2009年09月01日     このエントリーをはてなにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマーク

「反省」や「注意」では、根絶できない「ミス」がある


こんにちは。水口です。

今回の選挙で「なんだかなあ・・・」と思ったのが、以下の2件。
選挙の結果ではなく、仕組みの問題です。

政治の話ではなく、会社の「仕組み作り」に関連した話ですので、
参考になる方もおられるかもしれません。


■ おそまつ?な、今回の選挙でのミス

選挙:衆院選 誤って用紙渡し、11歳女児が投票 有効に
−−大阪 - 毎日jp(毎日新聞)


 (『』内は引用です) 
『 大阪市選管は30日、同市西淀川区の投票所で小学生の女児(11)に誤っ
て投票用紙を交付し、実際に女児が投票するミスがあったと発表した。女児が
投じた票は他の票と区別できず、公職選挙法上、有効になる。

 市選管によると、30日午後2時ごろ、同区佃1の佃小学校に設けられた投
票所で、担当者が女児の父親(47)に比例代表と最高裁裁判官の国民審査
の投票用紙を渡した後、女児にも誤って交付した。女児は記載台に寄った後、
投票箱に用紙を入れた。その直後、担当者が顔見知りの女児だったことに気
づいた。

 女児は身長が約150センチと比較的大柄で、有権者と思い込んで投票用
紙を渡したという。』
                    (上記サイトより引用)


<衆院選>21歳を子供と間違え用紙渡さず 神奈川・平塚
(毎日新聞) - Yahoo!ニュース


 (『』内は引用です) 
『 30日の総選挙で、神奈川県平塚市選挙管理委員会が母親とともに投票
所に来た女性(21)を親に同伴した子供と思いこみ、一部の投票用紙を渡
さないミスがあったことが分かった。女性は怒って帰宅し、市選管は棄権として
処理した。

 同選管によると、ミスがあったのは市立金田公民館の投票所。30日午後6
時ごろ、女性は母親と一緒に投票に訪れ、整理券を提示して小選挙区の投票
を済ませた。続いて比例代表の投票用紙をもらおうと手を差し出したが、担当
職員が未成年と思い、用紙を渡さなかった。女性は小柄で、職員は「子供のよ
うに見えた」と釈明している。

 母親が別の職員に抗議し、職員は帰ろうとしていた女性に「帰ると棄権の扱
いになる」と説明したが、女性は投票しないまま帰ったという。同選管の二宮雅
治事務局長は「国民の最高の権利が行使できずに申し訳ない。謝罪したい。
間違いがないように職員の研修を徹底させたい」と話している。』

                                  (上記サイトより引用)


2つ目の記事には、『間違いがないように職員の研修を徹底させたい』という
コメントがありますが、それじゃ全然ダメです・・・。

断言してもいいですが、これは「気をつけさせる」「注意する」「マニュアル化する」
といった手法では、完全に再発を防止することはできません。

全国で再発防止させないためには、1回の選挙だけで見ても、ミスの発生率を
数千万分の1、つまり0.1ppm以下の発生率にしなければいけません。

私は品質保証の仕事をしていた経験上、「人間は必ずミスするもの」であり、
「ppmオーダーの再発防止には注意だけじゃダメ」であると断言できます。

これは、「反省」や「注意」などではなく、「仕組み」としての改善が必要です。


※ また、今回はこの2件が報道されていますが、この種の「ヒヤリ・ハット」は、
   表に出ないだけで、全国で数百件起っていると考えるべきだと思います。

  ↓この回で書いた「ハインリッヒの法則」です。
  「ダブルチェック」の有効性と問題点(「ヒヤリ・ハット」について)


■ このミスの「仕組み」上の問題

上記のミスがなぜ起ったか? その理由は投票所の仕組みにあります。

今回、私が投票したときは、こうでした。

  ハガキを渡して、投票券(みたいな確か緑色の紙)と交換してもらう
     ↓
  小選挙区の投票場所で、その投票券を投票用紙と交換してもらう
     ↓
  記入して投票
     ↓
  投票後に、次の投票用紙をもらう(比例代表と最高裁裁判官の2枚)
     ↓
  記入して投票

