2010年05月24日     このエントリーをはてなにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマーク

『約9割のビジネス書は、ゴーストライターが書いている』記事は「釣り」か?


こんにちは。水口です。

↓ このネタで引っ張るつもりはなかったのですが・・・
  書き忘れていたことがあったので、もう少し。
『約9割のビジネス書は、ゴーストライターが書いている』 という都市伝説

↑この記事は、↓こちらの記事に対しての反論です。

Business Media 誠:吉田典史の時事日想:
約9割のビジネス書は、ゴーストライターが書いている (1/3)




■ 「9割のビジネス書はゴーストライターが書いている」が都市伝説である理由

ビジネス書の中には、実際にはライターさんが書いているものがある。
ここまでは事実です。私も聞いたことありますし。
しかし、それが9割というと、明らかに嘘。

著名人の本ばかり出している出版社なら、話は別かもしれませんが、
ビジネス書全体で見れば、9割なんてあり得ません。

これは、費用を計算しても簡単にわかることです。

――――――――――――――――――――――――――――――
たとえば、本文180ページのビジネス書で、比較的一般的な
40字×15行 のレイアウトだったとしましょう。

そうなると、原稿の量は 180ページ×600字。
400字(原稿用紙)換算で270枚。

一般的な原稿料の相場とされた(最近は少し下がっているとも聞きます)
400字あたり5000円で換算すれば、1冊まるまるで135万円。

400字あたり3000円と安めに見積もっても、81万円です。

――――――――――――――――――――――――――――――

著者に対する印税以外に、このライターへの外注費用がかかるとすると、
初版6千部くらいのビジネス書なんて出せません。

※ 仮に1300円の本で印税8%、初版6000部とすれば、初版の
   著者印税は624,000円。それよりも上記外注費が高いくらいです。


たとえば、少なくとも2万部は売れるであろう著名人の本なら、ライターを
べったりつけて、全文書かせても割に合うでしょう。そういう例は、実際に
もあると思います。しかし、それは全体から見れば少数です。

ビジネス書は、いろんな出版社が乱立しているジャンルで、小さな出版社も
多いです。「著名人を使って、宣伝費かけて、ドーンと売る」的なやり方が
できない出版社の方が、圧倒的に多いのです。

実際、多くのビジネス書は初版数千部レベルであり、その初版で終わるもの
も多いのが現状。そういう本をライターを使って書かせていたら、とても割に
合いません。


なかには、最初からライターを用意したわけでなく、原稿を書いてもらったら、
あまりにひどい出来・・・。仕方ないので(ライターでなく)社内の編集者が文章
を直すというケースはあるかもしれません。これなら外注費はかかりませんし。

でも、編集者が毎回そんなことをやっていたら、身が持ちません・・・。
ですから、そういう本はあまりないと思います。


■ 釣られた?

ちなみに、上記の記事はフリーのライターさんが書いたようです。
つまり、業界の人です。

・・・業界の人なら、「よほど売れる本でない限り、ゴーストライターなんて
つけられない」という事情は分かるはず。簡単な計算ですから。

ですから、ある出版社の役員がそう言ったからといって、いくら本人が
ゴーストライター経験があるといっても、ビジネス書全体がそうだと書くの
は軽率すぎます。



  ということは・・・・・・?



この記事は、いわゆる「釣り」だと考えるべきでしょう。
私も釣られてしまったのか・・・ 

実際、この記事は結構反響が大きかったようで、あちこちで引用されて
います (しかも、結構みんな信じてるし・・・)。「釣り」の効果としては、
期待以上だったのではないでしょうか。


(参考: Wikipediaより引用)
―――――――――――――――――――――――――――――――
釣り (※ 電子掲示板などにおける、比喩的な用法としての)

 インターネット掲示板で議論を盛り上げるために他人が憤りそうな話題を
わざと出すのを「釣り」という例もある。逆に、発言自体は釣りではないのに、
「釣り」のレッテルを貼って、その発言を無効化させる用法もある。
―――――――――――――――――――――――――――――――

私は「釣り」のレッテルを貼って、上記記事を無効化する意図はありません。
あまりに実態と違うので、腹が立って言いたくなっただけです。

(※ ここから↓ は私の個人的な事情です・・・)
いや、最近、執筆依頼を抱えすぎているので、ちょっとナーバスになっている
かもしれませんね・・・ (汗)。 そんなに「売れる著者」でもないのに、執筆依頼
はなぜか途切れなくて・・・ 今書いている本が終わってから、年内にあと3冊
書くことになりそうな状況です。

筆は速い方なので、時間を作ってあと3冊書くのは充分可能なのですが・・・
「本を書く」のは、結構プレッシャーのある仕事。煮詰まることもありますし。

で、深層心理としては「ゴーストライターがつけられるなら、つけてほしい・・」
という願望があるのかもしれません。だから余計腹が立ったたのか・・・(笑)

まあ、もし、ライターをつけてくれると言われても、つけないですけどね。
私の場合、口述で本を作る方が、かえって難しいと思いますので。



今日の記事作成時間は45分でした。
では、また明日!


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Posted by 水口和彦 at 23:00│Comments(2)TrackBack(0)

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この記事へのコメント
以前、ゴーストライターの仕事をしていました。

「9割のビジネス書はゴーストライターが書いている」とありますしたが、個人的にはその通りだと思います。

もう少し正確に言いますと、テレビやマスコミ等で頻繁に露出している有名なビジネス系の方々は、ほとんどゴーストライターがその方の著書を書いていると思います。

ビジネス系で有名な方は、テレビやマスコミに出て顔を売るのが一種の営業活動みたいなのです。

そういう方々は、ほとんどがブログやツイッター、フェイスブックなどもやっています。

テレビやマスコミ・メディアなどに出ながら更にブログやツイッター、フェイスブックなどもこなしながら、そんでもって本まで書くとなると、物理的に24時間いくら時間があってもたりませんよ。

人間じゃなくてサイボーグですよ。笑

また、ビジネス系で有名な方が、テレビやマスコミ・メディア等で上手にお話するからと言って、ビジネス系の本を書けるスキルを持っているかと言うと、そうでもありません。

単純に、「有名人の名前とインパクトのある本のタイトル」だと本が売れる。

だから出版社は本(商品)を作る。

商品が売れて金になる。
資本主義経済の流れそのものです。


以上。






Posted by 元ゴーストライター at 2012年02月29日 10:37
水口です。
元ゴーストライターさん、コメント・情報ありがとうございます。

> 単純に、「有名人の名前とインパクトのある本のタイトル」だと本が売れる。

> だから出版社は本(商品)を作る。

というくだりは、書店でいろいろ本を見ていると感じるところはあります。確かに。

ただ、いわゆる「有名経営者」ではない人の本(私の本も含めた)も含めて
「ビジネス書」と見るならば、「9割ゴースト」は明らかに嘘・・・。

私も私の知人の著者も自分で書いてますし、もし頼んだとしても(頼みませんが)、
ゴーストライターなんて用意してもらえる待遇ではありませんので・・・。

ただ、例外的な話としては、依頼した著者の原稿があまりに読みにくい場合、
ライターさんに入ってもらうケースはあるみたいですね。無名の著者でも。

というわけで・・・

・初版で何万部も見込める有名経営者などの本の場合は「ゴースト9割」も本当かも?
 (元ゴーストライターさんはこちらを見てきたわけですね)

・初版が数千部のそう有名でない著者の場合は「ゴースト9割」はあり得ない
 (私なんかはこちらの世界にいるわけです)

というのが実態だと思います。
Posted by 水口和彦 at 2012年02月29日 17:39
 

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