「口で言うのは簡単」「やるのは大変」「だけど変えられないわけじゃない」
こんにちは。水口です。
今日も昨日に続いて「本」の話です。
■ 「知事の世界」
最近、店頭で見かけて↓この新書を買いました。
こういう(自分にとって)意外な本に興味がわくのも、
「書店で本を買う」ことのいいところですね。

知事の世界 (幻冬舎新書 ひ 3-1)
タイトルは 「知事の世界」
著者は東国原英夫知事です。
「知事の世界」というタイトルから想像してしまうものはいろいろありますが、
この本は著者の政治に対する考え方が書かれた本です。
私は著者のプロフィールが気になっていたので、その背景が垣間見えればと
思って読んでみました。
著者が早稲田大学(第二文学部)に入学したのは2000年、受験を決意した
のは1999年だそうです。このときに著者の年齢は41歳です。
(著者は1957年生まれ)
40代から新たな分野の勉強を本格的に始めるという人は、なかなかいません。
それに向かう原動力は何かというのは、興味がわきませんか?
(私も40代になりましたので、よけい気になるのかもしれませんが・・・(笑) )
■ 「トップ」としてのありかた
著者のことをいわゆる「タレント知事」と見ることもできますが、政治に対して
真摯に考えていることは、この本を読むと伝わってきます。
(『』内は引用です)
(裏金問題について)
『 知事として僕も減給を申し出た。10月、11月は7割カットで月給が
21万円まで下がった。僕が裏金をつくったわけではない。むしろ裏金
問題を解決しようと働きかけた側だ。それでも県庁のトップとして不祥
事には責任がある。(中略)
前任者から引き継ぐのは権限や地位だけではない。過去に生まれた
負の部分も一緒に引き継ぐのがトップであり、責任者である。』
(58ページより引用)
という部分には、はっとさせられました。
確かに、この部分が一担当者とトップの違いでもありますね。
※ もちろん、一担当者としても、社外の相手に対して「前任者が
やったことだから・・」と逃げるべきではありませんが、「減給」は
さすがにないですね。
『 県知事というのは、自分から何か進んでやりたいと考える人には
実に窮屈なポジションだ。やりたくてもその事業に注ぎ込む予算が
ない。(中略)
逆にいえば、何もやりたくない人にはこれほど楽なポジションは
ない(こんなことを書けば波紋を投げかけたり、批判を食らうかも
しれないがあえて書いておきたい)』
(99ページより引用。カッコ部も原文のまま)
これは、「県知事」に限らないことかもしれません。
民間の会社の中でも、同じような事情はあるのではないでしょうか。
成熟産業(成長が鈍化した安定した事業分野)のトップや役員
(あるいは、その子会社のトップや役員)にも同じような空気を感じる
ことはあります。役員でなくても、部長でも課長でも、そういう人は
いるものです(もちろん、そうではない人もたくさんいます)。
それに文句を言うのは簡単ですが、文句を言うばかりではなく、
それを反面教師にすべきなのかもしれません。特に安定した産業・
会社では、「何かやろうとすると窮屈」「何もやらないのが楽」という
状況を生みやすいですし、それを打ち破ることは、口で言うほど簡単
ではないでしょうから。
※ 念のために・・・
「反面教師」というのは、「自分は絶対こうはならないぞ」と
自分に言い聞かせるために使う「悪い見本」のことです。
(↑やや個人的な解釈含む)
■ 東国原県政が評価できる理由
この本の最後の方に、県の「総合計画」の話が出てきます。
「総合計画」とは、県の事業や業務の計画をまとめたものなのですが、
通常、完成までに1年半や2年ほどかかるものだそうです。
たとえば、知事が就任してから「総合計画」が完成するまでに2年間
かかると、それだけで知事の任期の半分が終わっちゃうという話です。
(これは宮崎だけでなく、他の都道府県でもよくあることだそうです)
2年もかかってしまうのは、それなりのプロセスを経ているからだそう
ですが・・・このスピード感の無さには、がっくりきますね。
しかし、東国原知事はこれを「4ヶ月」で策定したそうです。
(なぜ短期間でできたかという部分は本書をご参照ください。決して
無理矢理がんばったというわけではありません。)
また、その実務を担当した県の総合政策課も、それを無理だとは
言わなかった。むしろ旧来のやり方に問題意識を感じていたそうです。
※ つまり、「今のやり方は問題がある」と感じている人もいたけど、
やり方を変えようとする人はいなかった・・・ということです。
この1点をとっても、「東国原県政は評価できる」と思わせるものが
ありますね。応援したくなります。
こういう話をすると、「だからお役所は・・・」ということを言う人もいます。
確かにそうかもしれませんが・・・、民間だったらすべて良いというわけ
でもありません。
こういう、「本当はやれるのにやらない」「変えたほうがいいのに変えない」
といった事例は民間にもありますし、特に大きな会社、歴史ある会社ほど
多いと思います。どちらも、「口で言うだけなら簡単」「やるのは大変」
「だけど変えられないわけじゃない」というものではないでしょうか。
この本は、著者のことにあまり興味のない方にはおすすめしませんが、
私は面白く読めましたので、紹介しておきました。
今日の記事作成時間は57分でした。
では、また明日!
Posted by 水口和彦 at 23:55│Comments(0)│TrackBack(0)
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