この仕組み、「ちょっと変だなあ・・・」と思った方もおられるかもしれません。
私も、「ちょっとどうかな・・・?」と思っていました。

というのは、最初の小選挙区の分は投票券(緑の紙)と交換することになって
いますが、後の2つは小選挙区の投票後に(一方的に)もらう仕組みになって
います。ここがちょっと危ういのです。
(実際、上記の記事は両方ともこの部分でのミスです)


最初の分は「紙を交換する」動作ですから、ミスは起りにくいです。しかし、後
の分は「紙をもらう」(係の人から見れば「紙を渡す」)だけの作業です。

これをもれなく、ダブりなく確実に行うためには、(最初の)投票用紙を投入
したことが確認できた人だけに、(後の)投票用紙を渡さなければいけません。
つまり、その係の人は、投票箱をしっかり見ておかなければいけません。これ
を徹底するのは、なかなか大変です。

「それくらい、ちゃんと見てろよ」というご意見もあるかもしれませんし、それも
もっともなところはありますが、人間には必ず気の緩みもあるもの。特に、この
ような他人が(勝手なタイミングで)投票するのを注視しなければいけないと
なると、ppmオーダーのミスを起こすなというのは基本的に無理です。


■ 上記ミスの「仕組み」としての対策

このミスを防止するには、仕組みの解決をするのが手っ取り早いのですが、
その方法は3つ考えられます。

  その1: (最初の)小選挙区の記入済み投票用紙と、(後の)2枚の
        を投票用紙を手渡しで交換する

  その2: 最初の投票券との引き替え時に、投票用紙を3枚とも渡す

  その3: 投票しない人(付き添い)の投票場所への立ち入りは禁止
        とする (乳幼児は別として)


「その1」はおそらく法的に問題あると思いますので却下するとして、「その2」
または「その3」を実行しないと、同種のミスを根絶することは不可能です。
(※ もしかしたら、他にも有効な対策があるかもしれませんが)

「その2」(3枚とも先渡し方式)も、投票箱を間違える人が出そうなので却下
するとしたら、「その3」が本命です。

投票場所に、お子さん(などの付き添い)の立ち入りを禁止することは、実現
可能でしょう。ある程度大きいお子さんなら、一旦別れて、出口でまた落ち合
えばいいわけですし。

※ そもそも、投票しない(投票できない)人が投票場所に立ち入ること自体、
   元々おかしいという見方もできます。


■ 「反省」や「注意」では、ミスが根絶できないこともある

なんでこんな話をしたかというと、会社でも同種のことがあるからです。

  ミスを根絶するためには、「仕組み」レベルでの改善が必要なのに・・・
  「担当者に注意」しただけで、対策したと思ってしまう。

こういう例はいくらでもあります。(特にデスクワークでは多いです)

しかしこれでは、また同じミスが起る可能性が高いです。一度ミスして懲りた
人も、数ヶ月、数年経てばまたやってしまうかもしれませんし、違う人ならなお
さらです(事前に注意しておいたとしても)。

上司としては、「部下に注意した」ことで責任を果たしたと思いたいところで
すが、それは(本来は)勘違いなのです。特に、「絶対再発させられない」ミス
の場合、これは肝に銘じておくべきことです。


「仕組み」レベルの再発防止は、頭も使うし手間もかかるものです。しかし、
これができると作業者の負担が減り、効率が上がるというメリットもあります。

「これは絶対に再発させてはいけない」というミスは、「仕組み」レベルでの
解決策を考えて実行する・・・これが王道だと思います。



今日の記事作成時間は49分でした。
では、また明日!


