2009年04月30日     このエントリーをはてなにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマーク

余談: 緊急時に差が付く、自動車のブレーキの踏み方


こんにちは。水口です。

ゴールデンウィークに入って、車でお出かけする方もおられるかと思います。
今日はいつもと違ってビジネス系の話ではなく、「車」の安全に関する話を
しようと思います。


■ 「ブレーキ」の仕事をしていました

前にも少し書いたことがありますが、私は以前、自動車用のブレーキ部品を
開発する仕事をしていました。

※ もう少し具体的に言うと「ブレーキパッド」という部品です。
   ホイールの中にあるブレーキディスク(ブレーキローター)を
   挟み込んで止めるのがディスクブレーキなのですが、その
   挟み込む材料(ブレーキパッド)を開発していました。

そんな仕事をしていたので、自分自身もテストコースで走ったりすることも
ありました。一応、ブレーキ関係ではプロフェッショナルだったわけです。

そんな経験から、前々から気になってしまうことが1つあります。それは、
自動車を運転する際のシートへの座り方です。


■ 座り方ひとつで制動距離は変わってしまう

テストをしているときに気付いたことなのですが、高減速度のブレーキ
(強いブレーキ)を踏むときには、シートへの座り方が影響してきます。

右の図のように腰をずらせた(腰が浮いている)状態で座っていると、
高減速度のブレーキがなかなか踏めません。

ブレーキの踏み方図

この記事のタイトルは「ブレーキの踏み方」としていますが、実際には座り方
の時点で、差が付いてしまっているわけです。

実際に踏力(とうりょく:ブレーキペダルを踏む力)を比較してみると、右の
ように腰を浮かせた状態と、左の腰をつけた状態では(私の場合)、
3〜4割の差があります(左の方が強い力で踏めます)。

体重や筋力、その車のブレーキペダルのストローク(踏み込み量)の深さに
よって個人差はあるかもしれませんが、3〜4割というのは大きな違いです。


もちろん、自動車の運転時は急ブレーキを踏まずに済むに越したことはあり
ません。しかし、公道を走る限り、予測不可能な状況も起こるものです。そこ
でぶつからずに止まるために「座り方」が影響するわけです。

しかし、現実として腰を浮かせて座る人の方が大半。たとえば、私が他の人
と車の運転を交代すると、シートが前寄りになっていることに驚かれることも
多いです。

「足が短いの?」と言われることもありますが(笑)
決してそんなことはありません。人並みにあります。


腰を浮かせず座るためには、シートを前寄りにセットすることが必要です。

自動車を運転する際には、シートを少し前に、腰とシートが密着するように
してみてはいかがでしょうか。安全のために。


■ 「ABS」は無用の長物?

このことに関連して、気になるのが自動車メーカーの対応です。

ABS(タイヤのスリップ時にブレーキを適切にコントロールする装置)が普及
し始めた頃、自動車メーカーは「全車ABS搭載」といった広告を行っていた
ものでした。

しかし、凍結路や雨天時は別とすると、実際にはABSが作動するところまで
ブレーキを踏み込めない人が大半だと思います。
(実際、乾燥路でABSが作動するまで踏み込むにはかなりの踏力が必要です)

ということは、乾燥路に限って言えば、ABSが付いていてもいなくても関係が
ないということになります。「ABS搭載だから安全」という以前に、シートへの
座り方について考えるべきです。


で・・・、私が自動車メーカーにもっと考えてほしいと思うのは、シートそのもの
です。

実は、先の例のように腰を密着させて座るようにすると、背中が蒸れやすいと
いう問題があります。長時間座るのはあまり気持ちのいいものではありません。
ですから、蒸れるからという理由で、腰をずらせて座る人も多いと思います。

それならば、シートをもっと蒸れないものに変えることはできないものか? と
思うわけです。

たとえば、オフィス用の椅子(特に高級品)では、背中の部分がメッシュに
なっているものが増えています。

自動車でメッシュにするかどうかはともかくとして(安全や耐久性もありますし)、
よりユーザーのことを考えれば、「蒸れないシートで安全運転」ができるシートを
開発するべきではないか? と思います。


 「このシートは蒸れませんから、しっかり腰をつけて座ることができます。
  ですから、緊急時にブレーキ性能を充分に発揮させることができます」

と言える製品を開発するメーカーが出てきてほしいものですが・・・。
それが本当の「顧客視点」の開発ではないでしょうか。




ちなみに、「メッシュ」ではないですが、それに近い優れもののシートを作って
いるメーカーもあるそうです↓。現在はカーマニアの方向けの商品という感じ
ですが、一般ユーザーの安全のためにもこういう商品は有効だと思います。

自動車用シート“フカフカ信仰”の終わり、3次元織物でシートを作る
- 日経ものづくり - Tech-On!



今日の記事作成時間は48分でした。
では、また明日!


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Posted by 水口和彦 at 23:55│Comments(4)TrackBack(0)

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この記事へのコメント
蒸れですかぁ‥。
知人で車のシートを専門的に作っている人がいます。
型紙段階での弛みだったり、素材だったり‥結構難しい話しは聞いた事があります。
ブレーキにしても踏み込まなきゃ意味が無いものは、踏み込めるような条件がそろっていなきゃだめですよね。
車業界に限らずこんな事ってありますよね。

Posted by 大熊ねこ at 2009年05月01日 21:01
水口です。
大熊ねこさん、ありがとうございます。

自動車のシートは耐久性や、しっかりしたホールドが必要だったりと、
確かに技術的には難しそうに思います。外観も大事ですし。

だからこそ「蒸れない」ことは後回しにされているのかな・・・という気もします。
そういうところを、改めて考え直してみると本当に良い商品が出てくるのでは?
と考えたりもします。

こういうのって、色んな業界にありますが、そこから抜け出るには、
「第三者の視点」が有益なことが多い気がします。
私もシートに関しては第三者なので、あえて書いてみました。
Posted by 水口和彦 at 2009年05月07日 07:15
とても勉強になりました。

コンフォータブルエアーバケットシート装着車なんて
販売されたらいいですね。
Posted by anami at 2010年06月24日 19:12
水口です。
anamiさん、コメントありがとうございます。

バケットシートは接触面積が広いので、より蒸れそうですね・・・(汗)
それが風通し良くなっているとなると、かなり付加価値が高いですよね。

標準設定でそういうシートが装着されてると、かなりうれしいかも。
オプション代を上乗せしても、装着したいですね。
そういうの、作ってほしいなあ・・・。
Posted by 水口 和彦 at 2010年06月29日 06:26
 

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