2009年09月13日     このエントリーをはてなにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマーク

「方針が定まらない」 「ころころ変わる」ことって、多くないですか?


こんにちは。水口です。
今日は、「組織」のあり方についての話です。


■ 「方針が定まらない」 : 日本企業の問題点

日経BP社のサイトに、こういう記事↓がありました。
(「日経情報ストラテジー」の記事です)

第28回 日本企業を見限ったインドの“システム屋”から学んだこと
- ダメな“システム屋”にだまされるな:ITpro



著者がインド人のシステム開発会社の経営者と話をしていた中で
聞いた話として・・・    (『』内は引用です)
 
『彼が日本向けの仕事を「やりたくない」というのは、英語が通じるかどうかが
理由ではありません。彼の言い分はこうです。

「日本人はシステムやソフトウエアの設計・開発には向いていない。なぜなら、
要件を決められないからだ。システムで何をする、どう実現するということを、
選択肢を示して選んでもらおうとしても決めることができない。どの案にも
一長一短があり、どれも捨てがたいといって、結局、要件が定まらない」

と言うのです。

 さらに彼はこう付け加えました。

「ようやく要件が決まったかと思ったら、今度は『私が責任者だ』という人が
次々に出て来て、決まったはずの結論を覆していく。こんな人たちに情報シ
ステムを作ることはできないし、我々も仕事にならない」 と。 』


                     (上記サイトより引用。改行のみ追加)

※ IT系以外の方は、「要件」という言葉にあまり馴染みがないかもしれ
   ません。「要件」というのは、他の業界で言う「仕様」に近いものです。
   そのシステムで何ができるか(逆に言えば何ができないか)を規定した
   ものだと考えてください。

   これが変わってしまうと開発に必要な工数も変わりますから、厳密には
   見積りや納期も確定できません。つまり、この『要件』は開発の初期の
   段階でおおむね決まってくれないと困るものなのです。


これ、ありがちな話ですよね。システム開発で「要件が決まらない」「要件が
変わる」という話はよくあります。

しかし、これはシステム開発だけでなく、それ以外の意思決定の場でもよく
あることのように思えます。


■ 「何を捨てて、何を取るか」という選択

上記の記事では(2ページ目で)、日本人は「カイゼン」などの「みんなで知恵
を出し合う」ことは得意だから、それを取り入れられないだろうか・・・という
主旨でまとめられています。

でも、これはちょっと無理っぽい・・・私は読んですぐそう思いました。
(また、この著者自身も本当にそれができるのか、疑問に思っている感じです)


私は製造業にいた経験のなかで、「カイゼン」の底力は感じています。
「カイゼン」的な活動は基本的に有効だと考えますし、個人的にも好きです。
それでも、この問題にはうまく適用できないだろうなと直感しました。

なぜそう思ったのか、よく考えてみると、こういうこと↓でした。


いわゆる「カイゼン」は、今よりも良くするための知恵を出し合うことであり、
小さな「プラス」を積み重ねていく活動です。

一方、先の「要件」を決める話は、「○○を捨てて、△△を取る」という選択。
どの「マイナス」を取り、どの「プラス」を取るかという意思決定です。


後者のような意思決定は、「カイゼン」的なやり方では決断できないだろうと
思います。(実際、「カイゼン」のなかで大きなマイナスをあえて取ることは、
めったにないことです)


また、日本の企業の中では、(会議などの場でも)後者の意思決定は、なか
なか決まらないことが多いと感じます。

たとえば会議の場で、担当者が「○○を捨てて、△△を取る」ことが必要だ
とたっぷり説明しても、いざ、「○○を捨てる」という選択をするとなると、
どうも腰がひけてしまう・・・。

しまいには「なんとか、○○を捨てずにやれんのか?」と言い出す上司が
出てきて、話は振り出しに戻る・・・。なんてのもよくある話・・・。

日本人は基本的に「リスクを取る」のが苦手で、それが悪い方向に出て
しまっているのが、この問題だという気がします。
(他に組織や人事上のことなど、色々からみあってますが)



逆に、こういう場では、ワンマン経営者の方が早く意思決定ができて良い
場合があります。スズキの鈴木修さんが言うところの

  「トップダウン・イズ・コストダウン」

というやつです。この話では、むしろGM側が「会議・会議・・・」で意思決定
が進まず、日本のスズキの意思決定が早かったという例です。

(そのエピソードはこちら↓で紹介しています)
『俺は、中小企業のおやじ』 おすすめ本:経営者の方はぜひご一読を!


