2008年08月06日     このエントリーをはてなにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマーク

これは便利かも!? コンパクトな「トヨタ生産方式」解説本


こんにちは。水口です。
今日も本の話をいきます。


■ コンパクトな「トヨタ生産方式」解説本

「こういう本が手元にあってもいいかな」と思い、
書店で何気なく購入した本です↓

amazon
ポケット図解 トヨタ方式の基本がわかる本
(Shuwasystem Business Guide Book)


「トヨタ生産方式」については、前職で工場を見ていたこともあり、
また、本も読んだりしたので、かなり詳しい自信があるのですが、
コンパクトにまとまっている本があると便利かな? と思い、購入
してみました。

買ったのはだいぶ前なのですが、最近再読する機会があって、
あらためて「なかなか便利な本かも・・・」と思ったので紹介します。

この本は、薄くて(120ページ)、内容的にもまとまっていて、
全般的に良い感じです。

ところどころ、間違った記述があるのがタマに傷ですが・・・(汗)

※ 具体的には・・・p.68、p.74の記述が変です。
   説明不足なのかもしれませんが、読んだ人が誤解する可能性が
   あるので、これは良くないと思います。

   また、104〜105ページに「7つのムダ」 (←結構有名)が
   あるのですが、「手待ち(てまち)のムダ」を「手持ち(てもち)のムダ」
   と間違って書かれています。ありがちな間違いですが・・・、
   「手持ちのムダ」では、何のことかわかりません(汗)
   (他に「作り過ぎのムダ」→「作りの過ぎのムダ」という間違いも・・・)


■ 「トヨタ生産方式」は万能か?

トヨタ生産方式(略してTPSとも言います)という言葉は、最近は
ビジネス書コーナーや、ビジネス誌のなかでよく見かけます。

最初に言っておくと・・・、「トヨタ生産方式」は必ずしも万能では
ありません。しかし、非常に良くできた方法であることは確かですし、
細かいところにも様々な工夫がなされていてとても参考になります。
私自身もデスクワークを改善するためのヒントを色々もらっています。

※ 【余談です】
   「万能ではない」というのは、この方式が「多品種少量生産」に
   向いているようでいて、実は向いていないところにあります。

   「かんばん方式」に代表されるジャストインタイム生産方式は、工程間に
   少量の在庫を持ち、それをうまく回すところに特徴があります。この手法
   は仕掛在庫(中間在庫)を少なくできるメリットがありますが、必ず在庫を
   持つことになるため、場合によってデメリットがあります。生産する品種数
   が多くなると「薄く、広く在庫を持つ」ことになり、結果として在庫は多く
   なってしまうのです。

   完成車メーカー(最終製品のメーカー)としてはこれでもいいのでしょうが、
   修理用の補給部品の生産も担当する部品メーカーでは、すべてをトヨタ
   生産方式でまかなうことは不可能です。(たまにしか作らない製品のため
   に仕掛在庫を持つことは合理的とはいえません)

   もちろん、トヨタの人はそういうことも理解していると思いますが、それを
   取り上げるメディアは、理解しているとは思えないケースがあります・・・。


   くれぐれも・・・「万能ではない」から「トヨタ生産方式」がダメだということ
   ではありませんので、誤解のないように・・・。

   生産方式の比較として、JIT(ジャストインタイム)よりもTOC(制約条件
   の理論)の方が優れているという人もいますが、私は実際の運用の容易
   さや、現場の自律性を高めるという意味でJITの方に優れた点が多いと
   思います。(TOCは中央集権的な改善なので継続的になりにくいのに対し、
   JITはそうではないからです ←だからこそ現場の負担は大きい・・・?
   もちろん、TOCにもメリットがありますので、否定するものではありません。)
   【余談終わり】

■ トヨタ生産方式の全体像

この本の25ページに「トヨタ生産システムの全体像」という図があります。
この図がわかりやすくていいです。

基本戦略が
□ ジャスト・イン・タイム
□ ニンベンの付いた自働化

基本戦術が
□ かんばん方式   
□ かんばん方式実現のための工夫(4S・5S、1個流し、多能工化 等々)
□ 標準作業
□ 自働化・見える化

それらすべてに関わることとして、
□ カイゼン

という分類が図解化されています。
(本の章立てとも対応しています)

「トヨタ生産方式」を理解している人でも、この1冊を持っておくといいかも
しれません。(前述のように一部間違いはありますが・・・)


■ トヨタ生産方式を時間管理に応用する

「トヨタ生産方式」と同じ手法でデスクワークを管理することはできませんが、
基本的な考え方として、参考になる部分はあります。

先の「基本戦略」の2つが、特にそうです。
□ ジャスト・イン・タイム
□ ニンベンの付いた自働化

私も、意識したわけではないのですが、後から考えてみると、この2つの
考え方には大きな影響を受けています。


「ジャスト・イン・タイム」と「かんばん」は、工程間の部品のやり取りをするため
の仕組みですが、「かんばん」は現物の素性を示す説明書きであると同時に、
生産指示票でもあります。

これは一種の「タスク」を示すものとも言えます。私の時間管理手法は、
「ジャスト・イン・タイム」とは基本的に違いますが、「やるべきことを明確化する」
という意味では、「かんばん方式」の影響を受けているような気がします。
(実際、自分の仕事に比べて、現場は「やること」が明確でいいなあ・・・と
 思ったことが、時間管理手法を工夫したきっかけの1つなんです)


「ニンベンの付いた自働化」や「見える化」は、「異常」を早期発見する仕組み
であり、異常があればすぐに対処する仕組みです。

たとえば、時間管理で言えば、タスクが多くて時間が足りない(このままでは
仕事の期限に間に合わない)という状況が、早期発見すべき「異常」です。

従来の時間管理(「ToDoリスト」や「優先順位」方式)では、この「異常」に
なかなか気づかないところに問題がありましたので、それをカバーするために
私は時間管理に「リソースを管理する」という概念を取り入れています。


・・・こう考えると、「トヨタ生産方式」に知らず知らずのうちに影響を受けて
いることにあらためて気づきます。ちょっとくやしいのですが・・・(笑)



さて、この本ですが・・・、
この本で「まったく知らない人」がトヨタ生産方式を理解できるようになる
かどうかはちょっと自信がありません。説明不足が多い気もします。

むしろ、トヨタ生産方式を知っている人が、復習やまとめとして、
この本を持っておくといいのではないかと感じました。コンパクトに
まとまってますし、そういう意味でもおすすめの本です。



今日の記事作成時間は60分でした。
では、また明日!



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Posted by 水口和彦 at 22:53│Comments(0)TrackBack(0)

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