2008年12月17日     このエントリーをはてなにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマーク

長期的な計画の、進行状況や問題点を共有するために


こんにちは。水口です。
今日は、昨日のセミナーで頂いたご質問に関連した話です。


■ チームの中での長期的なスケジュールの運用

昨日のセミナーは、「長期スケジュール管理」についてのものでした。

使いやすい長期スケジュールの立て方と、その前提として必要な「段取り」や、
「目標設定」についてのセミナーです。


そのセミナーのアンケート用紙で頂いたご質問(もう少し知りたいこと)に、

  管理職と担当者の間で共有できる仕組み

というご質問がありました。

今日はこれについて考えてみたいと思います。


■ チームで長期スケジュールをうまく運用するために

さて、先のご質問では、「長期スケジュールを共有できる仕組み」とありますが、
これは実際には「スケジュールを共有する」というよりも、進みや遅れなどの進行
状況を含めての「共有」を指していると思います(そこが難しいポイントです)。

チームの中で長期的な仕事の進み具合や、問題点を共有するのは、なかなか
難しいものです。チームリーダーの立場になると、誰もがいつか遭遇する課題
と言ってもいいかもしれません。


実際、普通はスケジュールを立てたからといって、そのスケジュール通りに全ての
ことがうまく進んでくれるとは限りません。

その中でも特に困るのは、当初のスケジュールに対して遅れが出ているのに、
そのことを報告してくれないメンバーがいることです。


ここで、「報告しないメンバーが悪い」「ちゃんと報告させればいい」と思って
しまった人は、要注意だと思います。実際には、そういう正論だけではなかなか
解決しない問題が多いからです。


■ 遅れを言い出さない理由

なぜ、チームのメンバーは仕事が遅れていることを報告してくれないのか?
なぜ、そんな当たり前のことができないのか?

と、日頃お悩みのチームリーダーの方は、まずは自分自身が担当者だった頃の
ことを考えてみてください。


たとえば、自分が担当する仕事が、当初の予定よりも遅れていたとします。
しかし、その仕事の期限まではまだ日数があり、これからがんばれば遅れを
挽回できそうな状況を考えてみてください。

こういう状況で、チームリーダーから「あの仕事、期限に間に合いそうか?」と
聞かれたら、「大丈夫です」と答えるのではないでしょうか?

私自身の経験としても、こういう状況で「大丈夫」と答える人がほとんどでした
し、私自身もそう答えてしまうことが多かったと思います。本人は決して悪気が
あるわけではないのですが、ついついそう答えてしまうわけです。

しかし、この時点で、すでにすれ違いが起こっています。


チームリーダーの視点では・・・

  「大丈夫」 = スケジュール通りに進んでいる

と解釈しますが、メンバーの視点では・・・

  「大丈夫」 = (遅れているけれど)挽回できそう

という意味だったりするわけです。


これで、実際に挽回できれば、表面上は「計画通り」ということになりますが、
期限まぎわになって、「やっぱり間に合いません」ということになると、そこから
大あわてでなんとかしなければいけなくなるわけです。

つまり・・・、「大丈夫」という答は、あまり当てにならないということです。


■ 矢印スケジュールの問題点

さらに、この「大丈夫問題」を助長してしまうのが、「矢印スケジュール」です。

「矢印スケジュール」というのは、スケジュールの各工程ごとに、始点(開始日)
と終点(終了日)が決められているタイプのスケジュールです。

その始点と終点の間は矢印を引っ張って表したり、帯状に表したりします。
「ガントチャート」と呼ばれる日程表もこのタイプです。

この表し方だと、「終点までに間に合えばいい」「まだ余裕がある」と、仕事を
先延ばしすることになりやすいです。また、進行が遅れているという事実が
終了日近くにならないとわからない(チームリーダーも、本人も)ことも起こり
がちです。


■ 解決策は週単位で見ること

これらを解決するためには、計画を立てる時点で、仕事の中身をもう少し
具体化する必要があります。

そのための最も簡単で実用的な方法が、「週単位」で計画することです。
計画を作る時点で、1週間ごとの仕事内容を明らかにしておくわけです。

こうすると、

  「先週やる予定だった仕事は、予定通り終わったか?」

という見方ができます。これによって、

  ・ 遅れている場合は、「遅れていること」がはっきり自覚できる

    (メンバー自身の自覚をうながすことにつながります)

  ・ チームリーダーも聞きやすい・わかりやすい

     「大丈夫か?」ではなく、「先週の予定は終わったか?」と聞けば、
     「これから挽回できる」という主観の入り込む余地がありません。
     ですから、リーダーはより正確に状況を把握できます。

と、かなりメリットが多いです。


これと、簡単でもいいので「進捗確認ミーティング 」を毎週行うことを
組み合わせると、かなり効果があるはずです。

お悩みの方は、ちょっと試してみてはいかがでしょうか。



今日の記事作成時間は62分でした。

では、また明日!


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Posted by 水口和彦 at 23:55│Comments(0)TrackBack(0)

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