2010年09月24日     このエントリーをはてなにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマーク

ワーク・ライフ・バランスについての「権利」と「責任」 (1)


こんにちは。水口です。

この2年ほどの間に「ワーク・ライフ・バランス」という言葉はずいぶん一般的に
なりました(それ以前は「聞いたことがない」という人もかなり多かったんです)。

特に、昨年や今年の新入社員では、この言葉の認知度は高いです。就職活動
のなかで見聞きすることが多いからだと思います。

でも、この言葉だけが一人歩きするのも怖いのかな? と思う事象もあります。


■ ワーク・ライフ・バランスについての「権利」と「責任」

最近の話ですが、学生さん向けの媒体に関連した仕事をしている人で、たまに
「ワーク・ライフ・バランスの意味をはき違えているんじゃないか?」と思える学生
がいる・・・と聞きました。


たとえば、すでに社会人で忙しく仕事をしてる人に「ワーク・ライフ・バランス」の
話をすると、「確かにワーク・ライフ・バランスも大事。そのためには仕事をうまく
終わらせなくちゃ」という反応が多く返ってきます。

仕事上の責任を果たすことが前提にあった上での「ワーク・ライフ・バランス」と
いう感じです。これは多くの社会人にとって自然な考え方でしょう。

※ こなしきれない仕事を押し付ける、いわゆる「ブラック企業」に勤めて
   いつ場合、話は別ですが。

「ワーク・ライフ・バランス」は従業員の権利でもあるけれど、それは仕事上の
責任を果たした上での話だということです。


こういう感覚ではなく、「権利」としてのワーク・ライフ・バランスばかり主張する
学生が一部にいるというのが、上記の話。

実際、もし仕事上の「責任」を無視して、「権利」ばかり主張する人がいたら、
困ってしまいますよね。

たとえば、

 自分の仕事の進め方が悪かったために、仕事が遅れていて、このままだと
 納期に間に合わない・・・。そんな状況でも「ワーク・ライフ・バランス」を要求
 して、定時で帰る。当然納期に間に合わないが、そんなことは我関せず・・・。

そんな人が職場にいたら、困ってしまいます。


■ 上司として意識しておくべきこと

学生という立場では、仕事にともなう責任について、あまり理解できていない
人がいても不思議ではありませんし、そういう人も、社会人になるとほとんどの
人が変わっていくでしょう。おそらく。

ただ、その過程で、上司としては困ってしまうこともあるかもしれません。

たとえば、先の例のように「仕事が納期に間に合わない」という状況でも、
我関せず(自分の責任とは思わない)で、定時退社してしまうような部下が
いたら、上司としては困ります。

そこで「残業してでも間に合わせろ」と指示したら・・・

  「入社前には、この会社はワーク・ライフ・バランスを重視していると
   言っていたのに、あれは嘘なんですか!」

と逆切れ気味に反論されてしまったら、どう思います?


上司としては、ちゃんと仕事を進めた上でのワーク・ライフ・バランスだと
考えているのに・・・ 部下はワーク・ライフ・バランスは無条件に(たとえ
自分の仕事の進め方が悪くても)与えられるものだと思っている・・・。
今後、こういう状況が起こらないとは限りません。


こういう状況、上司としては「仕事を納期に間に合わせるのは当たり前のこと
だろう。今日中に終わらせろ!」と言いたくもなりますが、問題はその考えが
通じるかどうかです。場合によっては、部下が「理不尽に残業させられた」と
思い、「○○社はブラック企業」とネットに書き込むなんてこともあるかも・・・。
そんな不毛な対立は避けたいものです。

これは、おたがい前提にしているものが違うのが問題なわけで・・・、より大人
であるべき上司は、そこを少し考慮する必要があるかもしれません。


特に、部下の責任がどこにあるのか?を考えてみると・・・、

上司は「仕事を納期に間に合わせる」のが「責任」だと、当たり前のように
考えているものです。しかし、これが納得できない部下もいるわけです。

実際、無茶な仕事を押し付ける「パワハラ上司」の元では、このタイプの責任
論は成立しないわけで・・・ 「間に合わせるのが当たり前」という責任論には、
実際には「上司が部下の言い分も聞く」「困ったときは相談に乗る」という、
暗黙の前提があるわけです。

「残業してでもやれ」と叱責してしまうと、その前提をすっ飛ばした、不毛な
議論になってしまうかもしれません。


ですから、「権利」主張が強い部下には、「納期に間に合わせる」のが「責任」
だと説くよりも、「納期が間に合わなくなりそうなら、事前に相談する」のが
「責任」だと諭す方が、かえって効果的だと思います。

「仕事が遅れている」ことを指導するよりも、「仕事が遅れそうなのに相談
しなかった」ことに対する指導が先だということです。
(こちらの指摘の方が、部下にとっては納得感が高いわけです)

あと2、3年すると、「最近の若い者は権利ばかり主張して」 という上司の
愚痴が増えそうな予感がしますが・・・。そう言うだけでなく、上司の側も
こんなふうに指導の仕方を考えておいた方が良さそうな気がします・・・。


今日の記事作成時間は45分でした。
では、また明日!


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Posted by 水口和彦 at 23:55│Comments(0)TrackBack(0)

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