2008年06月22日     このエントリーをはてなにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマーク

「残業代割増率」を上げればいいってものじゃない!


こんにちは。水口です。
今日は忘れないうちに・・・先週のニュースの紹介です。


■ 「残業代割増率引き上げ」の話

ちょっと固い話ですみません。
こんなニュースがありました。

asahi.com:
残業代割増率引き上げ「月60時間超」案 自公が合意 - 政治


『』内は引用です)
 
『 自民、公明両党は17日、残業代の割増率を引き上げる労働基準法
改正案について、引き上げ基準を政府案の「月80時間超」から「月60
時間超」に修正する議員立法の臨時国会提出を目指すことで合意した。
労働者派遣法についても、日雇い派遣を原則禁止する改正を政府に
求めることで一致した。

  労基法改正案は、長時間労働を抑制するため月80時間を超える
残業に対して賃金の割増率を現行の「25%以上」から「50%以上」に
引き上げることが柱。公明党や民主党を支援する連合が「月80時間の
残業は過労死ライン」として、基準の拡大を求めている。修正案を出せ
れば民主党も賛成に回る可能性があり、成立に一歩踏み出す形だ。 』


とあります。

残業代の割増率(通常賃金に対してどれだけ割増しするか)についての
話です。長時間の残業を抑制するために、ある時間を超えた分について
は、現行の割増率(25%)よりも高く(50%)設定しようというものです。

この議論は前からあるのですが、その基準を「月60時間超」にしようと
いうのが、この記事の話です。


確かに、「月80時間超」よりは「月60時間超」のほうが基準としては
いいと思います。

月80時間を超える残業というと・・・、過労死認定の目安とされている
数字でもあります(数ヶ月連続した場合です)。割増率の引き上げの
基準をそこに置くのは、ある意味では「月80時間超」の残業を容認
するようなものですから、確かに変な話です。

※ 実態としてサービス残業を含めて100時間超の残業をしている人が
   一定数いることも事実ですし、私も過去にしたことがあります。
   しかし、そういう状況は本来は変えていくべきものです。ですから、
   変なところで月80時間超の残業に「お墨付き」を与えるべきでは
   ないと私は思います。


■ 月60時間? 月30時間?

ただ、この議論でどうも腑に落ちない(納得できない)ことがあります。

そもそも、残業時間は労働基準法のなかで「年360時間」という上限が
設けられています(それを労使間で締結するのが36協定です)。

36協定に特別条項を設ければ、1ヶ月30時間を超える残業もできるの
ですが、それはあくまで臨時的なものです。ある月の残業時間が30時間
を超えてもいいけれど、年間では360時間に抑えるということになって
います。


  この36協定と、先の「月60時間」という割増率の基準は、実質的に
  ダブルスタンダード(2つの異なる基準)になってしまいます。


たとえば、ある1ヶ月だけ、残業が60時間を超えた日があったとして、
その分の割増率を上げるというのなら別に構いませんが、それは本来は
特例的なケースです。

そもそも、36協定(労働基準法)を守っていれば、「月60時間超」なんて
ことにはなるのは、非常にまれなケースです。

つまり、こんな法律のために長々と議論すること自体が(厳しく言えば)
ムダなことですし、この法律が可決したとしても、それが「長時間残業を
抑制することにつながる」なんて、言えないはずなんです。
(もし、そう言ってしまったら、36協定(労働基準法)を守らないことを
 前提にしているようなものです)


誤解しないでほしいのですが・・・

私は残業の賃金割増率を上げることがいけないと言っているわけでは
ありません。むしろ、「月60時間超」どころか、もっと低く、たとえば
「月50時間超」に設定すべきだと考えています。
(もし、それに文句を言う企業があるとすれば、その企業はそもそも
「年360時間」を守るつもりがないということになります)


実際のところ、現在も「年360時間」という基準を守れてない企業は
確かにあります(念のために・・・私が前いた会社ではありません)。

そういう実態を改善しなければいけないというのは分かりますが、
それは本来なら労働基準法で足りるはずです。それを、別の基準を
作って「対策しました」という顔をするのは、違うんじゃないかと思う
わけです。

(上記の法律は「ないよりはあったほうがいい」というレベルでしかなく、
 本来の対策にはなってないということです・・・厳しく見れば。)



割増率を上げることは、労働者側から見ればいいことですから、
私も最初「いいこと」だと解釈したのですが・・・だまされちゃいけませんね。



今日の記事作成時間は54分でした。
では、また明日!



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Posted by 水口和彦 at 23:55 │Comments(0)TrackBack(0)

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