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Posted by 水口和彦 at 19:40│Comments(9)TrackBack(0)

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この記事へのコメント
 最初に、私の今回の投票所の場合を記憶の限り。
 私は期日前投票をしに行った為、まず「宣誓書」(A4サイズ)なる物を書けと言われました。これは、要約すると「投票日はこれこれの理由で行かれませんので今日来ました。これは本当です。」と云うモノでした。
 名前と住所とこれこれの理由とを書き込んで、郵便で来た「入場券」と一緒に受付に渡すと、この「宣誓書」に「有権者として身元を確認した(と推測される内容)」の書き込みがされ、「入場券」の代わりに「投票券(小選挙区の候補者名を書くヤツ)」(バイブルサイズシステム手帳のリフィルくらいの大きさで、ちょっとピンク色)と一緒に渡される。
 小選挙区の投票が済むと次の受付に「宣誓書」を渡す。一応型どおりに内容を確認して、代わりに「投票券(比例代表の党名を書くヤツ)」(バイブルサイズ中略青)と「?(嫌いな裁判官の名前に×付けるヤツ。コレで辞めさせられた裁判官を私は知らない)」(バイブルサイズ中略白)を渡される。
 立会人は、三人のご年配の男性方が小声で和やかに談笑しておられましたが、投票する時いちいち眼が合ったので一応必要な仕事はしているようでした。

 さて、【その3】では
・未だ投票してない人
・今、投票を済ませた人
・その上で、(もう一枚くれないかな)とウロウロしている人
の区別がつかないので、未だ根絶には至らないのではないかと考えます。

 まあ、「不正があった!数えなおせ!」とか言い出す人が居ない、平和な選挙でしたね。
Posted by gato at 2009年09月02日 01:51
水口です。
gatoさん、ありがとうございます。

確かに日本の選挙は平和ですね(笑)

さて、上記の話ですが、私が当日投票に行った投票所(体育館)では、
投票所の中に簡単な低い仕切りがされていまして、

・最初のブロック(仕切られた中)で、最初の(小選挙区の投票)をする

・次のブロック(比例と最高裁)への通り道に
 投票箱があり、次の投票用紙を渡す人がいる
 (通り道は一方通行)

となっています。あまり昔の投票のことは覚えていませんが、
私が経験した範囲では他の地域でも同様だったように思います。


この形だと、最初の仕切りから次の仕切りに移る通路で2番目の用紙を渡しますので、
投票してない人等がウロウロすることはありません。
(上記ニュースのように、付き添いの人は入れているようですが・・・)

ですから(当日の投票は)上記「その3」でうまくいきますよ。



・・・と書いてて思ったのですが、

投票所(の投票場所)には、わざわざ仕切りを設けているように、
元々、その仕切りの中には投票する人しか入らないのが前提に
なっているのだと思います。
(もしかしたら実際にそう運営している選管もあるのかも?)

そこに付き添いの人を入れてしまうことが間違いの元なんですね。


もしかすると「その3」は、新しい「仕組み」というわけではなく、
元々の投票所の仕組みを考えた人が、頭の中で考えていたこと。
それがルールとして決まっていないために(←多分)、
係の人が、付き添いもつい入れてしまう・・・
ということかもしれません。


結局、「ルールが必要なところはルール化すべき」という
ごく当たり前の話だったのかも・・・?
Posted by 水口和彦 at 2009年09月02日 06:17
私の投票所では、小選挙区の投票用紙と一緒にプラスチックの番号札を配っていました。小選挙区投票後にその番号札と比例区・最高裁の投票用紙を引き換えていました。
番号札でなくても、何かと引き換えに次の用紙を渡すようにするだけで解消しています。

以下はその投票所の手順です。
・ハガキを出す。連番が押され戻される。
・ハガキを出す。選挙名簿と突合せされ、赤鉛筆でチェックされ戻される。
・ハガキを出す。小選挙区投票用紙とプラスチックの番号札を渡される。番号札は次の担当に渡すように言われる。
・小選挙区を投票し、次の担当に番号札を出す。比例区と最高裁の投票用紙を渡される。
・比例区と最高裁の投票用紙は色が異なり、投票箱に用紙と同じ色が明示されている。
Posted by 通りすがり at 2009年09月02日 11:59
水口です。
通りすがりさん、ありがとうございます。

