この時期に、会社としての「副業」を実践している企業の例
こんにちは。水口です。
今日はまたまた(?)「ワークシェアリング」について。
■ 「ワークシェアリング」実践企業の例
11日の記事(「ワークシェアリングは従業員に選択権を与えること」)で、
この本↓を紹介しました。
―――――――――――――――――――――――――――――――
日本的ワークシェアリングの“ススメ”―大不況に勝ち残りたい経営者へ
著者:長倉 貞雄
販売元:アスク
発売日:2009-04
クチコミを見る
―――――――――――――――――――――――――――――――
11日の時点では、注文しただけで手元には無かったのですが、その後入手し、
読んでみました。
この本の著者は大阪府にある「株式会社アスク」という、精密機械部品の加工
を行う会社の経営者の方です。従業員は60名だそうです。
その会社は量産品に使う部品を作る会社ではなく、試作段階の部品を作る
会社だそうです。大量生産ではなく、一品ものの加工が多いのではないかと
思います。
試作品の加工ということもあって景気変動に対しても量産品と違う動き方を
するようで、昨年の不況以前から、すでに受注量が減少していたそうです
(H18年度に対し、H20年度は30%減。H21年はさらに悪く・・・)
営業努力を怠っているわけではない。むしろ以前以上に営業活動を行って
いるが・・・ それでもどうにもならないという判断で、結果的にいち早くワーク
シェアリングに取り組むことになったわけです。本書は、その記録が書かれた本
です。
この本に書かれているワークシェアリングは、仕事が減った分、出勤日数も
減らすという、シンプルなワークシェアリングです。
本のタイトルにあるように「これが日本的ワークシェアリングだ」と言われると、
私は抵抗を感じるのですが・・・ (「ワークシェアリング」には緊急避難的なもの
だけではなく、長期的な雇用創出を目的としたものもありますので)。
それはそれとして、一企業の記録として興味深いところがありました。
経営者の方は、一読の価値があるかと思います。
※ 「考え方が合わない」という方もおられるかもしれませんが、一つの
やり方として、参考になると思います
■ 「会社としての副業」とは?
本の内容とは別のところで、驚いた点がひとつあります。
奥付を見ると、この本の出版元は、「株式会社アスク」となっています。
・・・つまり、この本の舞台である(ワークシェアリングを行っている)会社が
出版しているのです。
本文にもありますが、この社長さん(著者の長倉貞雄さん)は、自分の給与
も減らし、その分自分の出勤日も減らしています。本当に自らもワークシェア
リングを行っているわけです。
その空いた時間を使ってこの本を書いたり、講演活動をしたりしているそう
です。それが、自らの副収入にもなっているそうです。
そして、会社としても出版を行い、会社としての「副収入」的なものを得ている
というわけです。
驚いたことに、本の編集作業も社員が行っているそうです。
※ 読んでいて、なんとなく素人っぽい作りだな・・・とは思いましたが、
その理由が分かりました。
しかし、ここまでやるというのもすごいです。
たとえば、会社として受注が減り、売上が減ってしまった状況の中で
「手が空いた分、別の事業をしたらどうですか?」 と仮に言われたとしても、
ほとんどの会社の社長さんや社員さんは、できないのではないでしょうか。
こういう副業的なものは、個人レベルでは珍しくはありません。しかし、会社と
しては、あまり無いと思います。特に不況期には元気を無くしてしまって、新規
事業という気持ちにすらなれない人(会社)も多いと思います。
※ もちろん、どんな会社も「新規事業」の種を探しているものですが、
不況期に、まったく畑違いの事業(出版)に飛び込むような例は
少ないという意味です。大したものだと思いますし、たくましいですね。
ちなみに、本文中に書いてありましたが、この本は、最初の5000部が実売
するまでは、著者印税を取らないことにしているそうです(全部会社の方に
入るようになっているそうです)。
このことからも、「社長の副業」というよりは、「会社の副業」と言った方が、
適切だと思います。
「不景気だから何をやってもムダ」と決めつけるのではなく、「考えてみる」、
「やってみる」という気持ちを持つのは大事なこと。あらためてそう感じさせ
られました。
ちなみに、この本は今年の4月に刊行されています。頭を抱えて、先の心配
をしている人をよそに、ワークシェアリングとともに、着々と新しいチャレンジの
準備をしてきた・・・ というと格好良すぎるでしょうか?
※ ただしこういう場合にはは、初期投資が大きな事業はもちろんできません。
出版の場合、印刷そのものは印刷会社が行うので、「本の在庫」以外の
リスクは実はあまりありません。そういう意味では挑戦しやすい面があるの
かもしれません。
・・・とはいえ、本を作った後の「流通」の段階は大変だと思います。実績も
ない零細出版社が本を作ったからといって、その本がすぐに全国の書店に
配本してもらえるわけではありません。そういう面ではきっと苦労されている
と思います。
この本、経営者の方には一読をおすすめします。
今日の記事作成時間は38分でした。
では、また明日!
Posted by 水口和彦 at 23:55│Comments(0)│TrackBack(0)
時間管理術研究所の無料メールマガジンで
モチベーションアップしてみませんか?
バックナンバーはこちら
Copyright (c) 2005-2014 BizARK Inc. All rights reserved.
※ スパムコメントがあまりに多いため「http://」は使用不可の設定にしています。
URLをご紹介頂く場合は「http://」を省くか全角文字を使用して頂けますと
幸いです。
(参照リンクの無いトラックバックは受け付けておりません)