2008年11月12日     このエントリーをはてなにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマーク

「すぐやる」ことのメリットと、「すぐやる」に隠れた「先延ばし」


こんにちは。水口です。

今日は、昨日の話にあった講演での、もう1つのご質問について。


■ 「すぐやる」ことの是非

タイムマネジメント(時間管理)の話の中で、私はポイントの1つとして、
こういうことを紹介しています。


  やれるものはその場でやってしまう


タイムマネジメントは、「計画的に仕事をする」ことでもありますが、だからと
いって、「仕事は計画に組み入れてからしか行ってはいけない」ということ
ではありません。


その場ですぐに終わるものは、その場で片付けてしまうことも大事です。

※ 個人的には「5分以内で終わる仕事」はそうするようにしていますが、
   この「何分以内」というのは、人それぞれでいいと思います。


そうすることで、細かなタスクで計画が太りすぎることが防げますから、
結果として、タスクを管理するのが楽になります。

また、心理的にも負担が減ります(簡単なタスクとはいえ、その数が積み
重なりすぎると負担になることがあります)。

さらに、「すぐやる」習慣は、組織の仕事の流れを良くする効果もあります。
ですから、私は結構大事なことだと考えています。


さて、頂いたご質問は、その逆パターンで、

  いろんな頼まれごとなどを、すぐやってくれるのはいいけれど、
  その結果、本人の仕事量が増えすぎている人は、どうしたらいいか?

という主旨のご質問でした。


■ 自分がやるべきか、やらざるべきかの判断

「頼まれごとを嫌な顔せずに引き受けてくれる」
「頼んだことをすぐやってくれる」
「その職場の仕事のことを何でも知っている」

そういう人のところに仕事が集中しやすくなってしまうのは、当然といえば
当然のことです。

しかし、その人の仕事量が多すぎるせいで、いつも長時間残業しているとか、
肝心な(大事な)業務が遅れてしまうことがあるようなら問題です。


上司はそういう人の仕事を減らすよう(他の人に分散させるよう)に考える
必要がありますが、実際のところ、上司とはいえ、部下の仕事のすべてを
把握しきれていないことはよくあります。

ですから、どうしても本人自身が自分の仕事量を把握し、自分がやるべき
ことと、人に振ることを区別していかなければいけません。
(もちろん、上司がその努力を放棄しても良いわけではありませんが)

つまり、先の「仕事量が増えすぎている人」自身が、タイムマネジメントを
行い、その中で自分の仕事を整理し、仕事量をつかむ必要があるという
ことです。


タイムマネジメントを行うこと。まずは、タスクを(実行日別に)書き出すことを
始めるだけでも、変わってくると思います。


■ 「頼まれごと」にまつわる心理

次に述べることは、誰にでも当てはまるとは限りませんが・・・、
なかには、

  「頼まれごと」に対して、過剰に対応する人

もいます。

自分自身が、重要な仕事を抱えているはずなのに、人からの頼まれごとに
対して、とてもていねいに、ときには「そこまでやらなくていいんじゃない?」と
思えるくらいに対応する人です。

これは、「親切」もあるのでしょうが、場合によっては一種の「先延ばし」に
なってしまっている場合もあります。


たとえば、こんな状況です。

  難しい、(少し長期的な)、でも、とても重要な仕事に取り組むのは、
  心理的には負担に感じることもあるものです。
              ↓
  そんなときに、(自分から見れば)簡単な頼まれごとがあると、
  ついつい、そちらの方をやりたくなってしまいます。
              ↓
  このときに、先の「重要な仕事」に戻りたくないので、「頼まれごと」に
  過剰に対応してしまう

こんな状況です。

私自身、こういう心理を感じたこともあるので、自戒をこめてあえて厳しく言い
ますが、これは一種の「先延ばし」になってしまっています。



重要な(でも面倒な)仕事をやらなければいけない。でもやりたくない。
そんな状況で、簡単な頼まれごとをやるのは気が楽なものです。
(悪く言えば、一種の「現実逃避」です)

また、この場合は「人から頼まれたことだから」という大義名分も立ちます
から、堂々と「嫌な仕事を先延ばし」できるわけです。


傍から見ると「あなたはそんなことやってるヒマないでしょう」と言いたくなる
ような仕事を抱えている人が、意外にうれしそうに頼まれごとを引き受けて
しまうケースには、無意識的にこういう心理が働いているように思えます。
(自分自身にも、そういう心理があると感じたことがあります)

しかし、もちろんですが、「先延ばし」自体は、後でよくない結果を招きますし、
後悔することが多いものです。できるだけ早く、本来やるべきことに戻るべき
なのですが・・・。



この「先延ばし」の対策は、

  すぐ終わる(たとえば5分で終わる)ことはやる

  すぐ終わらないことは、自分の仕事量を見た上で
  自分がやるべきかどうか判断する

ということを徹底することです。

また、「先延ばし」しないためには、自分が「やるべき」ことを自覚することが必要
ですし、そのためには、やはりタイムマネジメント(時間管理)が効果的です。

特に、長期的なスケジュールも踏まえた上で、「本当にやるべきことは何か?」
と考えることが大事です。(これは、特別に「目標」や「価値観」を設定することを
指しているのではありません。長期的なスケジュールを立てて、見るだけでも、
今「やるべきこと」は見えてくることが多いものです)



上記の話は、私自身も経験したことがあるわけですが、経験談として言えば、
タイムマネジメント(時間管理)を実践することには、こういう「先延ばし」傾向を
軽減する効果があります。(自分が本来やるべきことを見失いにくいので)

組織の中では、特に「キーパーソン」的な人や、「プレイングマネージャー」に
当たる人が、この「先延ばし」癖があると困ります。自分自身がそうならない
ようにするとともに、思い当たる人にはタイムマネジメントを実践してもらえる
よう、機会を見て勧めてみてはいかがでしょうか。




今日の記事作成時間は55分でした。

では、また明日!


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Posted by 水口和彦 at 23:55│Comments(0)TrackBack(0)

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