またやってしまった!? 科学や技術に弱い 「メディア」 の問題点
こんにちは。水口です。
今日は「時間」や「仕事」の話ではありません。
「これはさすがにまずいなあ・・・」と思う報道があったので、
この場を借りて解説させて頂きます。
■ リッター98kmの超低燃費車登場?
テレビで取り上げられていたのですが、GMから1リッターのガソリンで98kmも
走行できるハイブリッドカーが発表されたとのこと。「プリウスの●倍」といった
伝え方をしているニュースもあります。
こう聞くと、「これはすごい!!」と思いますが、よくよく冷静に考えてみると、
これはちょっとあり得ない数値です。
ちなみに、その車は「シボレー ボルト」という車。以前どこかで聞いたことが
あり、確か「シリーズ方式」のハイブリッドカーでした。このタイプのハイブリッド
カーが「リッター98km」走ることはまずあり得ません。
シリーズ方式というのはプリウスともインサイトとも違い、タイヤの駆動はモーター
のみで行い、エンジンはバッテリーの充電のみに用いるシステム。電気自動車に
ガソリンによる発電機を追加したようなものです。
シリーズ方式は、エンジンの燃焼効率が良い(効率良い回転数を狙って回せる)
メリットがある反面、エンジン動力を一旦充電してから動力に使うので、「発電→
モータ駆動」の各段階で(余分な)エネルギー損失があります。
・・・というこの方式で、1リットルで98km走ることはあり得ません。
(エコラン競技車両なら別ですが・・・ もちろんボルトは普通の自動車ボディです)
というわけで、「リッター98km」にはなにかカラクリがあるはず・・・と思って
調べてみたら、その情報はすぐ見つかりました。
(詳しくはこちら↓に解説があります)
GMの新型HV シボレー ボルト、燃費98km/リットルは本物か?
| Response.
上記の98kmという数字は、まず(家で充電した)バッテリーのみで64km走り、
そこからはエンジン併用で18kmを走行。トータル82km走った場合のガソリン
消費量から計算した数字だそうです。(米国の新しい計測基準だそうです)
これなら、大半を電気だけで走っているわけですから、ガソリン消費量が少ない
のは当たり前です。通常私たちが燃費の指標として使っている「リッター○○km」
とは、まったく違う基準です。
※ また、上記の数字から、バッテリー消費後の燃費を計算してみると、リッター
で22km弱になります。これはおそらくプリウスよりもやや低い(悪い)ぐらい
になると思います。
充電済みバッテリーを使わない(ガソリンを使う)という前提なら、ボルトの
「シリーズ方式」は、プリウスの「スプリット方式」よりも効率は劣りますから、
妥当な結果だと言えるでしょう。
■ 「技術に弱い」 メディアの問題
この「シボレー ボルト」の発表は、「GMがプラグインハイブリッドを量産する」と
いう意味ではニュースです(日本ではプラグインタイプはまだですから)。
しかし、これを「GMからリッター98kmのハイブリッドカーが発表された」
と伝えるメディアは問題ありだと思います。
「米国の○○基準で」という注釈をつければまだしも、それ無しで報道すると、
本当に「燃費が何倍も良い車が出たんだ・・・」と思う人もいるはず。
(トヨタや本田の立場で見れば営業妨害・・・というのは考えすぎ?(笑))
この伝え方は、GMの報道向け発表の一部を抜き出して伝えているという
意味で「嘘」とは言えません。しかし、明らかに誤解を招く言い方ですし、本当
に誤解したまま伝えているのかもしれません(そう思えるコメントもありました)。
もうちょっと、詳細を確認してから(裏を取ってから)伝え方を考えてほしいもの
です。
科学や技術的なセンスが(ある程度)あれば、「リッター98km」という数字が
「何だかおかしい」ことは分かります。そこでもう少し確認しておけば、ちゃんと
した伝え方ができたはずなのですが・・・。
実は昨年も似たような報道がありまして・・・
「水だけで走る自動車」という、技術的には「明らかにおかしい」(何かを隠して
いる)自動車について、各社が一斉に報道したことがありました。
(この記事↓で書きました)
「科学」に弱すぎる・・・メディアの問題点
これは、実際は(水だけで)永久に使用できるわけじゃないものなのですが、
(発表者側が)半永久的に使用できると受け取られかねないイメージで
発表したものを、各メディアがそのまま伝えてしまいました。
ちなみにこのとき、発表者側は「水だけで半永久的に走る」とは言っていません
(それを言うと詐欺になると思います)。しかし、「半永久的に走るイメージ」を持た
せるように、うまく発表していました(そういう意味で確信犯的?)。
そのイメージにそのまんま乗っかって報道してしまったわけです。
(そのトリック?の詳細はこちら↓に書きました)
「水から電気を作る」よりも「空気から熱を」作ろう!?
これが昨年の話でした。これも科学のセンスがあれば、すぐに「何かおかしい」と
分かる類の話でした。(「水を入れると水を出しながら走る車」なんて、永久機関
と同じですから実際にはあり得ません)
今回のGMの話は、これほどトリッキーなものではありませんが、単に
「プラグイン式ハイブリッド発売」と言わずに、プラグイン式が得意な走行
パターンでの「数字」を強調するなど、強い印象を与えようとしています。
それを(条件の解説無しに)そのまま報道するのは、私は問題だと思うの
ですが・・・どうなんでしょうね。
今日の記事作成時間は60分でした。
では、また明日!
Posted by 水口和彦 at 23:55│Comments(0)│TrackBack(0)
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