2009年01月17日     このエントリーをはてなにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマーク

あえて「リスクを考える」ことの重要性


こんにちは。水口です。
今日は「リスク」について、少し考えてみたいと思います。


■ 14年経ちました。

こんなニュース↓がありました。

阪神大震災14年 記憶と教訓次世代に(産経新聞) - Yahoo!ニュース
 
『 6434人が死亡した阪神・淡路大震災は17日、発生から14年を迎えた。
兵庫県内の各地で追悼行事が行われ、犠牲者の鎮魂を祈るとともに、次世
代に被害の記憶と教訓を継承することを誓った。独り暮らしの高齢被災者が、
誰にもみとられずに死亡する「孤独死」が後を絶たず、被災地ではなお取り組
むべき課題が残されている。 』


今日は1月17日、『阪神・淡路大震災』があった日です。

犠牲になった方のご冥福をお祈り致します。

私は当時神戸市(東灘区)に住んでいて、この地震に被災しました。
本当に、信じられない光景をたくさん目にしましたし、この日のことは
忘れられないです。


■ 「リスクを考える」ことの重要性

自分の反省も含めて、当時のことを思い出してみると・・・、

この地震があるまでは、「関西地方は地震が少ない」と言われていましたし、
私もそう思っていました (地震の直後も、兵庫県内に震源があったとは
思わず、もっと遠い震源かと思っていたくらいです。それにしては揺れが
すさまじかったのですが・・・。「思い込み」って怖いものです)。

そんなわけで、地震に対する備えもほとんどしてなかったわけですが・・・、
いま思えば、「今まで大丈夫だったから、今後も大丈夫」と、根拠なく「安全」
だと思い込んでいたわけで・・・ 「リスク」を考えなさすぎでした。

もちろん、少々の備えで大きな地震に対抗できるものではありませんが、そう
いう可能性について「考えてる」機会があるかどうかだけでも、大きな違いが
あると思います。



同様に、何の分野でも、「今まで大丈夫だったから、これからも大丈夫」という
思い込みは怖いものです。

たとえば、交通事故もそうです。今まで事故を起こしたことがないから今後も
大丈夫だという保証はありません。でも、人には誰でも、つい「今まで大丈夫
だったから」と思ってしまいがちなところがあります。


本来なら、交通事故で言えば、まず、「事故は起こる」ことを前提にして、
「いかにして、その可能性を小さくするか」を考えるべきです。

しかし、「事故は起こるものだ」と、考えるのは嫌なことです。できることなら
一生の間、交通事故に遭わずに過ごしたいものです。

しかし、「考えたくない」のと、「考えなくていい」のは違うわけで・・・
「考えない」ことは、とても危険なことでもあります。

 【余談】
  ちなみに、「スクーバダイビング」の世界でも同じことが言えます。事故が
  発生する確率を0%にすることは、事実上不可能です。ですから、ちゃんと
  したインストラクターは「事故は起こらない」と考えるのではなく、いつでも
  起こり得ることを前提に、「いかにゼロに近づけるか」を考えているものです。


■ 「リスクを考えない人」は意外に多い?

・・・と聞くと、「そんなことは当たり前だろう」 と思う方も多いでしょうが、
本当にそれが「当たり前」なのか、自信がなくなってくる事象もあります。

たとえば、最近の「派遣切り」の問題の中で、「契約が打ち切られたから、住む
ところもない。お金もない」という人がクローズアップされています。

(契約期間途中の打ち切りは別として、)契約期間の満了後に契約が更新され
ないという事態は、派遣という雇用形態では当然考えられるリスクです。その
リスクを考慮すれば、働いている期間中にそれなりの蓄えをしておくのが当然
なのですが・・・、実際には、そうでない人も多いということです。
(もちろん、ちゃんと蓄えをしている人の方が多いとは思いますが)


これは、派遣社員の方に限ったことではなく、正社員の場合も、同じリスクが
無いわけではありません。日本の企業ではむやみに解雇されることはあまり
無いものの、会社そのものが無くなってしまうというリスクもあります。

しかし、そういうリスクを考えて、それなりの手を打っている人は、あまり多くない
のではないでしょうか・・・? 

「終身雇用」が前提の時代は確かにそれで良かったと思います。私も昔は
そんなこと考えていませんでした。しかし、今後はどうなるのでしょうか・・?


■ 正社員にも「リスク」がある時代?

