2010年09月06日     このエントリーをはてなにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマーク

「アルバイトから正社員に登用しろ」という意見はちょっと危険・・・という話


こんにちは。水口です。
今日はちょっと固い話です。

こんな記事↓がありました。

フリーター、採用事業所1割強=正社員は狭き門―厚労省09年調査
(時事通信) - Yahoo!ニュース


『』内は引用です)
 
『  厚生労働省は2日、「2009年若年者雇用実態調査」の結果を発表した。
アルバイト・パートとして働いていたフリーターを、過去3年間に正社員に採用
した事業所は、1割強にとどまった。フリーターは待遇が低く、ワーキングプア
(働く貧困層)の温床ともみられており、正社員への登用は狭き門であること
が浮き彫りになった。
 フリーターはアルバイト・パートのうち、年齢が15〜34歳の人。調査は09年
10月、全国約1万6800事業所(労働者5人以上)を対象に行い、有効回答
率は56.0%。
 フリーターを正社員として過去3年に採用したことがあるか尋ねたところ、
「採用した」が11.6%だったのに対し、フリーターの応募は受け付けているが
「採用に至らなかった」が25.3%、そもそも応募を受け付けていないのが
11.1%に上った。最多は「正社員の採用予定がなかった」の47.6%。 』


                                   (上記記事より引用)

この記事を見ると・・・

・ フリーターから正社員に登用されるのは狭き門

・ 過去3年間で1人でも採用した企業は1割強
  (※ 人数で見ればさらに比率は低くなるはず)

と読み取れます。

そして、ここから派生して、

・ 企業はアルバイトを正社員に登用する道を開け

と言いたくなる人もいると思います。
(上記記事のタイトルもそういう意図を感じます)


しかし、これ、そう単純な問題ではないと思うんですよね・・・。

まず、企業側の言い分としては、

「そもそも、アルバイトがほしくてアルバイトを採用したのだから、
 そこから正社員登用する方が異例。正社員がほしければ、
 最初から正社員を募集する」

という言い分があると思います。これはこれで筋が通った話ではあります。
こう言われると反論のしようもありません。


ただ、私が気になるのはそこではなくて・・・
こういう風潮を逆に利用する企業が出てきたら問題だという懸念です。

たとえば、

  「やる気がある人は、積極的にアルバイトから正社員に登用します!」

と言って、アルバイトを募集する企業が出てきたとします。

これは一見、良いことのように思えます。実際、善意からそうする企業も
あるかもしれません。しかし、これは企業側の思惑しだいで危険です。

もし、上記のように言う企業が出てきたら、このご時世ですからアルバイト
希望ではなく、正社員希望の人も応募するでしょう。

この場合、アルバイトの期間は、いわゆる「試用期間」のようなものです。
試用期間の勤務に問題がなければ、正社員に本採用されるだろうと
期待して応募する人が出てくるでしょう。

しかし、アルバイトと試用期間は、実際には大きく違います。
問題になるのは、労働者を保護する法的な根拠の有無です。

本当の「試用期間」の場合、雇用主は本採用することを前提に雇用関係
を結んでいるものとされます。つまり、正当な(よほどの)理由がないかぎり、
正社員に登用しなければいけないわけです。
(試用期間の場合、正社員の解雇ほどは厳しくないと言われていますが)

一方、アルバイトから正社員への登用には、そのような縛りはありません。

ですから、雇用主から見れば、「アルバイトから正社員に登用する」という、
ある意味「エサ」をちらつかせて人を集めれば、「試用期間」で採用する
よりも自由に人選びをできるわけです。もし、その人がとても優秀でも、
正社員への登用を先延ばしすることさえ自由・・・ということになるでしょう。
悪意をもって利用すれば、企業側に有利な仕組みです。

※ アルバイトから正社員への登用を「確約」するような説明をしていれば、
   話は変わってくるかもしれませんが、労働者を守る側の法的な後ろ盾
   が薄いことには変わりないと思います。


「アルバイトから正社員に登用します」という、一見「美談」的な話が、
実は、労働者に不利、企業側に有利な仕組みになってしまうとすれば、
問題ですよね。

もちろん、本当にアルバイトから正社員に登用していくならいいのですが、
これを都合良く利用する企業が出てくると、まずいと思います。



人を雇う側の立場には、アルバイトをさせた上で、その人を見極めたいと
いう思いがあっても不思議ではありませんし、個人的にはそういう気持ち
は分からなくもありません。(私だってできるものならそうしたい・・・)

しかし、それが「労基法の抜け道」になってしまえば、後で問題になることも
考えられるわけで、雇う側、雇われる側ともに注意が必要ですね。



今日の記事作成時間は38分でした。
では、また明日!


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Posted by 水口和彦 at 23:55│Comments(0)TrackBack(0)

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