2009年06月29日     このエントリーをはてなにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマーク

『終身雇用を守るとグローバル化に勝てない』という意見への反論


こんにちは。水口です。

今日は一昨日の続きで、こちらの記事↓について。

【レポート】ワークライフバランスと生産性
- "個人の自立"こそが会社と社会を支える
| 経営 | マイコミジャーナル



■ 終身雇用を守るとグローバル化に勝てない?

上記の記事には、こんな記述もありました。

 (『』内は引用です)
 
『ワトソンワイアット代表取締役社長の淡輪敬三氏は、国際化する市場経済の
流れの中で、旧来の日本的労働体制がもたらしている弊害を指摘。「日本に
は終身雇用が企業の競争力の源泉であるという信念があり、いまだその意識
が根強く敢行している。できれば守りたいという気持ちはわかるが、それでは
グローバル化に勝つことは難しい。今後もビジネスは急速に無国籍化し、独自
性を打ち出さなければ企業は生き残れない」と述べ、組織における個人の自
立を促した。』
                       (上記サイトより引用)

という記述がちょっと引っかかりました。

「組織における個人の自立」が必要だというのは、私も同意なのですが、終身
雇用を守るとグローバル化に勝てないという点は、個人的には賛成できません。
(いかにも「外資系」の論理という気がします)


終身雇用を守ることが企業の競争力に影響するというのは、主に2つの問題
が影響しています。

一つは、終身雇用前提だと、いわゆるリストラが難しくなること。組織をスリム
化して固定費を削減するという策が取りにくくなります。

もう一つが、終身雇用でよく用いられる「年功給」(年齢と共に給与が上がる
仕組み)が人件費を押し上げてしまうという問題です。

前者は確かに一理あるのですが、後者はむしろ問題にすべきは年功給という
制度であり、終身雇用とは本来別の問題です。確かに終身雇用と年功給が
セットになっている会社がほとんどですが、絶対切り分けられないというもので
もありません。


そして、逆に終身雇用がメリットを生んでいる部分もあります。これは日本人
だけが言っているわけではなく、H.ミンツバーグ氏も指摘しています。

(2月にそのことを書きました↓)
『「会社は株主のもの」は誤り』は誤りだけど・・・

アメリカ流に合わせるのがすべて良いとは思いませんし、終身雇用に関しては
ミンツバーグの指摘の方が的を射ていると思います。

そもそも「製造業を没落させたアメリカの人材コンサル会社に言われたくない」
というと、言い過ぎでしょうか・・・。



(経営者視点で見れば)終身雇用を無くすメリットも確かにありますが、それと
同時に何か大事なものを無くすような気がします。

ただし、今のやり方でいいというわけではなく、「新しい終身雇用のあり方」を
模索していくべきではないか?

というのが私の意見です。


■ 日本の企業におけるワーク・ライフ・バランス実現のカギ

もうひとつ引用しておきます。 (『』内は引用です)
 
『また、モデレーターを務めた東京大学社会科学研究所教授の佐藤博樹氏は
経営者が推進するワークライフバランスに加え、個人の意識の変革が重要だ
と話す。

「日本の企業におけるワークライフバランスの実現のカギは、仕事の仕方と
生活のあり方を変えることの2点に集約されるが、仕事の仕方を変えるのは
企業経営者側がやるべきこと。これは自己管理能力のある社員を育てると
いうマネジメント育成の意識でやれば意外に進んでいくのではないか。これに
対し、生活のあり方を変えるのは個々人がちょっとずつ変えていくということ
がポイントだが、これが意外に難しい課題でもある」

と、ワークライフバランスは企業側だけの課題ではないことを強調』

                                   (上記サイトより引用)

とあります。

『自己管理能力のある社員を育てるというマネジメント育成の意識でやれば
 意外に進んでいくのではないか。』

というところ、私も同意見です。

タイムマネジメント能力も自己管理能力の一つです。実際、本人がやる気を
持ってタイムマネジメントに取り組めば、労働時間は確実に削減できます。
(私自身もかつてそうでしたし、タイムマネジメントを学んで頂いた方で、
 そういう方が出てきているのも事実です)

本人がやる気を持ってくれないと難しいという問題はありますが、そもそも
ほとんどの人がタイムマネジメントの手法を学んでいないというのが現状
ですから、改善できる余地は実は大きいのです。

また、もう少し広い意味で「マネジメント育成」と捉えると、権限委譲による
スピードアップもこれに含まれます。これも重要なことです。

これに気づく経営者がどれだけ出てくるかがポイントでしょうか。
(私も微力ながら、自己管理力の重要性を説いていきます)


次に、

『生活のあり方を変えるのは個々人がちょっとずつ変えていくということ
がポイントだが、これが意外に難しい課題でもある』

という発言は、具体的に何を指すのか分かりにくいのですが・・・。
「早く帰ってもやることがないので会社に残ってしまう」社員のことを指して
いるのかな? と私は解釈しました。

いかに「自分」や「家族」のために時間を使えるかということです。

この傾向は世代によって違います。一昨日書いた「文化」的なものも関係
しています。今の20代はそういう意識が高いと思っていますが、40代や
50代の方は、(悪い意味での)「会社べったり」な人も多く、変えていくのは
確かに時間がかかるかもしれませんね。

これは、一昨日書いたのと同じで、「モーレツ型ビジネスパーソン」的文化を
変えていくことが必要になってくるわけです。なかなか難しい課題ですが。



今日の記事作成時間は48分でした。
では、また明日!


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Posted by 水口和彦 at 23:30│Comments(2)TrackBack(0)

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この記事へのコメント
グローバル化が激烈に進む市場で勝ち残るには、やはり年功序列の組織では勝てないだろうと思います。
たとえば、日々新たな、予想外の強敵が現れる戦場で、レギュラー選手が固定しているチームで勝てるでしょうか?

でも、貴殿のように「大事なものを亡くさずに、新しい終身雇用のあり方を模索」することは極めて価値あることだと思います。ただし、それは国際課競争にさらされないドメスティックな環境にいる、しかも非上場の企業に限られるのではないでしょうか?地元密着の小売とか。。。
Posted by zosojh at 2009年07月01日 22:07
水口です。
zosojhさん、ありがとうございます。

うーん。私は可能性あると思うんですけどね・・・小売りに限らず。
実際、「地方」で「終身雇用」で、しかも世界を相手に商売して
業績を上げている(世界シェア2桁取っている)企業はありますからね・・・。

ただ、「非上場に限られる」というのは、私もそうかもしれないと考えています。
どうしても、上場企業だと短期的な業績や、業績不振時の対応を考えないと
いけませんからね・・・。
Posted by 水口和彦 at 2009年07月06日 01:46
 

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