2010年08月13日     このエントリーをはてなにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマーク

企業は「新卒一括採用」をやめるべきなのか?


こんにちは。水口です。

こんな記事がありました。

「新卒一括採用」で大就職難 大学増えすぎ?採用方法悪い? (1/2)
: J-CASTニュース


『』内は引用です)
 
『 就職できない大学新卒者があふれ、その理由を巡って論議になっている。
台風の目になっているのが、日本の新卒一括採用システムだ。これがいいか
悪いかで、見方が分かれているのだ。

論議のきっかけは、読売新聞が2010年8月6日付朝刊トップで、大卒の
2割が就職しなかったと報じたことだった。

記事によると、文科省の学校基本調査で、10年3月に大学を卒業したもの
の、進路未定の新卒者が10万人以上もいた。私立文系男子で特に目立ち、
アルバイトや派遣社員になったのも、その1割ほど。多くが宙に浮いた状態だっ
た。 (中略)

「思うところあり」。このニュースにツイッターで口火を切ったのが、脳科学者の
茂木健一郎さんだ。

茂木さんは、日本の就活について、新卒一括採用は、「経営的に合理性を
欠く愚行だ」と批判した。それは、既存のレール以外のところに優秀な人がおり、
結果として企業が多様な人材をそろえられないからだと述べる。ものづくりより
ネットワークづくりが中心になった時代に合わず、むしろ新卒という縛りを外して
通年で人材採用すべきだと主張している。

 就職しなかった2割の人に、もっと希望を託すべきで、マスコミがこうした事態
を異常とみなさないようにも訴えた。

茂木さんのこのつぶやきには、若者らを中心に賛同する声が相次ぎ、まとめ
サイトもできている。』

                                     (上記記事より引用)

とあります。

就職難に関連して、新卒一括採用の是非について議論されているわけです。

茂木さんの指摘は、新卒一括採用は「合理性を欠く」というもの。新卒じゃなく
ても優秀な人はいるわけで、そういう人を採用しないことは企業の損失になる
という主旨でしょう。

この意見に賛同する人は多いと思います。私もそう思っていました。確かに現状
の姿が良いとは思えません。

しかし、これを解決するために、企業側が歩み寄れ(通年採用しろ)というのも
考えてみれば企業側にとって厳しい話。同意できかねるところもあります。

学生にとって就職活動は大変ですが、企業にとっても採用活動は大変なもの
(実際、人事担当の方からそういう話を聞くこともあります)。「通年採用なんて
無理!」という人事担当者は多いと思います。

そしてもう一つ、企業側にとって負担になるのが入社後の教育です。時期を
決めた一括採用なら、研修もまとめて行えますが、通年採用して、その都度
研修を行うということになれば、やはり企業の負担は増加します。

つまり、企業側から見れば一括採用の方が「経営的な合理性」があるという
見方もできるわけです(おそらく、多くの企業の本音はこちらでしょう)。また、
大企業ほどその傾向は大きいでしょう(大企業は研修に時間をかけるので)。


私は企業の味方をしたいわけではありませんが、企業側がそれなりの理由が
あってやっていることを、「けしからん。通年採用しろ」と言ったって、問題は
解決しないのではないですかね・・・?

また、この後者の問題点(入社後の教育)を考えると、現状のまま通年採用に
踏み切ったとしても、問題が残りそうな気がします。

たとえば・・・、ある企業が通年採用することにしたとして、その応募者のなか
には新卒と転職者が入り混じることになるでしょう。

研修が必要な新卒と比較すれば、それなりのビジネススキルとマナーを身に
つけている(であろう)転職者の方が教育費がかからないメリットがあります。
それなら転職組を採用したくなるのが自然です。

つまり、通年採用したとしても、新卒で就職できなかった就職浪人が不利に
なる(企業から敬遠される)状況は残るわけです・・・。



というわけで、私個人は、「企業が通年採用すれば問題が解決する」という
楽観的な見方はできません。新卒一括採用以外の選択肢が増えた方がいい
とは思いますが、それは企業側だけに押し付けるべき問題ではないでしょう。
企業以外も変わっていくべきですし、特に、大学はもう少しがんばるべきでは
ないかと思います。

ちょっと乱暴な言い方をすれば、そもそも、企業から見れば、新卒で入ってきた
新入社員は、そのままでは「使えない」わけです。「名刺の渡し方」的なマナーを
知らないのはまだしも、普通の電話の受け答えすらできない人もいるわけです。

逆に見れば、ビジネスマナー的な部分を含め、即戦力になり得る人材が採用
できるのであれば、通年採用しても構わない・・・そう考える企業もあるでしょう。

たとえば、「○○○○大学の卒業生なら、即戦力になる」と言われるくらい、
在学中に学生を育てることができれば、その大学の卒業生の就職率は上がる
でしょうし、企業側が通年採用するメリットも出てきます。

たとえば、専門学校のなかには、卒業生の就職率が100パーセントという
学校もあります。卒業生が就職に困らないよう、即戦力として使える人材を
育てるよう努力しているからです。それに比べて大学の方は努力が不足して
いるのではないでしょうか?

