ちょっとしたフォローが効果的!・・・ 「期限にルーズな人」への対処法
こんにちは。水口です。
今日は昨日の話の続きです。
■ 「仕事の期限にルーズな人」への対処法は?
昨日は、「時間にルーズな人」への対処法の話をしましたが、これとは違った
「ルーズさ」のある人もいます。「仕事の期限にルーズな人」です。
「仕事の期限にルーズ」といっても、色々タイプはあります。
たとえば、
・ 仕事量はそうでもなさそうなのに、よく仕事が遅れるタイプ
根っからの「ルーズ」なタイプ。仕事が遅れたこと自体、あまり悪い
と思っていない(ように見える)ことも。周りはイライラするけど、
本人はあくまでマイペース(に見えます)。
・ 仕事を抱え込み過ぎて、ついつい仕事が遅れてしまうタイプ
本人自身も悪いと思っているので周りから見ても気の毒なタイプ。
とはいえ、期限が遅れたことをきつく責めることもできなかったり
するなど、こちらがストレスを溜めてしまうことも・・・。
という2つのタイプの人は、実際に私も経験しました。
ちなみに、このブログをお読みの方には、前者のタイプはいないと思います。
そういうタイプの人は、自ら時間管理の知識を得ようとは、あまり考えること
がないと思います。
自分が後者のタイプに当てはまるかも・・・と思う方はいるかもしれません。
そういう方には、「時間管理」を行うことをおすすめしますが、今日のところは
それは置いておいて、あくまでも「ルーズな人への対処法」として考えてみて
ください。
■ 「期限にルーズな人」への対処法: 効果的ではない事例
そういう「期限にルーズな人」に対して、
期限の遅れに対して、厳しく指導することが大事
と考える上司の方は多いと思います。
実際に、私が見聞きした事例もあります。
ところが、このやり方は、実際にはそれほど効果はないと感じます。
たとえば、新入社員のうちなどであれば、仕事の上での「納期」が重要な
ことを理解してもらうために厳しく指導する、というのも効果があると思い
ます。
しかし、入社して何年も(あるいは十何年も)経っている人の場合、今まで
にも色々怒られたり、文句を言われたりしてきているわけです。それでも
直らないのなら、やり方を変えるしかありません。
■ 効果的ではない理由: 行動分析学から
また、「期限が遅れた」ことに対して、いくら厳しく指導してもあまり効果が
ないというのは、「行動分析学」的にも説明がつきます。
「行動分析学」という学問は、なんだかものものしい名前ですが、もっと
平たく言うと、
行動分析学 = 「習慣づけ」を科学的に考える学問
と言ってもいいと思います。
無意識的なものも含めて、「ついやってしまう行動」をやめるための
メカニズムや、逆に「やりたいけれども続かない行動」を続けるために
どうすればいいかを研究している学問です。
この行動分析学では、フィードバックを早く行うことが重要だと言われて
います。これを簡単に言うと、犬のしつけと同じです。
犬のしつけでは、「良いことをしたらすぐほめる」「悪いことをしたらすぐに
しかる」ことが大事だというのは、ご存じの方も多いと思います。
人間もそれと同じだ・・・というと、「犬と一緒にしないでよ」と思う人も
いるかもしれませんが、これは実際に実験でも確認されていることです。
すぐほめられると(あるいは、すぐ効果が得られると)、その行動は習慣に
なりやすい(その行動が「強化される」と言います)というメカニズムは、
人間にもまったく同じようにあるそうです。
※ もちろん、人間の場合、自分の行動の意味や影響を、時系列を
さかのぼって考えることもできます。ですから、犬とまったく同じと
いうわけではありません(そこに行動分析学の限界もあります)。
しかし、行動分析学的なアプローチが実際に効果があるという
事例は数多くありますし、このアプローチは決して軽視できません。
先のケース(仕事の期限に遅れる)の場合、
結果としての問題は・・・
仕事の期限(ゴール)が遅れたこと
実際に良くない行動(直すべき行動)は・・・
仕事のスタートが遅いこと
です。
「期限に遅れた」という事態が発覚した時点では、すでに問題の行動
(仕事をスタートしていないこと)から、ずいぶん時間が経ってしまって
いますから、この時点で厳しく指導しても効果は薄いわけです。
■ 「期限にルーズな人」への対処法: 効果的な事例は?
