2009年03月14日     このエントリーをはてなにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマーク

「多様就業型ワークシェアリング」は一種の「出来高制」なのか?


こんにちは。水口です。

今日は「ワークシェアリング」と「ワーク・ライフ・バランス」の
両方に関連した話です。


■ 「多様就業型ワークシェアリング」のためには?

先日、NHKの「クローズアップ現代」という番組でも取り上げられて
いましたが、「ワークシェアリング」には、現在各企業で行われている


□ 「緊急避難型ワークシェアリング」(雇用維持型ワークシェアリング)

  人員削減を回避するために、1人当たりの労働時間を削減する。
  (残業カットや休日、操業停止日を増やすなどの手段を取る)

※ これを「ワークシェアリング」と呼ぶようになったのは最近のことで
   手段としては昔からあるものです。

以外に、


□ 「多様就業型ワークシェアリング」(雇用創出型ワークシェアリング)

  通常のフルタイム勤務以外に、パートタイム的な勤務も可能にする。
  (週の勤務日を減らしたり、1日の就業時間を減らす)

※ オランダが実施しているのが有名。働き方の多様性が得られるため
   「ワーク・ライフ・バランス」にも役立つ。

があります。


派遣切りに関連して、「(後者の)ワークシェアリングをやるべきだ!」という意見
もありますが、これを行うためには、「同一労働同一賃金」が実現されていない
と難しいのが現実。

そして、日本の賃金制度は「同一労働同一賃金」とはかなりかけ離れているので
実現は相当に遠い道のりです。


■ 多様就業型ワークシェアリングの実例

しかし、その実施例もあります。実施例として紹介されることが増えてきた、兵庫
県の「エス・アイ」という会社があります。

(「クローズアップ現代」でも、下記の記事↓でも取り上げられていました)
定着するか…ワークシェアリング各社各様
: 大揺れ雇用 : 特集 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



この会社では、「同一労働同一賃金」を実現し、正社員と派遣労働者の時給
の格差を無くし、さらに、労働時間が選択できる「ワーク・ライフ・バランス」対応
の企業になっています。

実際、どうやって賃金を算出しているかというと・・・

□ まず、データ入力作業は時給いくら、といった基準を設けている

□ 仕事の内容によって、基準の時給の1.6倍といった倍率がかかる
   (専門性の高い作業、難しい作業は時給が上がる)

□ 作業効率によって、さらにプラスアルファの倍率がかかる
   (同じ仕事を早く終わらせれば、それだけ時給が高い計算になる)

といった制度になっているそうです。

この基準を決めるのは、社員との協議を重ねたりと、なかなか大変そうです。
そういう意味で、とても努力している企業だと思います。


■ 「あなたの会社」で導入できるでしょうか?

ちなみにこの会社は、いわゆる「アウトソーシング」的な業務を請け負う会社
で、だからこそ、こうした時給計算がやりやすい面があると思います。
(それでも、かなりの努力が必要だと思いますが)

たとえば、こうしたやり方を、あなたが勤務する(または経営する)会社で
導入できるか? というと、なかなかイメージしにくいのではないでしょうか。


先の時給計算は、普通の賃金制度を「出来高」による評価に近づけたよう
なものです。そして、「出来高」評価は、業務の内容によって、合う合わない
が出てきてしまいます。

たとえば、先のアウトソーシング的な業務は出来高が合う事例です。

他には、消費者向けの営業(セールス)などもそうです。仕事も成果としての
出来高がはっきりしているので、それを元に給与計算を行うことは、比較的
導入しやすいものです。


しかし、たとえば同じ営業でも、法人向けの営業(特に大口の顧客相手)の
場合には少し違ってきます。目先の出来高だけではなく、「いかに情報収集
するか」「いかに顔をつなぐか」といったことも重要になってきます。

ならば、長期的な出来高で見れば良いかというと、今度は売上の中で、
各部署がどれだけ寄与したかの算出が難しくなってきます。

たとえば、「営業が顧客の新しいニーズをつかみ」「開発がそれに合う製品を
開発し」「営業がそれを売上に結びつけた」場合、その出来高は、営業部門
と設計部門のどちらに、どれだけカウントするか?計算は難しいです。

同様に、企画系の仕事、基礎研究的な仕事や、人事などの仕事もそうです。
たとえば、人事が「○○人採用」という数字だけで評価されるとしたら・・・、
いい人材を採用しようというやる気がなくなりかねません?


■ 「出来高」タイプではない同一労働同一賃金を目指すには」?

そんなふうに、多くの会社では、「出来高」的な評価がなじまないという面が
あるわけで・・・。

先のアウトソーシング会社の例のように、導入できそうな企業は導入したら
いいと思うのですが、それがなじまない企業にまで導入するわけにもいかない
わけです。


ちなみに、「ワークシェアリング先進国」と言われるオランダでは、「出来高」的
な評価ではなく、業種や業務内容によって分類された賃金(時給)のランク表
が作られています。その基準で賃金が決まっていきます

オランダは、業種が同じで、役職レベルが同じなら、企業が違っても時給が
同じなわけですね。ちょっと不思議ですが、そこまでやらなければ「同一労働
同一賃金」を広く実現するのは難しいということです。


それをやるべきなのか・・・? という点については、日本の企業でこのやり方
がどれだけなじむか(生産性を逆に低下させないか?)というところとの兼ね
合いが重要な気がします。まだ検討の余地があると思います。

※ 日本の企業は業務内容(業務の分担)があいまいなところがあり、
   それはデメリットでもありますが、メリットもあると感じます。
   そのメリットをあまりつぶさないで導入できると面白いのですが。

やるにしても、(賃金制度が総入れ替えになるので)時間がかかるという問題
もありますが、それは置いておいて・・・もっと議論が進むことを期待したいです。




今日の記事作成時間は59分でした。
では、また明日!


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Posted by 水口和彦 at 23:55│Comments(0)TrackBack(1)

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