです)。

この使い捨てカイロと同じ原理でエネルギー問題が解決するかといえば、
そんなことはありません。

※ 自然界に存在する鉄は、ほとんどが酸化鉄の形で存在します。
   それを金属の鉄にするためには、なんらかのエネルギーまたは
   反応物質が必要です。
   (鉄の場合、高温下で炭素(から作った一酸化炭素)と反応させます)

   つまり、「使い捨てカイロ」の中の鉄を作るためには、エネルギーや
   反応物質(この場合は、まさに化石燃料である石炭やコークス)が
   必要なわけで・・・、鉄を作る過程で投入したエネルギーを、「カイロ」の
   なかで、取り出しているとも言えます。
   (エネルギーが増えたわけではないということです)


「使い捨てカイロの原理でエネルギー問題が解決する」と言うと、笑い話に
しかなりませんが、実は「水で走る自動車」もそれと同じである可能性が
高いと思います(反応物として金属を使っている可能性が高いので)。

つまり、「水からエネルギーを取り出している」ように見えて、実は反応物質
からエネルギーを取り出しているにすぎない。そして、そのエネルギーは、
原料となる金属を精錬(特に還元反応)するために投入したエネルギー
を回収しているにすぎない。ということである可能性が高いのです。

※ 実は、「金属」は、エネルギーを貯めこんだ物質であるともいえます。
   たとえば、アルミニウムを作るためには、大量の電気が必要です。

   逆に、できたアルミニウムを酸化反応させると熱が発生します。
   (余談: アルミニウムは粉末にすると爆発性を持つくらいです)
   このエネルギーを電気に変えることができれば、「アルミニウムで発電」と
   いうことになりますが、これは金属のなかに貯めたエネルギーを取り出した
   のと同じことです(一種の蓄電池のようなものです)。

   こういう反応は、蓄電池(バッテリー)と同じように、どんなに効率を
   高めたとしても、入れた以上のエネルギーが返ってくることはありません。


・・・ こういう話が苦手な人は、ちょと難しく感じたかもしれませんが、
「水から電気を作り出す」というのは、「使い捨てカイロ」と同じことである
可能性が高い(※)、と思っていただければよいかと思います。

※ メカニズムの詳細が明らかにされていないので、
   一応「可能性が高い」としておきます。


【余談】
「空気から熱を作り出す」と似た話に、給湯設備などで実用化されている
「空気から熱をもらう」というシステムもあります(「エコキュート」など)。

こちらは、ヒートポンプという、「断熱圧縮」「断熱膨張」のサイクルのなかで
外気と熱交換することによって、発熱効率を高めるシステムです。

もちろん、これはちゃんとした実用的な技術なのですが、
「(外の)空気から熱を奪う」というシステムであり、「空気から熱を作り出す」
というわけではありません。(メーカーの説明では「空気から熱をもらう」という
書き方をされていることが多いようで、これは正しい言い方だと思います)


今日の話を書いていて思ったことです・・・。
「空気からエネルギーを取り出す」というと、いかにも嘘くさいですが、
「水からエネルギーを取り出す」というと、その嘘くささが減るような
気がします(上に書いたように似たりよったりなのですが・・・)。

これは、私たちが「水」になにか神秘的なものを感じていることの
あらわれかもしれませんね。

そういえば、水に関する話や、水関係の機械の解説には、
ときどき科学的にあやしいものがあります・・・。



今日の記事作成時間は95分でした。

では、また明日!




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Posted by 水口和彦 at 23:55│Comments(2)TrackBack(1)

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こんにちは。水口です。 今日は「時間」や「仕事」の話ではありません。 「これはさすがにまずいなあ・・・」と思う報道があったので、 この場を借りて解説させて頂きます。 ■ リッター98kmの超低燃費車登場? テレビで取り上げられていたのですが、G....
またやってしまった!?  科学や技術に弱い 「メディア」 の問題点【時間管理術研究所 □□ 仕事と生き方、幸せの研究所 □□】at 2009年08月13日 06:00
この記事へのコメント
>そういえば、水に関する話や、
>水関係の機械の解説には、
>ときどき科学的にあやしいものがあります・・・。

わたしも、かつて胡散臭い人たちに、「海水からガソリンが作れる」とか「飛躍的に燃費がよくなるオイル」などの話を聞かされました。

どうも「水」というのは胡散臭いビジネスのキーワードになりやすいんじゃないでしょうか。だから「水商売」?
Posted by FUJIKI at 2008年06月16日 10:50
水口です。

FUJIKIさん、こんにちは。

「水商売」・・・ウケました(笑)


しかし、「海水からガソリンが作れる」「飛躍的に燃費がよくなるオイル」・・・

すごいですね(汗)

そういえば、カー用品店によくある「燃費改善」をうたった商品にも、
実は効果が無いものが多いと聞きます。

自動車関係も結構あやしいものが多いのかも・・・(汗)

いや、私も自動車関係にいましたが、商品はちゃんとしておりました。
ただ、自動車関係の「実験(の再現性)」って結構難しいものだとは
常々感じておりました(だからだまされずにすむのかも?)。
Posted by 水口和彦 at 2008年06月16日 18:12
 

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