「この国を出よ」 現実逃避的な観点から脱却するための本
こんにちは。水口です。
昨日のノーベル賞の話(受賞者が出たことで「日本はまだ大丈夫」というのは
しっくりこないという話)には、反論をお持ちの方もおられると思います。でも、
共感されるという方も結構多いんじゃないか・・・そう思って書いてみました。
どうも、最近の風潮(というかメディアに乗っかってくるコメントなど)には、
「日本はまだ大丈夫」という意見が多い気がするんですよね・・・。
なにかそれによって安心したいというか、一時的に溜飲を下げるというか、
そんな心理があるような気がします。
そういう風潮をちょっと厳しい言葉で指摘している本もあります。
―――――――――――――――――――――――――――――――
この国を出よ
著者:大前 研一
販売元:小学館
発売日:2010-09-29
おすすめ度:
クチコミを見る
―――――――――――――――――――――――――――――――
大前さんと柳井さんの共著ということで、読んでみました。
(両者の著書には示唆するものが多いと感じているので)
『この国を出よ』というのは、ちょっと過激なタイトルですが、ちゃんと読んで
見ると、『この国を出よ』というのは「この国を見捨てろ」という意味ではない
ことが分かります。
この本の第1章には『絶望的状況なのに能天気な日本人』というタイトルが
つけられています。「日本はまだ大丈夫」「日本もまだ捨てたもんじゃない」と
いう意見もそれを象徴しているように思えます。
※ 私だって「日本はもう駄目だ」と思っているわけではないし、「日本もまだ
捨てたもんじゃない」と思っている部分もあります。でも、現在の状況で
そう言う(公言する)のは、現実逃避のように思えてしまいます。
同書で柳井さんはこう言います。
(『』内は引用です)
『 世界は、かつてないスピードで変容している。にもかかわらず、日本は自分
の殻に閉じこもり、変化する環境への対応を放棄してしまったかのようです。
私はその有り様を指して「彷徨う難破船」と言っているのですが、それがバブル
崩壊の痛手から立ち直れない「自信喪失」からくるものかというと、どうもそう
ではなさそうです。
その反対に、過剰とも言える「自信」(もちろん勘違いなのですが)からきて
いると思うのです。』 (7〜8ページより引用)
そして、大前さんはこう言います。
『 今の日本は「ミッドウェー後」とそっくりです。冷静に考えれば負けるとわかって
いるのに、それを認めようとせず、「まだ大丈夫」「最終的には神風が吹いて勝て
るだろう」と思い込んでいる。これまでとまったく異なる成長戦略を立てなければ、
少しずつ国力が地盤沈下し、気がついた時には敗戦後のように国全体が荒れ
放題になっていたということになりかねない。今が最後の分岐点であり、剣が峰
だという危機感で、勇気ある一歩を踏み出さなければなりません。』
(30〜31ページより引用)
この言葉に「それって言い過ぎじゃない?」と思うところもあるかもしれません。
でも、どこかに「痛いところを突かれた」とも感じるのではないでしょうか。
本当は、多くの人が「日本って(悪い意味で)やばいんじゃない」と感じている。
その反動として「日本はまだ大丈夫」と思えるニュースを見つけ溜飲を下げる。
そんな状況なんじゃないですかね。今は。
上記の本を読むと、そういう(私にもある)「甘さ」を認識して、微妙に落ち込む
ところもありますが、逆に勇気をもらえるところがあったり、考え直すべきことを
自覚したりする、そんな面もありました。
現状から目をそらさず、危機感に対面するのは一時的には厳しいことですが、
現在必要とされていることではないですかね。そんな気がします。
※ この本を読めば、日本という国を批判的に見るための材料はたくさん
見つかります。しかし、それで現状否定するだけではいけないのでしょう。
100パーセントの現状否定は100パーセントの現状肯定と同じく、結局
何も生み出しませんから・・・。
私はこの本、買ってから一気読みしてしまいましたが、
再読に値する本だと思うので、もう一度読んでみます。
今日の記事作成時間は30分でした。
では、また明日!
『国立国会図書館サーチ』は意外に「使える」かも!?
