「ロジカルシンキング」と「ロジカル風シンキング」の違い
こんにちは。水口です。
今日は昨日の「ロジカルシンキング」に関連した話です。
■ 『ロジカルシンキングのセミナーでとてもやるせなかった話』 という記事
昨日の記事を書いた後、「ロジカルシンキング」について、こんなブログ記事を
見つけました。
ロジカルシンキングのセミナーでとてもやるせなかった話 : akiyan.com
著者が「ロジカルシンキング」のセミナーを受講した際の、グループワークの
内容について、こう書かれています↓
(『』内は引用です)
『1問目は「あるケーキ店の売り上げが落ちてる。原因を見つけ出し、売り上げを
上げるためにはどうすればいいか」というものだった。受講者にはここ1年間の
売上表と情報シートが、グループごとに配られた。情報シートはグループ全員同
じではなく、グループの中では自分だけのシートになる。必然的に同じグループ
の受講者同士で情報を出し合う必要があり、グループ全員で最終的な結果を
出すことになる。情報シート自体は見せてはいけなかったように思う。売上年表
は全員同じものだ。月間売り上げは、1日から末日までの売り上げと考えてよい
そうだ。
売上年表の期間は1年間で、4月から始まって3月で終わる表だったと思う。
たしか、10月くらいからじょじょにひと月の売り上げが落ちていた。情報シート
には、「10月に店内を改装した」とか「12月に原材料を変えた」とか書いて
あった。』 (上記記事より引用)
面白そうな課題ですが、ここからが問題です・・・。
(『』内は引用です)
『講師への質問は許されているので、「定休日や祝日はありますか」と質問する
と、それは考慮しなくてよいということだった。1日は1日で、それ以上でもそれ
以下でもないということだ。
しかし月ごとの日数は違う。このことについて言及は無かった。僕は、これは
ひっかけだ、と思った。月ごとに合計が出ているが、1日あたりで見ないことに
は、正確な傾向が掴めないはずだ。日数は月ごとに違うのだから。』
『いかにも怪しいと思いながら計算してみると、ビンゴ、2月の売り上げは1日あ
たりにすると減っておらず、むしろ1月より増えていた。28日でも、29日でも、
だ。3月は、2月より減っていた。これは見逃せない。2月に売り上げが伸びて
いるのは確実だから、その点を考慮して情報を分析しなくてはならない。』
なるほど。確かにそうだと思います。2月は日数が少ないですから、月ごとの
売上の数字に影響してきます。
※ この問題では、「祝日は考慮しない」ということですが、実際には12月や
1月の年末年始の休み、8月、5月も連休の影響もありますよね。
ケーキ店なら、立地によって影響の出方は違ってきます。ビジネス街に
近いお店なら連休時は売上が下がる傾向に。住宅街に近いなら逆に
上がる傾向があるはずです。
しかし、そのセミナーでは、こうだったそうです↓。
『そして答え合わせの時間がやってきた。講師が解説を始めた。...何かがおか
しい。1日あたりの売り上げについて言及せずに解説が進められている。』
『休憩タイムにで講師の方に個人的に質問してみた。「そもそも、2月の売り上
げは1日あたりにすると前月より増えているのですが、これは考慮しなくていい
のですか」という感じで聞いてみた。返答らしい返答は無かった。僕は、無視
されたんだな、と思った。』
・・・と、これはちょっとひどいですね(この講師が)。
2月の「月当たり売上」は1月より低下。でも「1日あたり売上」なら1月より
アップしている・・・ そのこと自体は、全体の傾向(1年間の推移)のなかでは、
それほど考慮する必要はないのかもしれません。全体としてはもっと大きな売上
の変化があるのでしょうから。
しかし、それを無視して、売上が単調減少していると言うのは(厳密に言えば)
間違いですし、さらにそれを質問されてもスルーするというのは、頂けません。
その講師はシナリオ以外の質問には答えられないのでしょうか? と感じてしま
います。
■ 「ロジカル風シンキング」の弊害
