2008年10月18日     このエントリーをはてなにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマーク

「ムダな(ムダになるかもしれない)仕事」をやれる幸せ


こんにちは。水口です。

昨日は、「ムダな仕事が必要なこともある」という話でしたので、
今日は、「ムダな仕事ができる幸せ」の話です。


■ 新しいアイディアや発見は、「ムダな仕事」から生まれる?

一口に「ムダな仕事」といっても、色々あります。

昨日の話は、複数のシナリオを想定し、それぞれについて次のステップの
準備を並行して進めておくという話でした。

たとえば、実験の結果はAと出た場合はこちら、Bと出た場合はこちら・・・と
いうように、複数の仕事の準備を進めておくわけですから、ほとんどの場合、
どちらかの準備はムダになります。かなり、確信犯的な「ムダ仕事」です。

昨日の話は、開発リードタイムを優先するために、あえてそういう「ムダ」を
取らなければいけないという話だったわけですが・・・それ以外にも「ムダな
仕事」はあります。

「ムダな仕事」というか、「ムダになるかもしれない仕事」です。


たとえば、「こんなアイディアを試してみたい」という思いつきがある場合、
それが「ムダになるかもしれない」と思うと、実際にやってみることを躊躇
してしまうことがあります・・・。

しかし、そういったアイディアを試してみることで、思った以上に良い結果
が得られることがあります

私の場合、昨日の話に出た開発の仕事でもそうでしたし、現在の仕事でも
そうです。むしろ、現在の仕事の方が「ムダ(になるかもしれない)仕事」に
対する許容度を高くするように心がけています。


  「ムダ(になるかもしれない)仕事」

は、それだけ

  「すんなりうまくいく可能性が低い仕事」

だということです。

そして、すんなりうまくいくとは思えないことにこそ、新しい発見があったり
することもあるもので・・・こういう「ムダ(になるかもしれない)仕事」は、
長い目で見れば「ムダ」とは言い切れないものです。

極端な例ですが・・・、ノーベル化学賞を受賞された島津製作所の田中
耕一さんの研究は、作成を失敗したサンプルを、試しに測定してみたこと
から見つかったそうです。また、同じく化学賞受賞者の白川英樹さんの
導電性高分子の研究も、学生が「失敗しました」と言って持ってきた
サンプルが研究を前進させる結果になったそうです。

※ こういう例って「化学賞」に多いような気がします・・・(汗)
   そこが化学の面白さ、ということで。(←化学科出身者)


ですから、

  「ムダ」を恐れていては、大きなブレークスルーは得られない

ということですし、もっと大胆な言い方をすれば、

  「ムダな仕事」を避ける人に、独創的な仕事はできない

ということになります。


というわけで、一見「ムダな仕事」に見えても、やってみたいと思った
ことはやってみるというのも大事なことだと思います。


■ 「ムダになるかもしれない仕事」をやれる幸せ

しかし、「ムダになるかもしれない仕事」をやるのは、勇気のいるもの
です。特に、忙しいときほどそうです。

ここが難しいところで・・・、たとえば、「ムダになるかもしれない仕事」
をやれる環境に身を置くことも必要になってくるかもしれませんし、
こっそり隠れてやるというしたたかさが必要になるかもしれません。

逆に、思う存分「ムダになるかもしれない仕事」ができる環境にいる
(新しいことに挑戦したり、新しいアイディアを試したりできる)ことは、
それだけ幸せなことですね。

しかし、こういう環境を作るのは、なかなか難しいものです。
私もそうなれるように心がけていますが、時には、ままならないことも
あります・・・。

人は、ついつい「やらなければいけないこと」を増やしてしまう生き物
といっても過言ではありません。 (←ちょっと大げさですが (笑) )
だからこそ、意識してそういう環境を作っていくことが必要な場面も
あると思います。


■ 「やりたいこと」をやるには、「やらなければいけないこと」から

と、ここまでが外的な要因で、
ついでに、内的な要因としては・・・、

  「やらなければいけないこと」をさっさと片付けること

これがとても大事だと思います。


よく、「緊急なことより、重要なことに取り組みなさい」と言われますが、
私は、人間そんな簡単に割り切れるものではないと思っています。

  「やらなければいけないこと」が気になっているのに、
  「やりたいこと」に集中できるほど、人間は器用ではありません

というのが私の考えです。

「やらなければいけないこと」を整理し、気にならないようにする。
そして、効率的に片付けてしまう。それが「やりたいこと」、ここで言う
「ムダになるかもしれない仕事」をやる秘訣だと確信しています。
(よほど環境に恵まれているか、よほど意志が強い人なら別ですが)



「時間管理」は、「やりたいことをやるための技術」でもありますが、
だからといって、「やりたいこと」ばかり考えていてもうまくいきません。
むしろ、

  「やりたいこと」をやるために、
  いかにして「やらなければいけないこと」を片付けるか

という視点に立った方がうまくいくと感じています。
遠回りのようですが、実はこちらの方が近道だと思いますよ。

※ もちろん、「やらなければいけないこと」」をむやみに増やし
   すぎないことも必要になります。これも「時間管理」(特に
   リソースを管理すること)によって、実現しやすくなります。




今日の記事作成時間は63分でした。

では、また明日!


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Posted by 水口和彦 at 23:55│Comments(2)TrackBack(0)

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この記事へのコメント
こんばんは。いつも読ませてもらっています。
言いたいことは伝わりました。個人的には「ムダ」という言葉よりも「失敗」という言葉の方が適切かと思います。誰も「ムダ」になると思って、取り組んでいるとは思いません。可能性がゼロでなければ、挑戦する価値がある。それが「失敗」しても、なんらかの成果を得ているはず。それが偶然大きなことだったりするわけですよね。
 ただし、日本では「失敗」を許容する土壌が貧弱です。失敗を恐れず挑戦できる風土を築いていきたいです。
Posted by 多ぁ忙 at 2008年10月19日 22:30
水口です。
多ぁ忙さん、おはようございます。

話の流れから「ムダ」という言葉を使いましたが、おっしゃるように「失敗」という言葉の方が
適切だったかもしれませんね。

言葉のニュアンスとしては、

 失敗:成功する確率の方が高い(けど、時々失敗してしまうこと)
 ムダ:失敗する確率の方が高い(けど、思いがけない良い結果が得られることも)

という違いはあるかもしれません・・・かなり微妙な違いですけどね(笑)
Posted by 水口和彦 at 2008年10月20日 07:23
 

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