では、どういう指導が効果的かというと・・・一言でいうと、
遅れたことを責めるよりも、遅れる前の時点で指導する
(または本人に考えさせる)
しかありません。ゴールの時点であれこれ言っても効果は薄いですから、
スタートに近い時点で言うしかないわけです。
□ 事前の「質問」が効果的
これは、それほど難しいことではありません。
たとえば、仕事の期限の数日前に、
「○○の件、順調に進んでます?」
といった質問をするだけでも違います。
もし、本人がその仕事のことを忘れていたら、ドキッとするでしょうし、
考えるきっかけになります。また、もし遅れていることが発覚したら、
早い段階で対処することにもつながります。
□ 面倒だけど、やったほうがいい
もちろん、これは実際にやるのは面倒なものです。
「なんで、人の仕事の進み具合まで心配しなきゃいけないんだ」
「期限に間に合わせるのが当たり前だろう」
と思うこともあると思います。それでも、その人の仕事が遅れることで
後で起こる問題に対応することに比べれば、こちらの方が楽なことは
多いはずです。ここは冷静に、損得勘定でいきましょう。
また、こうして事前にフォローすることが続くと、本人の仕事の進め方
も、多少は変わってきます。ですから、あまりイライラせずに、やってみて
はいかがでしょうか。
□ 実際のやり方
実際に行うときには、こうやります。
・ 仕事の予定が決まった時点で(期限が決まった時点で)、
その相手に上記の質問をする日を決めてしまいます
(仕事の内容によりますが、納期の1週間前や2〜3日前など)
・ 自分のスケジュールのその日(フォローする日)の日付に、
「□□さんに○○の件を確認する」と書いておく
(フォローすることを自分の「タスク」として書いておくわけです)
・ フォロー当日に上記のように聞く
(「○○の件、順調に進んでます?」「○○の件、いつできます?」等々)
このようにすると、「期限の○日前に確認しなければ・・・」ということを
いちいち考えなくて済むので、自分自身の負担はあまり増えません。
実際やってみると、あまり手間はかからないと分かって頂けるはずです。
もちろん、相手が期限に間に合うように仕事をしてくれるようになれば、
毎回聞く必要はなくなります。
※ このやり方は、いろいろ応用が利きます。
たとえば、プロジェクトマネジメントの中でクリティカルパス上のタスク
(特に遅れてはいけない仕事)の進捗をフォローするためにも使えます。
■ こちらもご参考に
今日紹介した考え方をベースにした、
タイムコンシャスな組織づくりのための「リーダーの3つの心得」
というものを、今年、NECさんのサイト「Wisdom」での連載記事でも
紹介しています。(会員登録が必要ですが、無料です)
(↓第3回:チームとしての時間活用法 がそうです)
チームとしての時間活用法 : タイムコンシャスな人づくり・組織づくり | Wisdom
(連載のトップページはこちら↓)
タイムコンシャスな人づくり・組織づくり | Wisdom
よろしければご参照ください。
ちなみに、同サイト(Wisdom)での新しい連載記事を、現在進めています。
第1回は現在、原稿の最終直し中。もうすぐ公開(来週くらい?)です。
今回は、なんと・・・手帳のプレゼント企画もあるという、太っ腹?ぶりです。
↓Wisdomに登録して頂けると、メールでも紹介が届きますので便利かと。
(Wisdomのトップページはこちらです↓)
Wisdom 〜ビジネスに役立つ「次の一手」をあなたに
今日は長くなりましたが、「時間や期限にルーズな人」と仕事をするためには、
「結果」をガミガミ言ったり、自分がイライラしたりするよりも、ちょっとした
フォローやコミュニケーションが効果的。というのは、時間管理における1つの
鉄則かもしれません。なにか、できることから始めてみてはいかがでしょうか。
今日の記事作成時間は72分でした。
では、また明日!


Posted by 水口和彦 at 23:55│Comments(0)│TrackBack(0)
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