2009年08月26日     このエントリーをはてなにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマーク

仕事の「優先順位」と(その中の)「重要性」の判断基準について


こんにちは。水口です。

今日は時間管理とは切っても切り離せない?
「優先順位」についての話です。


■ ワクチン接種の優先順位

これから猛威をふるいそうで恐ろしいのが、新型インフルエンザ。
こんな記事がありました。

【新型インフル】ワクチンの安全性は?接種の優先順位は?
(1/2ページ) - MSN産経ニュース


 (『』内は引用です)
 
『 新型インフルエンザ対策の柱であるワクチンについて、舛添要一厚労相は
25日、「ワクチンの出荷は10月下旬になる」と発表した。新型インフルはすで
に全国で流行入りしており、流行のピークに間に合うかは微妙な状況だ。接種
の優先順位や輸入の議論も始まったばかり。26、27日に専門家から意見を
聞く会合が予定され、舛添厚労相は週内にも方針を示す意向だが、課題は山
積している。

 ワクチンは現在、国内4社のメーカーが製造しており、12月末までに1300
万〜1700万人分が供給される予定。製造を2月末までに延ばしても3千万
人分が限界で、厚労省が必要とする5300万人分には及ばない。』

                                     (上記サイトより引用)

このため、ワクチンの輸入やそのための特例承認も検討されているという話は
ニュースでお聞きになっている方も多いと思います。

ワクチンの供給量を増やすことももちろん大事ですが、供給できるものを、どう
いう順番で使っていくかという「優先順位」の問題も難しいです。

1300〜1700万人分は、この↓5300万人分にはかなり不足。それをどう
いう順番で供給していくかという問題です。
 
『 さらに、国がワクチンの必要量としてきた5300万人分の内訳を公表した。
ぜんそくなどの持病を持つ人が約1千万人▽妊婦約100万人▽乳幼児600
万人▽小中校生約1400万人▽65歳以上の高齢者約2100万人、医療従
事者約100万人−という。』
            (下記サイトより引用)

(こちらの記事↓からの引用です)
【新型インフル】輸入ワクチンの治験 あすにも専門家ら集め決定 厚労省
- MSN産経ニュース



■ 「優先順位」と「時間管理」

自己啓発的な本などを見ると、「優先順位」はこう書かれていることがあります。

  「緊急だけど、重要じゃないこと」よりも、
  「緊急じゃないけど、重要なこと」を優先しなさい
  (こちらに時間を使いなさい)

なぜかといえば、

  人は、物事の重要性よりも、緊急性(期限が迫っているかどうか)の
  方に気を取られてしまう。

  だから、目の前の(期限が迫った)仕事に追われてしまい、気がつけば、
  長期的に取り組むべき重要なことが全然進んでいない・・・となりがち。

だからです。

「人は、つい目先のことに気を取られてしまう」というのは、まったくその通りで、
時間管理的なことを考える際の、大前提だと私も考えています。

しかし、「緊急じゃないけど、重要なことを優先しなさい」と唱えるだけでは、
一種の「スローガン」にしかならず、根本的な問題はなかなか解決しない。
(もっと具体的に「計画の立て方」を変えていかなければ効果は出ない)
というのが、私の考えです。

私が「優先順位なんていらない」という主旨のことを言うのは、そういう背景が
あるわけです。実際、「優先順位」という言葉をいったん頭から消して、具体的
な「計画の立て方」の問題として考えた方が、仕事はうまく回りますし、結果と
して「重要な」仕事にも取り組めるようになってくるわけです。


■ 優先順位(重要性)の判断基準 その1

その優先順位のなかで、特に「重要性」の判断基準にもいろいろあります。

たとえば、「(企業活動の一部としての)仕事」を考えるときには、

  その仕事から得られる利益

が、重要性の一つの基準になります。

ただし、いくら大きな利益が見込まれる仕事でも、失敗する可能性が高ければ、
優先順位は下げなければいけません。つまり、

  その仕事から得られる利益×その仕事が成功する確率

が、重要性の一つの基準になるわけです。これは、営業職のような利益が直接
目に見える仕事でなくても、同じことです。


■ 優先順位(重要性)の判断基準 その2

ただし、仕事の中には「利益が得られる仕事」以外の仕事もあります。
それは、「損失を防ぐ仕事」です。

たとえば、自動車メーカーが品質上の問題に対して「リコール」を行い、製品の
修理や部品交換を行う仕事。これは基本的に利益を生みません。しかし、損害
賠償などの損害を防ぎ、信用・イメージを落とさないために必要な仕事です。

こういう仕事の場合、

  その仕事を行わないことで発生する損失×損失が発生する確率

が、重要性の指針になります。

これを「ネガティブペイオフ」と呼ぶ人もいます。
古い記事ですが、こちらの本にありました↓
朝9時から11時までは部下の話を聞くのはやめなさい!


たとえば、成長率が非常に高い業界(ベンチャー的な)では、顧客からのクレーム
対応はそっちのけで、売る方にイケイケの営業を行う場合もあります。
(クレーム対応の仕組みがうまくできていないことも原因ですが)

これは、会社がまだ小さいので「信用」を損なうリスクが小さいという理由もあり
ますが、この「ネガティブペイオフ」の仕事を軽く見ているという面もあり、社員教
育の問題でもあります。(ですから、会社が大きくなるとともに是正されていくの
が普通です)


上記の新型インフルエンザ用ワクチンの件は、このネガティブペイオフ型の優先
順位です。どうすれば、いかに損失を抑えられるかという判断が必要になって
きます。

個人的には、(感染拡大を防ぐために)医療従事者や、(被害の深刻さを考え)
妊婦さんには、すぐ接種を始めてもいいんじゃないかと思います・・・。この分野
に詳しいわけではないので、あくまでも個人的な感覚ですが。
(何よりも「早く動くこと」が損失拡大を防ぐため重要なのは間違いありません)


■ 優先順位(重要性)の判断基準 その3

上記に上げた優先順位は、あくまでも「確率」上の話として、合理的な判断を
するという考え方であり、実際の企業活動のなかでは、もう少し複雑になります。

たとえば、(従業員や顧客の)安全上の問題や、品質上の問題については、その
損失の大きさや発生する確率を問わず、最優先で対応すべきだ。という基準を
持っている企業も多いです。

「軽い怪我だから」「(品質的に)致命的な欠陥じゃないから」といって、問題を
軽く見たり、対策を先延ばししたりしていると、いつかもっと大きな問題が起こる。
という意味で、そういう基準(安全や品質は最優先)を持つことは、企業活動を
長く続けていくためには、とても重要なことだと思いますし。個人的にも賛成です。
(逆に、短期的に儲かればいいという会社にはこういう基準がありません)

これは、一種の「ポリシー」的なものですが、これも仕事の優先順位を決める上で
基準となるものですし、その組織に属する以上、それに従うのが基本です。

逆に、これを無視して「自分の手柄になる」仕事ばかり追い求める人が増えると、
組織としてまずい方向に行ってしまいます。




・・・と、優先順位(の中の「重要性」)は、なかなか複雑なものです。
この話は、また機会を見つけて書いてみます。



今日の記事作成時間は64分でした。
では、また明日!


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Posted by 水口和彦 at 23:55│Comments(0)TrackBack(0)

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