「クリティカル」に考える例: 「東大生の勉強法」は有効なのか?
こんにちは。水口です。
今日は昨日の「クリティカルシンキング」に関連した話です。
■ 「東大生の勉強法」は有効なのか? というケーススタディ
「クリティカル」に考えるためには、ある命題の「前提」を含めて、
「本当にそうか?」と突き詰めて考える姿勢が必要です。
たとえば、こんな命題について考えてみると面白いと思います。
――――――――――――――――――――――――――――――
少し前から「東大生の勉強法」が話題になったり、勉強法を紹介する本が
いくつか出版されていたりします。
では、その「東大に合格した勉強法」は本当に優れているのでしょうか?
あなたは、どう思いますか・・・?
――――――――――――――――――――――――――――――
□ その1:直感的な答としては・・・
この命題を聞くと、
東大に合格したくらいだから、その勉強法は優れているだろう
と思う人が多いのではないでしょうか。
これが、直感的な答だとしましょう。
しかし、統計や確率の観点から見れば、答は変わってきます。
□ その2:統計・確率の観点では・・・
統計や確率の観点で見れば、「東大生の勉強法は優れている」というのは
必ずしも正しくありません。
厳密には、「東大に合格した人」と「合格しなかった人」両方のサンプルを
比較しないと何とも言えないわけです。
もしかしたら、勉強法はあまり関係なく、元々の頭の良さや、真面目に勉強
を続ける性格などの方がずっと影響が大きいのかもしれないわけです。
また、その「東大生の勉強法」を、東大生以外の人がやっていなかったとも
限りません。もし、他の人もやっていたとすれば、「東大に合格した勉強法」
とは言い難いことになってしまいます。
※ 極端な例として、「東大に合格した勉強法」が「教科書とノートを使う」
というものだったとしたら・・・、当たり前すぎて意味がありません。
ですから、統計的な観点からは、
「東大合格者の勉強法が優れている」とは言えない
(もちろん「優れていない」とも言えない)
というのが、この場合正しい答になります。
つまり、「この情報だけでは何とも言えない」という答です。
――――――――――――――――――――――――――――――
【補足】
そんな答では役に立たない・・・と思われる方もおられると思いますが、
本来「何とも言えない」ことを過大評価して、その真似をして失敗することも
あります。こういう視点での見極めも大事です。
実際、こういうタイプの勘違いは世の中に数多くあります。
たとえば、業績のいい企業が「ある手法」を取り入れているという情報がある
と、「うちもそれをやってみよう」と思いたくなります。しかし、それが正しいとは
限りません。
元々業績のいい企業が、たまたまその手法もやっているだけかもしれません。
その手法と業績の因果関係がはっきりしないわけです。ですから、本当は業績
のいい企業だけを分析するのではなく、業績が良くない企業とも比較して分析
しなければいけません。
でも、ついつい「あの会社がやっているんだから」と思ってしまうところに、
(確率論的に見た)落とし穴があるというわけです。
――――――――――――――――――――――――――――――
□ その3:もう一歩踏み込んでみると・・・
ところが・・・、先の確率論的な話は、実は問題を単純化しすぎています。
実際に東大に合格するのは、(当たり前ですが)簡単なことではありません。
東大までのレベルになると、元々頭が良い人でも、そうそう合格できません。
つまり、東大合格者は「頭の良さ」だけでなく、受験勉強において工夫したり、
ノウハウを収集したりしている人の比率が高いと考えられます。
また、「受験」というのは、実はPDCAサイクルを比較的回しやすいものです。
何度も「模試」を受けて、実力を確かめることができますし、それに応じて勉強
法に改善を加えていくことも可能です。(ビジネスの現場では、結果が出るまで
に時間がかかるので、なかなかこうはいきません)
つまり、受験生は受験の期間の中で、勉強法をいろいろ試し、勉強法の取捨
選択を行ってきているものです。東大は地頭だけではなかなか合格できない
ので、その合格者の(勉強法における)試行錯誤、取捨選択の数が多いこと
は充分に考えられます。
先の確率の話は、「勉強法をランダムに選択し、その勉強法のみを続けて
受験にのぞむ」という条件下では正しい答です。しかし、勉強法を「取捨選択」
しながら、改善を加えていくという状況では必ずしも正しくありません。
難易度の高い東大の合格者は、取捨選択(トライアル&エラー)の回数その
ものが多いと推測できますから、「東大合格者」が採用していた勉強法は、
他の人と比べるまでもなく、(比較的)優れたものであると推測できます。
これは、あくまでも定性的な話(傾向としての話)ではありますが、
「東大」のレベルなら、それなりの差は出てくると思います。
※ 個人的な感覚の話で申し訳ありませんが・・・
(理系の)受験の難易度で言うと、東大・京大はかなり敷居が高く、
普通に勉強するだけではなく、「受験対策」にかなり工夫が必要だと
感じています。物理や数学が得意なだけでは、まず無理です。
(それで両校を、はなからあきらめたのが私です(笑))
というわけで、実際のところ「確率論的な答」よりも、最初の「直感的な答」
の方が(結果的には)正しいのではないか? ということになるわけです。
(もちろん、これも1つの仮説にすぎません)
「結局、直感が正しい」と言いたいわけではありません。確率論的に考える
ことも重要です。ただ、確率論的に考えるためには、条件を単純化すること
が必要で、そこで結論を誤る可能性もある。ということを言いたいのです。
(上の例では、受験生が「試行錯誤」するという条件を無視しています)。
この例で何が言いたかったかというと、
「クリティカル」に考えるというのは・・・
「東大合格者の勉強法はすごい」と単純にとらえるだけではダメ・・・
「理屈で考えれば正しい」とも限らない・・・
結局、「理屈」も「感覚」も「自分の実体験」も含めて、様々な角度から
考えることが必要。
ということだと思うのです。
結局、「考え抜くことが大事」ということです。
こういうのは「ノウハウ化」しにくいものなので、本や研修などでは、なかなか
取り上げられない(商売に結びつけにくい)。だから、話題にのぼりにくい。
しかし、とても大事なことなんですよね。
簡単に「こうすれば身につく」とは言えないのが歯痒いですし、申し訳ないの
ですが、大事なことなので書いておきました。
今日の記事作成時間は78分でした。
では、また明日!
Posted by 水口和彦 at 23:55│Comments(0)│TrackBack(0)
時間管理術研究所の無料メールマガジンで
モチベーションアップしてみませんか?
バックナンバーはこちら
Copyright (c) 2005-2010 BizARK Inc. All rights reserved.
http://trackback.blogsys.jp/livedoor/k_minakuchi/51919138
※ スパムコメント対策として、半角の「!」は使用不可の設定にしています。
申し訳ありませんが「!」は、全角文字を使用していただけますよう、
お願いいたします。









(参照リンクの無いトラックバックは受け付けておりません)