人は「損したくない」と思うと、つい非合理な判断を招いてしまうもの (時間についても)
こんにちは。水口です。
今日は昨日の話の続きです。
■ 「お金の面では得するけど、時間はムダにする」例
昨日は、高速道路のETC割引に関連して、
「料金が安くなるのはいいけれど、そのせいで
渋滞がひどくなってしまうのはどうなの・・・?」
という話でした(↓)
実は、「渋滞が少なければ割増でもいい」 という意見の方が過半数
同様に、「お金の面では得するけど、時間はムダにする」という例は他にも
あります。先月書いた「短い鉛筆を無理して使う」という話もそうです。
(時間の観点による)正しいコスト削減・間違ったコスト削減
「出ていくお金を減らしたい」というのは分かるにしても、1本50円の鉛筆を
ケチって、作業効率を落とすのは合理的ではありません。
そんな非合理な判断をしてしまうのは、「お金をムダにしちゃいけない」ことに
ばかり、とらわれているからです。
それを避けるためには、逆転させて考えてみるのもひとつの手です。
■ 逆転させて考えてみると・・・
こんな例で考えてみましょう。
いつもは800円のランチを出している店が、
キャンペーンで今日だけ400円になる
という状況があったとします。
同じランチが半額ならお得です。しかし、そのために行列ができて、
並んでいる間に30分待たされてしまう
としたら、どうでしょうか? 並びますか?並びませんか?
元々、行列で待つことに対する好き嫌いはあると思いますが、それは置いて
おくとすれば、並ぶか並ばないかの判断には2つの考え方があります。
1つの考え方は、
「今日は400円安く食べられる」
↓
「並ばないのは400円の損」
という発想です。こう考えると並ぼうかなという気持ちが強くなります。
(だれでも「損した」と思うのは嫌なので)
もう1つの考え方は、
「30分並んだら400円分得する」
↓
「30分で400円で稼ぐ」
という発想です。30分で400円なら、時給に換算すれば800円相当です。
時給としていいとは言えませんよね。
たとえば、これが「30分行列で待つアルバイト(400円もらえる)」だったとして、
やろうと思うでしょうか? あまりやる気にならないのではないでしょうか。
この2つは、「30分で400円」という点では同じです。
しかし、「30分で400円稼ぐ」と思うと、あまりやる気にならないのに、
「400円損したくない」と思うと30分待てる。人にはそんな面があります。
これは、行動経済学で「損失回避性」と呼ばれる概念と似ています。
損失回避性というのは、人は同じ金額でも利益よりも損失の方を強く意識し、
損失を回避しようという傾向が強いということを指しています。
(400円得するうれしさよりも、400円損する悔しさの方がずっと大きい)
■ 「損したくない」と思うと、つい非合理な判断を招いてしまう
人は「損したくない」と思うと、つい非合理な判断を招いてしまうものです。
先の「短い鉛筆」の話のように、会社のなかでも同様に非合理的な判断が
なされてしまうことがあります。
それを避けるためには逆転させて考えること、つまり、その金額を稼ぐために
その作業をやるか(その時間をかけるか)という発想で考えることが有効です。
たとえば、会社の業績が悪いからといって、社員に(会社の外に行って)、
時給1000円のアルバイトをしてこいと言う会社はありません。会社は社員
にそれ以上の時給を払っていますから、割に合わないわけです。
しかし、「経費削減」のために、「500円節約するために1時間かける」ことを
奨励する会社は存在します。時給500円相当なら、本当は上のアルバイトの
例よりも、さらに割に合わないのですが・・・。
これも「損したくない」「お金を無駄にしたくない」ことばかり気にして、判断を
誤った例といえます(「短い鉛筆」の例がまさにそうです)。
そんな変な判断をしないためには、
人は 「損したくない」と思うと、つい非合理な判断を招いてしまうもの
ということは、頭に入れておいた方が良いかもしれませんね。
判断を誤らないためには、時給換算して考えるクセが有効です。
「時給」というと基本は「稼ぐ」行為のものですが、「節約する」行為にも
同様に時給換算をしてみると上記の失敗が避けやすくなると感じます。
今日の記事作成時間は60分でした。
では、また明日!
Posted by 水口和彦 at 23:55│Comments(0)│TrackBack(0)
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