2008年08月30日     このエントリーをはてなにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマーク

「工学部」「エンジニア」は、なぜ不人気なのか?


こんにちは。水口です。

今週の「パソコン話」は昨日までとして(また機会を見つけてやります)、
今日は違う話です。

このブログのテーマとは直接関係ないのですが、私が気にしている
「理系の不人気」についての話です。


■ 「工学部」の危機?

こんな記事がありました。

「賃金低い、出世しない」 「工学部離れ」で志願者4割減
(J-CASTニュース) - Yahoo!ニュース


『』内は引用です)
 
『 大学工学部の志願者が、ここ5年で4割も減少している。この「理系離れ」
について、専門家は、工学部出身者が会社内で不遇なことも一因とみる。
金融・証券の会社に就職する例も増え、このままでは、技術立国ニッポンは
沈没するのか。』


 
『 理系、特に工学部離れは、確かに顕著なようだ。文部科学省の学校基本
調査によると、2008年度入学の大学入試で、工学部の志願者数は、前年
度比1割近く減の24万人余。これが5年前に比べると、なんと4割も減って
いるのだ。』


とあります。4割も減るというのは、大きな変化ですね。

同じ理系出身者として、ちょっと寂しいものを感じます。
(私は工学部ではなく理学部(の化学)出身ですが、会社では
 工学部の人達と机を並べて仕事をしていました)

上記の記事には、こうあります↓。

 
『 「エンジニアが下積みになっています。親や先輩、友人の父親を見て、
生涯賃金のことが分かるので、インセンティブが小さいんですよ」』

 「理系の経営学」などの著書がある東大大学院工学系研究科の宮田
秀明教授は、理系離れと言われる現状をこう嘆く。』


『 工学部離れの理由について、宮田教授は、高度な技術が要求されるに
もかかわらず、エンジニアの賃金が安く、幹部に出世しにくいことを挙げる。』



確かに、生涯賃金等々の観点では、エンジニアの仕事はそう魅力的では
ないと思います。記事で指摘されていることは私も感じたことでした。
(私は理学部の院卒→メーカーに13年勤務のエンジニア経験があります)

・ 賃金がそれほど高いわけではない

   誤解のないように・・・そう低いわけでもありません。
   しかし、ある意味で「特殊技能」が必要な仕事の割には、それが
   賃金に反映されているとは感じません。

・ エンジニアは幹部に出世しにくい

   これはよくある話ですね。慣例としてこういう傾向がある会社は多い
   でしょうし・・・。逆に、エンジニアを幹部にしてもうまくいかないことも
   多いと思います。


上記の記事で、さらに驚くのがこの記述です。↓
 
『 宮田教授によると、こうした状況があって、東大でも工学部から金融・証券
の会社に就職する学生が増えている。「私の研究室でも、10年以上前は
20〜30%に過ぎなかったのが、今や100%にもなるんですよ」。』


ある1つの研究室の例とはいえ、東大工学部の卒業者の全員が金融・証券系
に就職するというのは、厳しい状況ですね。これは、工学系の学生の優秀な
ところから、金融系に持って行かれているということを示しています。
(もちろん、学歴だけがすべてではありませんが・・・)

これでは、確かに「技術立国」には厳しい状況でしょう。


■ エンジニアの待遇を改善するなら・・・

上記の状況には、「製造業」自体のの人気が下降していることと、職種として
の「エンジニア」の人気が下降していることの2つの要因があるわけです。

では、後者のエンジニアの待遇を改善するとしたら、どうするべきでしょうか?


私は現状には2つの問題点があると思います。

・ エンジニアの仕事は、成果が賃金に反映されにくい傾向がある

   数年かけて開発した製品が大ヒットしたとしても、(その功績が評価
   されるとはいえ、)賃金にはそれほど反映されないことが多い。
   「製造業」全般にこの傾向があると思います。

・ 優秀な人ほど、エンジニアとしてキャリアを全うできない

   エンジニアの中には、エンジニアとしての仕事を全うしたいという
   人(管理職や役員になりたくない人)が少なくありません。
   しかし、業績を上げたり、出世するほど、本人の意志に反して
   それが難しくなる傾向があるわけです。

こういった点は過去からあるわけですが、昔はそれでもエンジニア職自体の
人気に助けられて、人は集まってきていたわけです。

しかし、周りの環境が変わってきている以上、特に製造業のエンジニア職の
待遇も変えていかなければいけないのではないでしょうか。



この話を考えるとき、ノーベル化学賞を受賞した田中耕一さんのことを
思い出します。

『』内は引用です)
 
『田中は現場にいることを好んだため、昇進の話をたびたび拒み、ノーベル賞
受賞時も島津製作所に於いては年齢的に不相応な係長という職にいた。
しかし同賞受賞に伴い会社の業績に多大な功績を与えたため、島津製作所は
待遇を上げた上で現場に留まれる「フェロー」という職制を新たに創設した。』


(Wikipediaから引用しています。↓この記事です)
田中耕一 - Wikipedia

この話はいい話なのですが、この一件があるまで、「フェロー」という職制が
なかったこと、他の製造業にもほとんど無いことが問題です。つまり・・・、

・ 会社に貢献したエンジニアほど、現場から離されてしまう

という構造があるわけです。それを望む人もいるでしょうけど、望まない人も
多いわけです。ここに改善の余地があるように思います。


■ キャリアとしての「エンジニア」を見直すなら・・・

一方、働く側の立場として見ると・・・「エンジニア」の魅力がなくなってきている
ようにも思えます。それは上記の「待遇」の話だけではなく、

  「エンジニア」の職は、つぶしが効かない

という問題があると感じます。

IT系のエンジニアはまだ人材流動性が高い方で、製造業のエンジニアは
特につぶしが効きません。

社会全体として人材流動性が高まるほど、この問題がより深刻になります。

※ 「つぶしが効く」というのは、別の会社や職業に転職しても、やっていける
   能力があるという意味の言葉です。



私自身、製造業のエンジニアから転職(独立)して、現在の立場にあるわけ
ですが、その中で感じたのは・・・

・ 「エンジニア出身者」の能力は、違う業種でも立派な武器になる

・ その反面、違う業種への転職は簡単ではない
 (=つぶしが効かない)
  (準備に人一倍の努力が必要になる)

ということでした。

たとえば、私が現在行っている仕事の中で、「本の著者」や「研修の講師」と
いう職種では、「エンジニア出身者」「理系出身者」が少ないのが現状です。
(出身を言うと「珍しいですね」と言われることも多いです)

しかし、本や研修などで、新しく、有益なプログラムを開発していくためには、
エンジニア出身者の力がもっと必要だと感じますし、参入する人が増えて
ほしいと、私個人は強く感じています。

「エンジニア」は概して「(文章を)書くこと」や「人前でしゃべること」が苦手な
傾向があります。だからこそ、それを乗り越えたエンジニアには、やれる仕事
がたくさんあるように思うのですが・・・。



なんだか、とりとめの無い話になってしまいましたが、
「エンジニア」はなかなかいいものだと思っているので、もっと見直されて
ほしいですし、もっと活躍する人が出てきてほしいと思っています。


今日の記事作成時間は62分でした。
では、また明日!



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Posted by 水口和彦 at 23:55│Comments(0)TrackBack(1)

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[トラバ]【ウッチャン日記】at 2008年09月02日 00:31
 

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