「整理術本」に関する不満と、その原因
こんにちは。水口です。
今日も昨日に続いて本に関連した話です。
■ 「仕事が速くなる プロの整理術」
最近、こんな本を読みました。
仕事が速くなる プロの整理術
著者:吉越 浩一郎
販売元:日経BP出版センター
発売日:2008-11-20
おすすめ度:
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著者の吉越 浩一郎さんは、トリンプの元社長。残業ゼロ+19年連続増収増益
を達成した経営者の方です。
この本は、「整理術」の本として読むと、なかなか応用しづらいところが多いですし、
「ここはこうした方がいい」と突っ込みを入れたくなるところもあります。
ですが、「仕事術」の本としてみると、ところどころに参考になる考え方が散りばめ
られているので、一読の価値がある本だと感じています。
整理術と仕事術が混在して、ややまとまりのない印象の本ですが・・・、背後に
ある吉越さんの考え方や仕事術にはブレがないので、読んでいて特に違和感
はありませんでした。
■ 「整理術本」に対する不満?
話は少し変わって・・・、
一読者として思うのですが、あくまでも実務を行う者の視点で見ての話として、
「整理術」系の本には、色々と突っ込みどころが多いというか・・・、実務に応用
しにくい(応用しても効率が高まらない)ものが多いと感じています。
たとえば、「整然と整理すること」自体は良いことなのですが、それを行ったから
といって、必ずしも仕事のスピードが上がるとは限りませんし、逆にスピードが
下がってしまうこともあります。
また、「検索」を使いこなすことが解決策のように言われることもありますが、
それはどちらかというと「参照する情報」についての話です。自分の担当業務
の情報(やデータ類)を取り出すのにいちいち検索しているようでは、スピードの
面で話にならない・・・と私は思います。
以前から、そんな不満、というか違和感のようなものを感じていたのですが、
その原因を考えてみると、いくつかあるように思います。
その1つは、
整然と整理すること(情報をフラットに扱うこと)が、
実務の効率を上げるとは限らない
という問題です。もう少しくわしく言うと、
実務を行う者の視点で見れば、頻繁に使う情報は、
一瞬でアクセスできるのが理想
しかし、情報を(図書館のように)整然と整理することは、
(どんなに完璧な検索システムを伴っていたとしても、)
「一瞬でアクセス」できる仕組みにはなりにくい
ということです。
後者の「整然」タイプの整理は、共有情報(みんなで使う情報)の整理としては
理想型なのですが、個人や少数チームの場合は必ずしもそうではありません。
情報をフラットに、整然と整理することによって、頻繁に使う情報へのアクセス
時間が長くなってしまうと、全体としての平均アクセス時間はかえって延びて
しまいます。
たとえば、整理の悪い例として、やり玉にあげられる「デスクの上に積んだ書類」
は、必ずしも悪いことばかりではありません。「必要な情報に即アクセスできる」
という観点では、良い面もあります。
※ これは、「本人が覚えていて、すぐに取り出せる量にとどまっている限りは」
という限定の付いた話です。
実際には、覚えていられる範囲以上に積み上げてしまい、効率が悪くなって
しまうことがほとんどですし、他にも効率の悪い面があるので、デスクに積む
のはおすすめできません(パソコンの「デスクトップ」も同様です)。
これらの問題には、一考の価値はあると思います。
一言でいうと、
上手に「えこひいき」する整理
が必要だと考えています。頻繁に使う情報と、参照する(たまに見る)情報は、
整理方法を変えるべきだということです。
このように、「整理のための整理」なら話は単純なのですが、「仕事のスピード
を高めるための整理」を目指すなら、もう少し深掘りしないといけないと感じて
います。
■ 「スピードを上げるための整理」を目指す
先の吉越さんの本は(個別のノウハウはともかくとして)、「スピードを上げる
ための整理」という観点で書かれているのが、共感できるところです。
ご興味のある方は、ご一読を。
さて、「整理本」は世の中にたくさんありますが、スピードや効率を上げると
いう観点と、実務者としての観点(評論家やライターの観点ではなく)で、
役に立つ考え方がまとまっている本は、まだ無いと感じています。
これは、以前に私が「時間管理」について感じたのと似た状況でして、
実践的、実務的な「整理本」が出ないかなあ・・・とも思っているうちに、
前々から使っていた「整理」に関するアイディアが、体系としてまとまって
きました。
・・・というわけで、執筆に入ることにしました!
(実は出版社も決まっています)
まだ先の話(来年春くらい)になりますが、ご期待ください。
このブログでも「整理」に関するネタは出していきたいと思います。
今日の記事作成時間は55分でした。
では、また明日!
Posted by 水口和彦 at 23:55│Comments(0)│TrackBack(0)
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