この番号札方式も、同種のミス防止に有効ですね。

他にも、小選挙区の投票用紙は投票券を「見せて」もらい →
比例・最高裁のところでは投票権と「引き替える」という
方式を取っているところがあるというご指摘もありました。

これらはいずれもミス防止の対策として有効・・・ つまり、
有効な対策は既にいくつかあるが、それを導入している選管もあれば、
していない選管もある・・・。ここが問題なんですね。

せっかくの知恵ですから、どこかで共有化すればいいんですけどね。
Posted by 水口和彦 at 2009年09月02日 22:18
「その3」は公職選挙法第58条だと思うのですが…
Posted by けんさく at 2009年09月03日 20:19
水口です。

けんさくさん、確かにそうですね。
ありがとうございます。

つまり、上記の記事にあるミスは、

(条文の一部です↓)
「投票所に入ることについてやむを得ない事情がある者として
 投票管理者が認めたものについては、この限りでない。」

という部分を拡大解釈してしまった結果と考えることもできますね。

法の本来の主旨に沿えば「その3」で運用すべきなのに、
それが徹底されていない(地域もある)のが問題。
ということでしょうか。

こういった、選挙の実際の運用方法などは共有化するなり、
何らかの指針を定めるなりすべきですね。本来なら。

Posted by 水口和彦 at 2009年09月04日 21:18
折角 初めての選挙にきた 21歳の女性が 比例の投票用紙を受け取ろうと 手まで出していたのに 渡そうとしない 職員の態度に むかつくし 許せない。
もし その女性が 2度と 選挙に行かなくなったら その職員の責任は 大きすぎる。
「 お母さんについてきた高校生と 思った」と 言い訳してるけど 普通 小学校の低学年の女の子ならともかく 高校生の女の子が お母さんの後をついて 選挙会場の中まで くっついてきますか?
高校生の女の子は お母さんと 外出のついでに お母さんが選挙に行くとしたら その間 会場の外で待っているのが 普通でしょう?
本当に ひどすぎる 職員ですね。
Posted by 日本共産党めっちゃ大嫌い男 at 2009年09月07日 02:27
この選挙のお話、
こういうことが起こってしまう選挙事務の流れ
(投票までのプロセス)が問題ですよね。

私の選挙区では確か、

はがきを持参
はがきのチェックを受けて
投票券を受け取る
  ↓
小選挙区の投票場所へ移動して
投票券を提示し、小選挙区の投票用紙を受け取る、
係員は投票券の小選挙区の欄にチェックを記入し、
投票用紙と一緒に投票券を投票者に戻す
  ↓
小選挙区の投票
  ↓
比例代表及び最高裁裁判官の信任投票の場所へ移動し投票券を提示、
チェックを受けて投票用紙を受け取る
このとき、投票券を回収される
  ↓
比例代表及び最高裁判官の信任投票
  ↓
投票所を退室

という流れだったと思います。
(記憶ですいませんが、、、、)

これだと今回のような問題は起きないような
気がしていて不思議だったんですが、
投票の流れが違ったんですね。
Posted by makoto at 2009年09月13日 04:19
水口です。
コメントありがとうございます。

・・・めっちゃ大嫌い男さんがおっしゃるように、職員の対応にも問題が
あるようにも思います。なぜ渡さなかったのか疑問が残ります。

makotoさんのところは、考慮されたやり方を取っているんですね。
本来そうあるべきだと思います。

この問題は、全国で見れば何度も起っているはずで、
それに対策をしていないことが問題・・・。

「縦割り」的で情報共有されていないという問題があるのではないか?
そんな気がしますね。
Posted by 水口和彦 at 2009年09月14日 06:20
 

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