2009年07月28日     このエントリーをはてなにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマーク

大人も子どもも「書きながら考える」習慣を (+Web掲載のお知らせ)


こんにちは。水口です。
今日は「メモ」と「マインドマップ」の話です。


■ 『escala cafe』の掲載記事

「もっと、なりたい私に。働きウーマンのポータルサイト」 がキャッチフレーズの
『escala cafe』 というサイトに、こんな記事がありました。

escala cafe |
仕事の効率を上げるための「万能メモ術」とは!? 【働く女子の実態】


『段取りメモ』 『発想メモ』 『決断メモ』といったメモを活用しよう、という内容
の記事です。


ん、聞いたことあるな? と思った方は、私の本を読んで頂いている人かも
しれませんね。実はこれ、私が取材を受けた記事です。

こういったメモの話は、こちらの本↓でも紹介しています。

「理系的」仕事術
「理系的」仕事術

この本では、いくつかメモの活用法を紹介しています。それが『段取りメモ』や
『発想メモ』、『決断メモ』だったりするわけですが、実は、最も言いたいことは
「もっとメモを活用しましょう」「考えるためのメモを使いましょう」ということです。

「メモ」というと、普通は見たこと聞いたことなどの「情報」を書きますが、もっと
幅広く、「考えたこと(これから考えること)」「頭を整理したいこと」などにも
メモを使うと仕事が効率的に進むことが多いです。
(逆にメモしないと、ついつい考えが堂堂巡りになりがち。時間を浪費します)

ですから、「書きながら(メモしながら)考える」ことをもっとしましょうよ。と言い
たいわけです(※)。残念ながら、私は昔、そういう習慣を持っていませんでした。
気づくのが遅かった・・・という感じです。また、私だけでなく、周りの人を見回し
ても「書きながら考えている」人は、めったに見かけません(計算とかは別として)。
だからあえて言い続けているわけです。

※ 「書きながら考える」というのは、「考えたことを書く」のとは違います。
   思いついたことや考えたことを「メモしておこう」ということではなく、
   (↑これはこれで大事ですが)
   まずペンと紙を持ち、書きながら考えをまとめていくということです。


■ 「書きながら考える」ことが一般的でない理由


「書きながら考える」ことはとても役に立つのに、あまり一般的ではない。
なぜなんだろう・・・?

と思うこともあるのですが、その一番の理由は、「書くことに構えすぎ」という
点にありそうな気がしています。

たとえば、学校などでノートを使うのは、授業の内容(板書や口頭の説明)
を書くのがメインです。「見たこと聞いたことを忘れない」ための記録という
感じです。

本当は、それだけではなく「自分が疑問に思った点」や「思いついたこと」
などもどんどん書いていくと、より理解が深まるのですが、学生時代にそう
いう書き方はしてこなかったように思います。
(大学くらいになると、多少違ってきますが)

ちょっと大げさに言うと、ノートは「頂いたありがたいお言葉」を書きとめる
ためのものであって、自分の思いつきや考えを書くために使うものではない
という雰囲気があるのではないでしょうか?

もちろん、数学の問題を解いたりするためにも使いますが、それも「与えら
れた問題」を解くためのものという雰囲気がちょっとあります。

「紙をムダにしちゃいけない」という感覚があるのか、自由気ままに自分の
考えを書く使い方は(特に勉強の分野では)してこなかったように思います。


ですが、本当は子どもの頃から「書きながら考えをまとめていく」という経験を
もっと積んだ方がいいと思います。

もっとも、元々学校教育の中で「自分の考えをまとめる」という機会が少ない
というところにも問題があるのかもしれませんが・・・。


■ 子どもにマインドマップを教えるメリット

「考えをまとめるメモ」の一種に、「マインドマップ」があります。

ご存じの方も多いと思いますので「マインドマップ」の説明は省きますが、
(検索すると情報はいろいろ出てきます) 1枚の紙の上に放射状に
つなげながら書き、考えをまとめたりするためのものです。

このマインドマップはビジネスパーソン向けだけでなく、子どもにも教えると
いう試みもなされています。

子どもにマインドマップを教えることに対して、私は当初やや懐疑的でしたが、
実はとても良いことかもしれません。マインドマップを通じて「自分の考えを
まとめる」という経験ができるのは、実は希少な経験かもしれないので。
(お子様をお持ちの方は、試してみてはいかがですか?)


■ マインドマップという形式で教えるデメリット

ただ・・・、私は「マインドマップの弊害」もあると感じています。
これは大人にも共通することです。

何かの手法を形式化・権威化してしまうと、その形式を守ることに意識が
いってしまい、気軽に使えなくなってしまうことがあります。

たとえば、マインドマップの説明として 「色分けすると右脳が活性化する」
「絵を入れると右脳が活性化する」と強調されると、「単色」「絵無し」で
書くことに抵抗を感じる人もいるはずです(真面目な人ほど特に)。

手法を「形式化」「権威化」すると、どうしても「かしこまって」しまいます。
そして、「かしこまって」しまうと、普段から手軽に活用できません。
普段活用できないものは、「忙しい時」「いざという時」にも活用できません。

そういう意味では、「マインドマップという形式を守ること」にこだわりすぎる
のはデメリットがあるのではないでしょうか? そう私は感じています。

※ 一方、教える側の商売としては、「かしこまった」方、つまり、手法を
   複雑化・権威化した方が話題を作りやすいし、高い値段を取りやすい
   という事情があります。これがややこしいところです・・・。



・・・こう言うと、マインドマップ信奉者の方から反論されるかもしれません。
「マインドマップの書き方は色々ある。シンプルな書き方もあるんだ」とか。

ただ、考えてみてほしいのは、いくら色んな書き方を教わったとしても、
「色分けすると右脳が活性化する」と強調されるのは、「色分けしないと
右脳は活性化しない」というメッセージにもなります。そう刷り込まれると、
どうしても「かしこまってしまう」人は出てくるんです。


というわけで私は、子どもにも大人にも

  まず、「書きながら考える」ことが重要
  その一手法として、マインドマップがある

と教えるべきだと思いますし、「マインドマップだけが右脳を活性化させる」
ようなイメージや、「正式な手順を守らないと脳は活性化しない」という
イメージを与えるのは良くないと考えています。

もちろん、「書いて考えをまとめる」こと自体は良いことなので、マインド
マップを否定するつもりはありません (私も使っているくらいですし)。
ただ、やや大げさなセールストークが、誤解や気軽に活用できない原因
になっているような気がして、そこがちょっと気になっています。


とにかく、マメに紙とペンを使う。それが大事だと思います。
形式にこだわるのは、「書く」のが習慣になってからで構いません。



今日の記事作成時間は60分でした。
では、また明日!


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Posted by 水口和彦 at 23:55│Comments(0)TrackBack(0)

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