最近読んだ「理系本」について
こんにちは。水口です。
今日は、お正月に読んだ本の話です。
■ 「理系本」あれこれ
先日、「「理系の人は文章を書くのが苦手」 は本当か?」なんて記事も
書きましたが、最近「理系」がちょっと気になっています。
私自身、理系の出身なので、自分自身では「今さら」感もあるのですが、
複数の方に、私の「時間管理」や「仕事術」が理系っぽいと言われて・・・、
「じゃあ理系っぽいって、どういうことなんだろう?」とあらためて思い始め、
「理系」がちょっと気になる今日この頃・・・なんです。
そんなわけで、年末のうちにいくつか「理系本」を取り寄せ、読んでみました。
□ 「理系」の転職
面白かった順に紹介すると、まずはこれ↓です。
「理系」の転職
著者:辻 信之
販売元:大和書房
発売日:2006-02-16
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別に、私が転職したいわけではありません・・・ (笑) 「理系本」を探している
ときに、amazonのレビューが高評価で気になり、入手してみました。
著者はヘッドハンティングで有名な「縄文アソシエイツ」に在籍されている方です。
【余談】
同社の創業者の古田英明氏が、以前「カンブリア宮殿」に出演されていました。
(「逆ピラミッド型の組織」の話をした方です。↓この回)
カンブリア宮殿:テレビ東京
(これに関連して、私も関連した記事を↓以前に書いています)
ピラミッドと逆ピラミッド、どちらがいいですか?
この「逆ピラミッド」は、「サーバント・リーダーシップ」に非常に近い考え方です。
(こちら↓で紹介しました)
「上司という仕事のつとめ方」: 類書とは違った「上司本」です
【余談終わり】
話を元に戻して・・・、
著者は、理系のビジネスパーソンは本来、数字や論理性、中長期的なスパンで
の思考力が高く、優れた経営者になる素養を備えている場合が多いといいます。
その反面、理系のビジネスパーソンはキャリアについての考え方がナイーブであり、
転職において失敗するケースが多いとのこと。
(他には専門分野以外の視野の狭さ、行動範囲の狭さなどもあるとのこと)
これには、「なるほど」と思うところがあります。
他にも、「理系出身者が活躍できる場」についてのアドバイスや、キャリア構築の
考え方など、かなりうなずける内容が多い本でした。
たとえば、技術者のキャリアの重ね方について、
『最初の5年間は入った会社でとにかく頑張る』
『次の5年間は、自分のコアを作る時期』
という記述があったのですが、これは私もうなずけました。
この本は、「転職」というキーワードにこだわらず、技術者として会社勤めをして
いる方には一読をおすすめします。
著者の言う「経営のわかる技術者」、そして「技術のわかる経営者」を目指して
みてはいかがでしょうか。そこまで目指さないという方も、将来、管理職になる
可能性があるなら(またはもうなっているなら)、特におすすめの本です。
□ 理系思考 エンジニアだからできること
次に面白かったのが↓こちら。
理系思考 エンジニアだからできること
著者:大滝 令嗣
販売元:ランダムハウス講談社
発売日:2005-09-23
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こちらの本は、理系出身で、コンサルタントに転職された方が書いています。
理系の方へのキャリア指南をはじめとした、様々なアドバイスや、日本の技術者
が冷遇されているという話、マネージャーになるときの心得などなど、盛りだくさん
のアドバイス集となっています(そのためか、ややまとまりには欠けます)。
読んでいて、「ちょっと「理系」を礼賛しすぎ?」 とも思うのですが、理系の人は
読むと元気が出ると思います。
ちなみに、「理系思考を身につけよう」という本ではありませんので、そこは
ご注意を。文系の方にはお勧め致しません。
【余談】
個人的に不満だった点が1つありました。
この本の46ページに 「日本は発明や製品化は苦手で、商品化が得意」という
ことを解説した表があるのですが、この表に間違いがありました。
※ 「CDプレーヤー」がヨーロッパで発明・製品化された、となっていますが、
正しくは日欧の共同開発です(ソニーとフィリップス)。
また、DVDやBlu-ray Discも、日本の企業が初めから参画していますし、
Blu-rayに必要な青色半導体レーザーも日本で製品化されたものです。
これらが外されている点も含めて、この表は「モノマネが得意な日本」と
印象づける意図があるように感じます。
例えばアメリカと比べて、日本は基礎研究が(費用・人員の面で)充実
していると言い難いのは事実としても、いつまでも「モノマネの国」でも
ないでしょう・・・。
□ 理系思考
もう1つ同じタイトルで、「理系思考」という本がありました↓
理系思考
著者:元村 有希子
販売元:毎日新聞社
発売日:2007-10-27
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これは、新聞の「科学環境部」の記者の方が書いた、科学技術に関連した
コラムを(追記して)まとめた本になっています。
言うならば「科学コラムの本」という感じで、面白い内容もあるのですが、残念
ながら、著者の方はあまり「科学」に対する造詣は深くないようです。
たとえば・・・、 (『』内は引用です)
『 科学的であるということは、「提唱者が実証し、同じ条件なら誰がやっても
同じ結果が出る」こと。それができないものは科学とは呼ばれない。
これが「ニセ科学」の分かりやすい見分け方である。 』 (97ページより)
とあります。
『これが「ニセ科学」の分かりやすい見分け方』というのは、一理あるのですが、
この「科学的である」の定義自体は間違っています。
※ 「科学」では提唱者自身が実証しなくても構いません。提唱された理論が、
後に別の人によって実証された例もあります。
同様に、「同じ条件なら誰がやっても同じ結果が出る」というのも、厳密
には「科学的であること」の定義ではありません。
こう言ってしまうと申し訳ないのですが・・・、日本のマスコミは「科学」に弱いと
いう印象を少し強める本になってしまいました。
(↓前にもその印象について書きました)
「科学」に弱すぎる・・・メディアの問題点
この本も「理系思考が身につく本」ではありません。「科学にまつわるコラム」と
いう感じです。元々、文系の読者を想定して書かれている感じもあります。
さて、今回はいろいろ文句が多くなってしまいました。すみません・・・。
理系の方は、1つめの本はぜひ一度手に取ってみてください。
まるっきり関係無いのですが・・・、
この年始に、実家にあって思わず読んでしまったのが、こちら↓
とりぱん 1
「野鳥の観察日記」+「北東北での生活」を漫画にしたものですが、
これが面白くて、全巻(全6巻)読んでしまいました。鳥好きの方はぜひ。
(リアルな自然マンガではなく、4コマ主体のマンガです)
年末年始は他にも読んだ本があるのですが、その中で良かったものは、
また別の機会に紹介したいと思います。
今日の記事作成時間は80分でした。
では、また明日!
Posted by 水口和彦 at 23:55│Comments(0)│TrackBack(0)
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