2009年01月03日     このエントリーをはてなにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマーク

「学習」的な頭の使い方と、「研究」的な頭の使い方の違い


こんにちは。水口です。

今日は「疑問にぶつかったときの対処法」についての話です。


■ 「老化を抑える薬」ができる?

昨年、日本人のノーベル賞受賞が明るい話題となりましたが、将来
受賞するかもしれない? という、こんな記事↓がありました。

次代のノーベル賞候補 常識覆す“ハンター”
(産経新聞) - Yahoo!ニュース


 (『』内は引用です)
 
『 「若さのもと」とも言われる成長ホルモンの分泌を促進する魔法のような物質
がある。国立循環器病センター研究所(大阪府吹田市)の寒川賢治所長(60)
が発見したホルモン「グレリン」だ。食欲の増進や心機能の改善などさまざまな
機能を持つホルモンで、心不全や拒食症、がんの治療にも効果があるという。
将来的には老化を抑える治療薬の開発にも期待されており、まさに21世紀に
夢の薬を生み出す物質といえる。日本人で初めて米科学誌が選ぶ注目科学者
の第1位にも選ばれた彼は、間違いなく将来のノーベル賞候補だ。』


とあります。

「老化を抑える薬」ができるかもしれないという、画期的な発見です。

「老化を抑える」ことは、人口増加や人口分布が高齢化することにつながります
から、それに伴う問題も予想されますが、それはそれとして、画期的な発見だと
いうことは間違いないでしょう。

今年や来年に受賞することはないと思いますが、この研究成果が広く用いられ
るようになる頃には、ノーベル賞受賞もあるかもしれませんね。


さて、このニュースに、こんな一節がありました。
 
『 寒川所長が所長室に掲げている格言がある。30年前、大学院生時代に
偶然松山で買った古本の見返しに書かれていたキュリー夫人の言葉だ。

 「実験室に於ける偉大なる科学者の生活というものは、多くの人の想像して
いる様な、なまやさしい牧歌的なものではありません。それは物に対する、周囲
に対する、特に自己に対する執拗(しつよう)な闘争であります」』


この言葉、科学者だけでなく、何かの分野を極めようとする人、あるいは
経営を極めようとする人すべてに共通することだと思います。


■ 疑問にぶつかっても分からないとあきらめず、考え続ける

また、こんな記述もありました。
 
『 理科離れや教育のありかたについては、昨年ノーベル賞を受賞した小林誠
さん(64)や益川敏英さん(68)も、公の場などでそれぞれの持論を述べてい
る。

 「難しい物理の本を読み、わいてくるいろんな疑問をずっと考え続けるのが
楽しかった」。小林さんは昨年11月、地元の茨城県つくば市で行った講演で、
自身の高校時代を振り返り、「疑問にぶつかっても分からないとあきらめず、
考え続けるのがよい」とアドバイスした。』



  「疑問にぶつかっても分からないとあきらめず、考え続ける」

というのは、私がこれまでに感じてきた「優れた研究者・技術者の特徴」の1つ
でもあり、共感します。


■ 「学習」と「研究」の違い

何の分野でもそうですが、「教科書(的なもの)」に載っているような事柄は、
情報収集力を上げることで、効率的に学ぶことができます。現在はそういう
学び方をするには、ネットも含めて効率の良い環境が整いつつあります。

こういった「学習」的な学びの場合は、疑問にぶつかった場合、「考える」
だけでなく、情報を探してみることで、効果を上げることができます。
(たとえば、「資格試験」のための勉強をする場合がそうです)


しかし、第一線の研究のように、まだ誰も知らないことや、とても専門的な
分野のことは、いくらネットで調べても答は得られません。自分の頭で考える
ことや、人に直接会って話を聞く・議論することが必要です。

こういった学びを、先の「学習」と対比させるために、仮に「研究」的な学びと
呼ぶことにします。

「研究」的な学びの場合、疑問にぶつかった場合、「調べる」「情報を探す」こと
では答が出ない場合が多いです。しかし、その疑問をあきらめずに自分の中に
置いておくことで、数年後に答が見つかることもあります(私も以前やっていた
研究開発の仕事でそういうことがありました)。


このように「学習」と「研究」の2つに分けて考えてみると、

「学習」には情報収集がとても効果的ですが、「研究」は、情報収集だけでは
足りない。自分の頭で考える(考え続ける)ことが必要。
(※ 「研究に情報収集が不要」というわけではありませんが)

と言えると思います。

そして、何の分野でも、前例が無い第一線を進むためには、「学習」タイプの
頭の使い方ではなく、「研究」タイプの頭の使い方が必要です。


■ 「社会人の勉強」は「学習」だけでいいのか?

ここで、ちょっと気になるのは・・・、

最近は、「社会人が勉強する」ことが当たり前になりつつありますし、それは
良いことだと私は考えています。ただ、その勉強が「学習」の方に寄りすぎて
いるような気がしています。

もちろん、「学習」は大事なことですし、ビジネスの世界では「研究」よりも、
素早い「学習」の方が結果につながることも多いです。


ですから、「研究」的な態度は、一見「効率が悪い」ことのように見えます。
また、「分からない」ものは、もういいや・・・とあきらめてしまった方がすっきり
しそうなものです。

しかし、「分からないこと」は分からないなりに記憶にとどめておくことが後に
ブレークスルーを生み出すこともあります。そういう意味では、決して効率は
悪くないのです (私はエンジニア時代に経験して実感しました)。




「最近の若い人は、何でもすぐネットで調べようとする」 なんて言われることが
ありますが、私は「ネットで調べる」こと自体は、「学習」の効率を高めることが
できますし、悪くもなんともないと思います。
(「真贋を見極める」慎重さや、「パクリ」をしない節度は必要ですが。)

しかし、「調べる」ことだけが正解だと思ってしまって、先ほどの

  「疑問にぶつかっても分からないとあきらめず、考え続ける」

という姿勢が無くなってしまうと、それは問題だと思います。


私も、自分自身への自戒も含め、この言葉を心に留めておこうと思います。



今日の記事作成時間は50分でした。

では、また明日!


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Posted by 水口和彦 at 23:55│Comments(0)TrackBack(0)

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