また、『デッドライン仕事術』の吉越浩一郎さんも、意思決定に関しては
「ワンマン」の「即断即決」スタイルですね。

・・・と、もしかしたら日本人には「ワンマン経営」の方が向いているのでは?
という気もしてきます。もちろん、わがままなだけの「ダメなワンマン経営」は
最悪なので、「良いワンマン経営」ならば、という条件つきですが。
(「良いワンマン経営」の定義ってどうだろう・・・?)



話を戻して・・・、「ワンマン経営」までいくと極端ですが、少なくとも
「意思決定の」場においては、

 「衆知を結集する」「熟慮に熟慮を重ねる」ことにはこだわり過ぎない。

 「責任(と権限)を明確にする」ことにこだわる。

 (最終的に誰が決定権を持つかを明確にする)

ということは大事です。

あと、「口だけ出す人は排除する」というのも重要ですね。
(もしかしたらこれが最重要かも? (笑))


つまり、意思決定が迷走しないようにするには、会議のメンバー選び等
の準備段階からぬかりなく考えておくべき・・・ということですかね。
これって、ついうっかりしがちなことかもしれません。ご注意を。




今日の記事作成時間は55分でした。

では、また明日!


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Posted by 水口和彦 at 23:55│Comments(4)TrackBack(0)

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この記事へのコメント
このインドの方が言う事が、大きなヒントだと思います。

インドの方や、世界的に見た日本人のやりにくい所に、日本人自ら気付いているか。
が、問題とも感じました。

日本人同士で、通用する・いつも通りの方法が、
外国人との仕事でも同じようにしてしまう。
それが、外国人からするとやりにくい。
その事で、日本人は意思決定が遅い、決まらない、リスクをとるのが嫌だ。
と思われる結果となっているのですかね。

この記事のインド人と一緒に仕事をした日本人達、この記事を読んだ後に、どのような行動をとるのか、興味があります。
Posted by trillion at 2009年09月14日 20:33
水口です。
trillionさん、ありがとうございます。

そうなんですよね。
「日本の常識が世界の非常識」みたいな感じでしょうか。
そういう「常識」はまだまだ多く残っていると思います。

この件で言えば、おそらく日本側でも、実務を担当している人たちは、
「困ったなあ・・・」「またかよ・・・」と思っているのでは
ないでしょうか。

個人個人は気づいているけれど・・・組織になるとうまくいかない。
そんなことって、多い気がします。


私はこれと関連して、
「成果を得たことの評価よりも、失敗しないことをより重視する」
「失敗した場合に個人の責任にされたくないので大勢で意思決定する」
という体質ってあるなあ。と感じています。

これも非生産的ですよね・・・
Posted by 水口和彦 at 2009年09月15日 21:45
こんばんは。makotoです。

日本人は戦術は得意だけど、戦略をつくるのは苦手。
といわれる所以でしょうか。

というと、太平洋戦争を連想してしまうのは歳のせい??

確かに、日本の組織・人はリスクに対する責任を回避するために
時間をかけて熟慮・熟考する傾向が強いと感じています。
Posted by makoto at 2009年09月26日 00:11
水口です。
makotoさん、ありがとうございます。

「太平洋戦争を連想してしまう」というのは私もあります。
(というか、この記事書きながら連想してました・・・(笑))


この局面で、千人増員すれば勝てる。
でなければ、撤退した方が損害は少ない。
そんな状況で「間を取って500人」にして、
大損害を出してしまった・・・。

なんて話を聞いたことがあります。
(どこまで本当かよく分かりませんが)


「和を以て貴しと為す」というのなら良いことだと思いますが、
それが、変に「面子を立てる」こととつながると、
困ったことになる場合がありますね。

これも聞いた話ですが、ゴーンさんが来る前の日産では、
開発責任者の面子を立てようとしたために、車種整理が
進まず、不振を招く原因の一つになったという話を
聞いたことがあります。これも似てますね。

Posted by 水口和彦 at 2009年10月01日 19:24
 

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