基本給での「成果主義」見直し進む?
こんにちは。水口です。
今日は「成果主義」についての話です。
■ 基本給での「成果主義」見直し進む?
こんな記事↓がありました。
<賃金>成果主義の見直しが進む 厚労省賃金調査
(毎日新聞) - Yahoo!ニュース
(『』内は引用です)
『 厚生労働省は5日、09年の就労条件総合調査の結果を公表した。賃金
調査では、基本給の決定要素に「業績・成果」を挙げる企業が大きく低下、
成果主義の見直しが進んでいる実態が浮かんだ。
調査は、従業員30人以上の企業6147社に実施し、4321社から回答
を得た。
賃金制度で基本給の決定要素の調査(複数回答)では、
「職種、職務」がトップで77.1%(管理職)と71.8%(管理職以外)。
次いで「職務遂行能力」、「学歴、年齢、勤続年数」、「業績・成果」の順だった。
「業績・成果」は、管理職で前回調査(01年)の64.2%から17.3ポイン
ト下がり46.9%となった。
管理職以外でも15.7ポイント低下して46.6%となり、いずれも98年の
調査結果も下回っており、成果主義の見直しが進んだと見られる。』
(上記サイトより引用:改行のみ追加)
とあります。
■ 基本給には何が反映されている?
これだけだとちょっと分かりにくいので、元データから拾ってみます。
基本給に「業績・成果」の要素を反映させている企業の比率はこう。
管理職 管理職以外
――――――――――――――――――――――――――
H10年 55.1% H10年 55.3%
H13年 64.2% H13年 62.3%
H21年 46.9% H21年 46.6%
――――――――――――――――――――――――――
一時は「業績・成果」の要素が高まったものの、今年は大きく下がってます。
(これが上記記事の「成果主義の見直し」という部分です)
では、年功給に戻したのか? というと、そうでもありません。
「学歴、年齢・勤続年数など」の要素を反映させる企業の比率がこれ。
管理職 管理職以外
――――――――――――――――――――――――――
H10年 72.6% H10年 78.5%
H13年 73.9% H13年 80.6%
H21年 55.9% H21年 65.4%
――――――――――――――――――――――――――
年功給も見直されつつある。ということです。
低成長下では、「年功給」は会社にとって負担になりがち。これの
見直しの方は進んでいるわけですね。
最も重視されているのは、上記記事にもあるように
「職務・職種など仕事の内容」です。いわゆる「職務給」です。
管理職 管理職以外
――――――――――――――――――――――――――
H10年 70.1% H10年 68.8%
H13年 72.8% H13年 70.6%
H21年 77.9% H21年 72.7%
――――――――――――――――――――――――――
「職務遂行能力」(いわゆる「職能給」)は一時上がりましたが、
元に戻ってます。
管理職 管理職以外
――――――――――――――――――――――――――
H10年 69.6% H10年 69.2%
H13年 79.7% H13年 77.3%
H21年 69.9% H21年 69.3%
――――――――――――――――――――――――――
―解説――――――――――――――――――――――――――――
「職務給」と「職能給」の違いは分かりにくいかもしれません。
簡単に言うと、
・「職務給」は、実際に「課長」や「部長」の役職に対して賃金を決めること
・「職能給」は、役職についていてもいなくても、(社内の能力評価上)同等
とされていれば、同等の賃金が支払われる方式です。
※ 実際に部長の仕事はしていなくても、「部長級」となった人には
そのランクの賃金が支払われるわけです
―――――――――――――――――――――――――――――――
会社側から見れば、人件費を削減しやすいのは「職務給」の方です。
だから「職能給」から「職務給」に移り変わるのは当然と言えば当然。
ただ、会社側の論理だけというわけでもなく・・・
実際、(社内的に能力は同じとされていても)、重責を負っている人と
負わない人の賃金が同じというのは、働く側から見て違和感あります。
ですから、「職務給」の方が、実態に即している感じはあります。
(個人的意見として)
というわけで・・・この変化をまとめると、
「成果主義の見直しが進む」という言い方は正しいと思います。
※ 成果主義はそもそも、評価自体が難しいという問題があり、
いくつか解決策はあるが、解決しきれてないのが現状でしょう。
ただ、「年功給」や「職能給」といった 「(悪く言えば)上に上がれば働きが
悪くても高給がもらえる制度」は減っていっていることが分かります。
そういう意味では、
・ 「(使いこなしにくい)成果主義」という仕組みを手放す企業は増えた
・ ただし、「働きに応じた賃金体系」への変化は続いている
ということになりますね。
私はこの動きは基本的に賛成で、企業にも働く人にも基本的にメリットが
多いと考えます。
(ちなみに詳細データ(元データ)はこちら↓にあります)
厚生労働省:平成21年就労条件総合調査結果の概況
今日の記事作成時間は38分でした。
では、また明日!
Posted by 水口和彦 at 23:55│Comments(0)│TrackBack(0)
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