もちろん、大学と専門学校の役割は違いますし、大学はアカデミックな場所
であり、実務を教える場じゃないという意見は基本的に正しいでしょう。
しかし、大学が増えた(大学生も増えた)状況のなかで、そんなことも言ってら
れないのではないでしょうか・・? (アカデミックな分野の業績が高く、就職も
有利な有名大学を除けば)。


少し話をまとめると・・・

・現状、学生と社会人の間には、意識の差やマナーの差、スキルの差がある。
 大学が増えたことで、その差は詰まるどころか広がっているかもしれない?
 (もちろん個人として優秀な人はいますが、平均値として見た場合の話です)

・そのギャップを埋めるのは、今は企業側の役割になっている。
 企業としては、通年採用にはデメリットが伴う。

という状況があるわけです。

そこで、一部の大学が即戦力になる人材を送り出すようになれば、その大学の
就職率は上がるし、企業も通年採用するメリットが生まれてくる。・・・ということ
になれば・・・と期待するわけです。企業側にばかり文句を言い続けても、状況は
変わらないでしょうから。

もちろん、「○○○○大学の卒業生は使える」という評判が定着するまでには
時間はかかるでしょうけど、大学としては他大学と差をつけるためにも取り組む
価値があるように思えます。

※ 「即戦力」というと、ちょっとハードルが高すぎるかもしれません。しかし、
   即戦力まではいかなくても、それなりのマナーとスキルが身につけていて、
   ビジネス的な知識もそこそこある人材(=あとはOJTでOKという人材)を
   育てるのなら可能でしょう (企業の集合研修プラスアルファ的な内容で)。


あるいは、大学内で(卒業後に)そういう内容を身につける研修機関を持つと
いう手もあります。新卒で就職できなかった人は、そこでマナーやスキルを身に
つけるわけです。この場合は、大学が(企業の)新入社員研修を肩代わりする
ようなイメージになりますね。

大学がそこまでやらなきゃいけないの? という議論をちょっと置いておけば、
これは教育研修にあまりお金をかけられない中小企業にとってはありがたい話
になるかもしれません。

ただし、企業にアピールするためには研修の内容をオープンにし、その内容自体
が評価されないといけませんが・・・。時間はかかりますが、その機関の修了生の
評判が上がれば、採用しようという企業も出てくるのではないでしょうか。


とはいえ、大学でそんなに実務的、実践的な研修をやれるか? という問題
はあるとは思いますが (←実際のところ、出来ないと思う・・・)。
そういう意味では、ここが新たなビジネスチャンスになるのかもしれません。

このブログをお読みの方のなかには、社員研修を提供する企業にお勤めの
方もおられますが・・・ どうですか? 大学に売り込んでみたら面白いかも
しれませんよ? 




今日の記事作成時間は65分でした。
では、また明日!


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Posted by 水口和彦 at 23:55│Comments(2)TrackBack(1)

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新卒一括採用をやめるために会社がすべきいくつかのこと【blog50-1】at 2010年11月01日 21:27
この記事へのコメント
僕も水口さんの意見に激しく同意です。
各々の企業もそれぞれの基準でいう「優秀な人材」を獲得するために最適と考える方法をとっているはずだし、そこに「経営的に合理性を欠く」と言ったところでさぁと思います。
僕も就職氷河期に就職したクチですが、手帳の書き方すらまともに出来なかったボンクラ新卒だったので、新卒を使うという優しい仕組みがなければ仕事が出来ていたかも怪しいと思っています。
就職氷河期にもちゃんと新卒を取る会社には、新卒を採るメリットがあってやっていることで、それはそれで合理的判断に基づいてるだろうと思います。
若さと明日を信じる力で腰が思いおじさん連中よりも素早く動けることが価値がある仕事(IT系に多いですよね)とか、キャリアがあまり関係ない仕事とか(僕のいる会社は若者向けの消費財を作るところなのでまさにこれでした)という業態と人材戦略はある程度リンクしているものだと思っています。
また、人材の多様性が競争力になるという業態とそうでない業態はありそうじゃない?とも思います。しっかりとやるべきことをやるべきタイミングでやれる人材が重要な業態もあるよなと。
この議論、学生諸君を救うようでいて実はそうはなっておらず、一部のキラ星のような企業を念頭に置いてイメージしているから、あまたある新卒を受け入れてきた普通に頑張っている会社がみえていないんじゃないかなーと思いました。
学生だったなら、僕は水口方式を推します。
Posted by とおりすがり at 2010年08月16日 13:16
水口です。
コメントありがとうございます。

そうですね。業種、業態と採用方針はリンクしていると思います。
なかには、ほとんど中途採用しか採用しないという企業もありますし、
そういう企業は採用時期も割とフレキシブルです(中小企業に多いです)。

逆に、大企業は入社時期をそろえた方が、いろいろ合理的なわけで・・・
それならば、単に「就職浪人」というよりも、もっと魅力的に
見えるオプションがあれば、大企業も採用しやすくなるのではないかと。
それを大学側で提供する努力をしたら? というのが上記の記事でした。
中小企業なら1年待たずとも採用するところがあるかもしれませんし。
Posted by 水口和彦 at 2010年09月07日 00:43
 

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