「ロジカルシンキング」というのは、本来は「論理的に思考する」ということなの
でしょう。しかし、「いわゆるロジカルシンキング」では、「性急に答を出すこと」
や、「出した答を上手く説明すること」「出した答に説得力を持たせること」の
方に片寄っているような気がしています。
本来は、正しい(と思われる)答を導くまでのところが最も重要であり、最も
難しいところですが、そこが軽視されがちのような気がしています。
上記のセミナー(講師)は、その典型のように思えます。研修ですから、シナリオ
にそった教材を用いるのはいいとしましょう。しかし、実際には正しい答を導く
までには、データをいろいろな見方をして、検証していかなければいけないはず。
上記の質問が、仮に想定外の質問だったとしても、それを無視するようなこと
はあってはいけないはずです。
私は、こういうのは「ロジカルシンキング」ではなく、「ロジカル風シンキング」だと
考えています。論理的っぽいけど、実は論理的・・・からはとても遠いものです。
なぜそうなってしまうのか? というと・・・
「正しい(と思われる)答を導く」までのところは、本来最も重要です。しかし、
なかなか「型にはまった」ノウハウや研修カリキュラムには落とし込みにくい。
そこに難しさがあるのかもしれません。(といって、無視していいわけでは
ありません)
では、この「ロジカル風シンキング」が乱用されるとどうなるかというと・・・
「(本来)正しくない答に、説得力が付加される」
という状況になるわけです。これは、組織を間違った方向に導くこともある、
危険な兆候です。間違った答に、みんなが自信を持つわけですから・・・。
■ 「ロジカル風シンキング」と「ロジカルシンキング」を分けるもの
この「ロジカル風シンキング」と「ロジカルシンキング」の違いは、「正しい(と思
われる)答を導く」までの過程にあります。
そこで大事なことは、データをいろいろな見方で見ることや、「本当にそうな
のか?」と前提そのものを含めて考え直してみることなど。それが「クリティカル
シンキング」と呼ばれるものです。
クリティカルな態度や、突き詰めて調べる・考えることが不足している
ロジカルシンキングは「ロジカル風シンキング」でしかない。
というのが私の意見です。
さらに個人的な意見としては、
そんな「ロジカル風シンキング」なら、むしろ無い方がまし
と考えています。特に組織の中ではそうです。
※ いい加減な答に説得力が付加されると、その問題を熟知していない人
は(悪く言えば)だまされてしまいます。
たとえば、現場をよく知る人が「その意見は何かおかしい」と発言しても、
(その発言は本当は正しいのに) 「ロジカル風」の説得力の前に、無視
されてしまうこともあります。
組織における意思決定は、たいていの場合、「現場をよく知る人」よりも、
「あまり知らない人」が多い状況でなされます。そこで「ロジカル風」は
それなりの説得力を持ってしまうのです・・・。
ですから、「ロジカルシンキング」を学ぶ前に、「クリティカル」な物の見方を徹底
して身につけることが必要だというのが私の考えです。
(私が研究者・技術者上がりなので、特にそう感じるのかもしれません)
※ こういうと、「ロジカルシンキングを学ぶな」と言っているようですが、
そういうわけではなく、「ロジカルシンキング」のカリキュラムを見直し
たり、あるいは研修の実施時期に考慮が必要では? という話です。
先のブログ記事では、最後の方で著者はこう述べています。
(『』内は引用です)
『 「そもそも、その前提は正しいのか」と考えてみることは、実際に問題に
直面したときにはかなり重要だと思う。』
これが、まさに「クリティカル」な物の見方です。
私もこれはとても重要だと思いますし、(実経験をもとに)同意してくださる
方も多いのではないでしょうか。
今日の記事作成時間は80分でした。
では、また明日!
Posted by 水口和彦 at 23:55│Comments(0)│TrackBack(0)
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