2009年11月05日     このエントリーをはてなにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマーク

基本給での「成果主義」見直し進む?


こんにちは。水口です。
今日は「成果主義」についての話です。


■ 基本給での「成果主義」見直し進む?

こんな記事↓がありました。

<賃金>成果主義の見直しが進む 厚労省賃金調査
(毎日新聞) - Yahoo!ニュース


『』内は引用です)
 
『 厚生労働省は5日、09年の就労条件総合調査の結果を公表した。賃金
調査では、基本給の決定要素に「業績・成果」を挙げる企業が大きく低下、
成果主義の見直しが進んでいる実態が浮かんだ。

 調査は、従業員30人以上の企業6147社に実施し、4321社から回答
を得た。

 賃金制度で基本給の決定要素の調査(複数回答)では、
「職種、職務」がトップで77.1%(管理職)と71.8%(管理職以外)。
次いで「職務遂行能力」、「学歴、年齢、勤続年数」、「業績・成果」の順だった。

 「業績・成果」は、管理職で前回調査(01年)の64.2%から17.3ポイン
ト下がり46.9%となった。
管理職以外でも15.7ポイント低下して46.6%となり、いずれも98年の
調査結果も下回っており、成果主義の見直しが進んだと見られる。』


                         (上記サイトより引用:改行のみ追加)

とあります。


■ 基本給には何が反映されている?

これだけだとちょっと分かりにくいので、元データから拾ってみます。

基本給に「業績・成果」の要素を反映させている企業の比率はこう。

     管理職               管理職以外
――――――――――――――――――――――――――
 H10年  55.1%       H10年  55.3%
 H13年  64.2%       H13年  62.3%
 H21年  46.9%       H21年  46.6%
――――――――――――――――――――――――――

一時は「業績・成果」の要素が高まったものの、今年は大きく下がってます。
(これが上記記事の「成果主義の見直し」という部分です)


では、年功給に戻したのか? というと、そうでもありません。
「学歴、年齢・勤続年数など」の要素を反映させる企業の比率がこれ。

     管理職               管理職以外
――――――――――――――――――――――――――
 H10年  72.6%       H10年  78.5%
 H13年  73.9%       H13年  80.6%
 H21年  55.9%       H21年  65.4%
――――――――――――――――――――――――――

年功給も見直されつつある。ということです。

低成長下では、「年功給」は会社にとって負担になりがち。これの
見直しの方は進んでいるわけですね。



最も重視されているのは、上記記事にもあるように
「職務・職種など仕事の内容」です。いわゆる「職務給」です。

     管理職               管理職以外
――――――――――――――――――――――――――
 H10年  70.1%       H10年  68.8%
 H13年  72.8%       H13年  70.6%
 H21年  77.9%       H21年  72.7%
――――――――――――――――――――――――――


「職務遂行能力」(いわゆる「職能給」)は一時上がりましたが、
元に戻ってます。

     管理職               管理職以外
――――――――――――――――――――――――――
 H10年  69.6%       H10年  69.2%
 H13年  79.7%       H13年  77.3%
 H21年  69.9%       H21年  69.3%
――――――――――――――――――――――――――


―解説――――――――――――――――――――――――――――

「職務給」と「職能給」の違いは分かりにくいかもしれません。

簡単に言うと、

・「職務給」は、実際に「課長」や「部長」の役職に対して賃金を決めること

・「職能給」は、役職についていてもいなくても、(社内の能力評価上)同等
 とされていれば、同等の賃金が支払われる方式です。

 ※ 実際に部長の仕事はしていなくても、「部長級」となった人には
    そのランクの賃金が支払われるわけです
―――――――――――――――――――――――――――――――


会社側から見れば、人件費を削減しやすいのは「職務給」の方です。
だから「職能給」から「職務給」に移り変わるのは当然と言えば当然。

ただ、会社側の論理だけというわけでもなく・・・

実際、(社内的に能力は同じとされていても)、重責を負っている人と
負わない人の賃金が同じというのは、働く側から見て違和感あります。

ですから、「職務給」の方が、実態に即している感じはあります。
(個人的意見として)



というわけで・・・この変化をまとめると、

「成果主義の見直しが進む」という言い方は正しいと思います。

※ 成果主義はそもそも、評価自体が難しいという問題があり、
   いくつか解決策はあるが、解決しきれてないのが現状でしょう。


ただ、「年功給」や「職能給」といった 「(悪く言えば)上に上がれば働きが
悪くても高給がもらえる制度」は減っていっていることが分かります。


そういう意味では、

・ 「(使いこなしにくい)成果主義」という仕組みを手放す企業は増えた

・ ただし、「働きに応じた賃金体系」への変化は続いている

ということになりますね。


私はこの動きは基本的に賛成で、企業にも働く人にも基本的にメリットが
多いと考えます。



(ちなみに詳細データ(元データ)はこちら↓にあります)
厚生労働省:平成21年就労条件総合調査結果の概況




今日の記事作成時間は38分でした。
では、また明日!


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Posted by 水口和彦 at 23:55│Comments(0)TrackBack(0)

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