現在は特に「派遣切り」が問題にされており、その対策として、「製造業への
派遣を再び禁止にする」ことや、「同一労働同一賃金に近づける(具体的に
は派遣社員の賃金を上げ、正社員の賃金を下げる)」ことが協議されています。

しかし、これらによって「雇用が安定する」とは限りません(全体として見れば)。
個人的には、派遣社員の待遇が改善されるのは良いことだと思いますが、
その反面、正社員だからといって安心できない(解雇の可能性がある)時代
がやってくる可能性も高いと思います。

すぐには対応できることではないので、まだ先の話ではありますが・・・、
「職能給」ではなく「職務給」になり、労働力の市場化が進んでいくと、解雇
されたり、中途採用で再就職したり、というのが、将来は当たり前になって
くるかもしれません。

個人的な考えなので保証はしませんが、現在40代、50代の人は、なんとか
このままの制度の中で、会社生活を終われる可能性が高いと思います。しかし、
20代、30代の人は(仕事・雇用についての)、「リスク」に対する備えは必須の
になってくるのではないか、と予想しています。


■ 私が感じた「リスク」は・・・

私個人としては、30代半ば頃に、別の意味での「リスク」を感じたことがあります。

当時私が従事していた仕事は、「自動車用の摩擦材(ブレーキパッド)の材料を
設計開発する」という仕事でした。一応、「樹脂」と名の付くものは使用しますが、
通常の樹脂成型品と比べて、かなり特殊な分野です。

その分野に従事する設計者は、日本中合わせて多く見積もっても百数十人程度
しかいないと思います。純粋に「材料設計」を行っている人は、百人を切っている
かもしれません。

そういう専門的な世界を極めるのもいいのですが・・・、もし会社の方針に納得
できなかったりして、会社を辞めることになった場合、いままで培った技術を
使った仕事に就ける可能性は低いです。

これを考えると、ちょっと怖いなと思いましたし、年代が上がるにつれてそういう
意味でのリスクは大きくなります。


そんなことも考えつつ(理由はそれだけではないのですが・・・)、
私はその後、独立するという選択肢を選んだわけです。

今にして思えば、「独立」にはリスクもともないますが、独立したからこそ
回避できるリスクもあるわけで、単純に「独立=高リスク」とも言えないと
感じています。(それはなぜか? という話は、長くなるのでまた後日に。)


というわけで、今日言いたかったことは、


  現在の労働環境の中では、自らリスクを考え、
  リスク対策を取ることが必要

  そのために必要なことは、まずは「リスク」から
  目をそらさないこと

  (「考えたくない」ことでも、時には考えてみること)
  (「今まで大丈夫だったから」と過信しないこと)

ということです。


現在は昔に比べて、ある意味では「厳しい時代」ですが、ある意味では
「やりがいのある時代」とも言えます。そのどちらにするかは、自分自身の
考え方や行動によって変わってくるのではないでしょうか。



今日の記事作成時間は59分でした。

では、また明日!


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Posted by 水口和彦 at 23:55│Comments(2)TrackBack(0)

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この記事へのコメント
またまたタイムラグのコメント申し訳ありません。

阪神・淡路大震災では6,000人以上の方が亡くなったんですね。大災害だったとは認識していましたが、
こんなに多くの方が亡くなったとは頭の中に残っていませんでした。
亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたします。

さて、リスクのことを考えるというテーマですが、自分を取り巻く360×360°のリスクを考え、それに備えるのは至難の業ですね。組織として何人かの知恵を絞って考えるのは可能としても、自分の身の回りのこととなると、人間の能力としてとても難しいことのような気がします。

そういえば、NHKのプロジェクトXやプロフェッショナルに出てくる方々は、水口さんのおっしゃる「もし会社の方針に納得できなかったりして、会社を辞めることになった場合、いままで培った技術を使った仕事に就ける可能性は低い」というリスクに関しては、まるで無頓着というか無関心のような印象が私にはありますが、、、
さて、どうしたものでしょう、、、
Posted by makoto at 2009年01月22日 01:56
水口です。
私もタイムラグのお返事ですみません。
(そのへんは、おたがい気にしないということで・・・)

震災の時は、私は自分たちのことで手一杯になってしまい、
地域のためにほとんど何もできなかったことが心残りです・・・。

リスクの話ですが、「すべてのリスクを考える」ことは確かに難しいのですが、
私たちの中には「リスクを見てみない振りをする自分」もいるような気がして、
その思いがこの記事になりました。


確かに、「プロフェッショナル」的な人はリスクに対して無頓着な気がしますね。
リスクを考えていないのか、考えた上でもその道を追求しているのか、
傍から見ただけではわからないところもありますし、
何か奥深いものがありそうな気がします・・・。
Posted by 水口和彦 at 2009年01月26日 20:22
 

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