2009年05月12日     このエントリーをはてなにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマーク

休日を増やすタイプの「ワークシェアリング」について


こんにちは。水口です。
昨日に続いて、ワークシェアリング関係の話を。


■ 「ワークシェアリングを単なる雇用政策に留めるな」という記事

こんな記事がありました。

ワークシェアリングを単なる雇用政策に留めるな
| SAFETY JAPAN [セーフティー・ジャパン] | 日経BP社


経済アナリストの森永卓郎氏による記事です。

記事の主旨はこうです↓。   (『』内は引用です)
 
『 ワークシェアリングには、大きく次の4つのメリットがある。

 1.労働者にとって、将来の不安が解消できる
 2.企業にとって、労働者の技術や技能が保持できる
 3.雇用保険料負担を減らすことができる
 4.労働時間を減らすことができる

 わたしは、基本的にワークシェアリングを進めたほうがいいと考えている。
ただし、今回の議論でいえば、1〜3の点については検討がされているもの
の、4の点について重要な議論が抜けていると感じられるのだ。』



その「4の点」について、もう少し詳しく、
 
『 では、どうすればよいのか。現在、製造業の現場では、「今月は3日間ライン
を停止する」といった短い休業の繰り返しが行われている。今回のワークシェア
リングも、それを念頭に置いているのだろう。だが、そんなちまちましたことをし
ないで、ある程度製品をつくって在庫をストックしておいたら、あとはまとめて
例えば1カ月の夏休みを取れるようにしたらどうだろうか。在庫に対する費用
は多少かかるかもしれないが、そのほうが人間として正しいやり方ではないの
か。』


とあります。

在庫をストックしてから一斉休業する、というやり方は、製造業出身者として
受け入れがたいものだと思ってしまいますが・・・、それは置いておいて。

単なる労働時間削減ではなく、長期休暇を取る方向でも検討してみては?
という考え方自体は、私も賛成です。


■ 「同じワークシェアリングなら、長期休暇を設定しては?」という意見

森永氏はこう続けます。
 
『 ワークライフバランスという言葉は、景気のいいときに叫ばれていたものだ
が、本当に必要なのは、今のような不況の時代である。今こそチャンスなので
ある。ワークシェアリングによって上手に労働時間を減らすことができれば、日
本という国全体を活性化することも不可能ではない。

 1カ月も夏休みをとるのは無理だというかもしれないが、欧州の人たちはそ
れを昔からやっている。それでいて、フランス、イタリア、オランダなど相当数の
西欧諸国の一人当たりGDPは日本よりも高くなっているのだ。欧州でできて、
なぜ日本でできないのか。』


確かに、こういう考え方もあってしかるべきだと思います。

会社全体として、一斉に1ヶ月休暇を取るというのは現実的でないにせよ、
労働時間の削減分をあえて「長期」の休暇にあてるという発想は、とてもいい
と思うのですが・・・ そういう議論はほとんど目にしませんね。


また、これに少し関連して、最近のワークシェアリングで腑に落ちないのが、
工場の稼働日数を減らす話です。

各自動車メーカーが独自に休日を設定していますが、どうせなら同じ日に休ん
でもらった方が、部品を納入する部品メーカーも操業をコントロールしやすくなる
はずです。

自動車メーカーがバラバラに休日設定することによって、そのあおりを受けるの
は自動車部品のメーカー、そしてさらにその下請けメーカーです。下請けにしわ
寄せがいくようなやり方は、避けるべきではないでしょうか・・・と思ったりします。


あるいは、いっそのこと、自動車業界は○月の第○週は一斉に一週間休む。
なんてことも、もしかしたら可能かもしれません。同じ労働時間削減なら、こちら
の方が良いと思う方は多いのではないでしょうか・・・。

※ もちろん、現実的には車種によって操業状態が違うので、こう単純には
   いかないのですが、これに近い形を考えてみる価値はあるのでは・・・?


・・・ と、「ワークシェアリング」について、もっと色々なアイディアが持ち寄られ、
議論されてもいいと思います。上記記事の最後で森永さんが指摘していますが、
政労使の集まりでそんな議論がなされている気配はありません・・・。


最近の話では、「日本型ワークシェアリング」というものが、安易な形で定義され
てしまっていますし・・・ (詳しくは↓こちらに書きました)

 「日本型ワークシェアリングはこれ」 と誰が決めたのか?

※ 現在、「日本型ワークシェアリング」と呼ばれているものは、結局「残業カット」
   や「一時帰休」といった 過去の施策のくり返しでしかないという話です


また、一昨年に制定された「ワーク・ライフ・バランス憲章」でも、労働者のこと
を考えているとは思えない、現実的でない数値目標が設定されていたりします。

 (その件の詳しくは↓こちらに書きました: 2007年12月の記事です)
 「2017年までに年次有給休暇の100%取得」という目標について

※ 有給休暇を本当に100%使い切ろうとすると、逆に従業員側に余計
   な負担がかかるという話です。
   100%を越えると(有休を使い切った後に休むと)減給になりますし、
   そうならないように100%使い切るのも至難の業です。
   (もし全員がそうしたら、最終日近辺に有休が集中してしまいます)

これも、悪く言えば 「現実の問題を深く考えずに、適当に設定してる」 としか
思えません。

たとえば、企業の人事担当者からヒヤリングするなどしていたら、こんな目標を
設定するはずがありませんし、そこまでしなくても、実際の運用を想定して考えて
みれば分かるはずです。



結局、政労使ともに、ワークシェアリングについても、ワーク・ライフ・バランスに
ついても、まだまだ真剣に考えているとは思えない状況です。寂しいですが。

さて、政府や企業団体の批判ばかりしていると、「○○ステーション」みたいに
なってしまうので、これくらいにしておかないと・・・(笑)
(ネガティブな話になってしまって、すみません)



今日の記事作成時間は45分でした。
では、また明日!


このエントリーを含むはてなブックマークこのエントリーをはてなにブックマーク
Posted by 水口和彦 at 23:55│Comments(0)TrackBack(0)

時間管理術研究所の無料メールマガジンで
モチベーションアップしてみませんか?
メールアドレスを入力すれば登録できます! → 
バックナンバーはこちら
Copyright (c) 2005-2014 BizARK Inc. All rights reserved.
この記事へのトラックバックURL
(参照リンクの無いトラックバックは受け付けておりません)
http://trackback.blogsys.jp/livedoor/k_minakuchi/51933922
 

※ スパムコメントがあまりに多いため「http://」は使用不可の設定にしています。
  URLをご紹介頂く場合は「http://」を省くか全角文字を使用して頂けますと
  幸いです。