トップチームと、そうでないチームの違いとは?
こんにちは。水口です。
今日は本の話です。
■ 「世界最速のF1タイヤ」
3年前の本ですが、私は最近読みました。

世界最速のF1タイヤ―ブリヂストン・エンジニアの闘い
(新潮新書)
ブリヂストンのモータースポーツ・モーターサイクルタイヤ開発本部長の
浜島裕英さんの本です。
浜島さんは、F1のテレビ放送でも時々登場しているので、見たことの
ある方も多いと思います(タイヤの解説などをされています)。
この本は、浜島さんのタイヤのエンジニアとしての経歴から始まり、
F1の裏事情的な話まで書かれた本です。F1興味のある方はもちろん
ですが、そうでなくてもメーカーでエンジニアとして働く人は面白く読める
本だと思います。
※ これは私の個人的な思いなのですが・・・
日本には「ものづくり」系のエンジニアで優秀な方がたくさんいる
はずなのに・・・、こと書籍の分野になると、あまり目立ちません。
それにはいろいろ理由はあると思いますが・・・、1つの大きな
理由は、「エンジニア」には文章を書いたり、情報を発信したり
することが苦手な人が多いところにあると思っています。
IT系エンジニアの方は、比較的発信量が多いように思いますが、
「ものづくり」系エンジニアの方の情報発信は少ないです。
もちろん、本業が忙しいから・・・という事情もあるでしょうが、
文章を書いたり、情報を発信したりすることにもっと挑戦して
みてはいかがでしょうか。そうすることで、社内、社外の両方で、
多くの人の役に立つことができると思うのですが・・・。
■ 一流のチームとそうでないチームを分けるもの
この本の後半は、著者のF1での経験談がいろいろ書かれています。
興味深い点はいくつもあったのですが・・・こんな話がありました。
(『』内は引用です)
『 強いチームほどディスカッションは徹底して行う。ワンメイクの時代に全
チームと付き合ったのでよくわかるのですが、弱いチームはディスカッション
の時間が短い。ところが、トップチームになると、候補の二種類のタイヤを
徹底的に比較検証し、ケーススタディを十分にしてからでないと絶対に
決定しない。リスクをなるべく少なくするために、チームもドライバーも十分
に納得したうえで、タイヤの選択をしたいと考えている。私たちはだれもが
納得する「論理的な根拠」を示さなければならないのです。』(166ページ)
※ 「ワンメイク」というのは、F1に参戦する全チームが同じタイヤを採用
していた時期のことです。この本が刊行されたころはブリヂストン以外
にミシュランも参加していたのですが、昨年から再びブリヂストンの
ワンメイクになっています。
※ 補足しておくと・・・ これはテスト走行後(レース前日)の数時間に
行われるミーティングの話です。ですから、『ディスカッションは徹底して
行う』といっても、「慎重に慎重を重ねて・・・決断を先延ばしする」という
のとは全然違います。
また、90ページにも、トップチームと弱いチームの差について書かれて
います。トップチームがオフシーズンに行うテスト走行について、
『朝九時から夕方の六時までサーキットを予約しているとすると、彼らは
その九時間がフルに使えるような環境を整える。(中略)
もしどこかのパーツが壊れれば、すぐに別の新しいものにセットごと交換
する。これならば三、四十分後にはまた走れ、時間に無駄がでない。』(166ページ)
とあります。これに対して弱いチームは、
『スペアエンジンはもってきても、パーツをセットしておくところまでは準備
していない。エンジンを交換するとなると二時間から二時間半はかかり、
実質は四時間くらいのテストになってしまう。』
『トップチームと中堅以下のチームとでは、テストでの走行量がまったく
違うのです。これがチーム力なのかと、つくづく感心しました』
とあります。
もちろん資金力や人員構成にも差はあるのでしょうが、それだけでなく、
ポイントになる部分(レース前やテスト前)で、「最善の答を追求する」、
「リスクを最小化する」ということをいかに徹底できるか。
そのためには、事前の準備や長いディスカッションをいとわない
(妥協しない)という姿勢があるか。
という点で、大きく違うのではないでしょうか。
もちろん、F1の場合は、資金力や積み上げてきたノウハウも大きく違う
のでしょうが、トップチームはそれにあぐらをかいているわけではなく、
他のチーム以上に何事も徹底しているということなんですね。
以前、聞いたことがある話ですが、テニスの世界ランキングに入るような
トッププレイヤーは、技術的・体力的にはほとんど差が無いと言われます。
ランキング上位のプレイヤーと、下位から脱出できないプレイヤーを分ける
ものは、精神的な部分だと言います。
それと似たように、F1に限らず、トップチームであるためには、ほんの少し
の妥協を許さずに取り組むかどうか、そしてその積み重ねが大きな違いに
なるのではないでしょうか。
これは「プロフェッショナル」論にも通じる話です。
自分の仕事のなかで、妥協してはいけないポイントはどこにあるか、
考えてみるといいかもしれませんね。
今日の記事作成時間は47分でした。
では、また明日!
Posted by 水口和彦 at 23:55
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