こんにちは。水口です。
今日は「本」関連の話題です。
現在、『国立国会図書館サーチ』というサービスが、公開されています。
(本格稼働前の試行公開(ベータ版?)ですが)
その解説はこちら↓にあります。
国立国会図書館サーチ(平成22年8月17日開発版)の公開について
一部抜粋すると・・・
・ 現在、34個のデータベースから収集した約5,500万件の文献情報等を
検索できます。また、9個のデータベースを横断検索できます。
・ 全文テキスト化された資料に関しては、書誌情報だけでなく、本文の
全文検索ができます。
とあります。場合によっては、Amazonで探すよりも探しやすいかもしれません。
本が見つかれば、その本のある図書館を探したり、オンライン書店で本を探す
などの機能もあります。さらに、特定キーワードに対してRSSを設定できたり、
(指定キーワードにヒットする新しい本が出たら、それを通知してくれる・・はず)
また、はてなブックマークやTwitterに投稿するボタンがあったりと・・・なかなか
の多機能。こういうと何ですが「go.jp」ドメインのサイトにしては、かなり気が
利いています。
そして、もう一ついい機能があります。
こちら↓は実際に検索した結果ですが・・・
時間管理 水口 - 国立国会図書館サーチ
この検索では「時間管理」に関する私の本がヒットしています。
タイトルに「時間管理」がない本はヒットしていない、つまり、全文検索は未対応
ということですね・・・。 それはそれとして。雑誌の記事までヒットしているのは、
ちょっと驚きですね。
※ ただ・・・ 私が時間管理がらみで雑誌に掲載されたのは、もっと数が多く
(この十倍近い)あるはずだよな・・・と思ったのですが、この雑誌記事の検索
も(記事の)タイトル中にキーワードが入っているものに限定されるようです。
また、データベースに収録されている雑誌も限られていると思います。学術
系の論文を検索するのが本来の使い方なのかな?
今のままでも、場合によっては便利に使用できそうですし、今後の機能強化にも
期待できるということで、面白いサービスになりそうな予感です。
興味のある方は、一度試してみてください。
(↓こちらがトップページです)
国立国会図書館サーチ(NDL Search)
ちなみに、自分の名前で検索してみると、同姓同名の人が書いている論文が
見つかったりして、ちょっと面白いかもしれません (私の名前も私以外の記事
もヒットします)。
今日の記事作成時間は27分でした。
(書いてた時間より、検索ためしてた時間の方が長いかも・・・(笑))
では、また明日!
今の職業とは無関係だけど「やりたいこと」で起業する人向けの本
こんにちは。水口です。
今日は本の話です。
以前にこちらの本↓を出したときにお世話になった編集者さんから、
「最近、こういう本を編集しました」という近況報告を頂きました。
(↑これは私の本)
それがこちら↓の本です。
―――――――――――――――――――――――――――――――
給食のオバサンだった私が下北沢で自分の店を持ちつつデザイナーで社長をやれている理由
著者:コヤナギユウ
販売元:サンクチュアリパプリッシング
発売日:2010-04-15
クチコミを見る
―――――――――――――――――――――――――――――――
『給食のオバサンだった私が下北沢で自分の店を
持ちつつデザイナーで社長をやれている理由 』
何とも長いタイトルですが、ある意味分かりやすい。
一言でいうと、「やりたいことはやってみようよ」というスタンスの
「起業のススメ」的な本です。
著者は実際にイラストレーターやデザイナーをしつつ、最近、下北沢に
(リアル)店舗を構えたというコヤナギユウさん。
おっと、私の本(上の「理系的仕事術」)のデザインをしてくれた人では
ないですか・・・ ということで、この本購入しました。
この本は「独立起業したい」という人のための本ですが、
「独立するためには○○すべき」
という「○○」の部分が、類書に比べてハードルが低いところに特徴が
あります。
「自分の強みを分析してうんぬん・・・」という話もなければ、
「独立資金はいくら必要で・・・」という話もない。
だって、いきなり、(やったことない仕事でも)まずは名刺を作ろうという
ところからスタートするんですよ・・・ うーん。大胆。
でも・・・ですね。今までの職歴とは違うところで「何かやってみよう」と思うの
なら、誰もが最初は「経験ナシ」からスタートするわけであう。経験も無いのに
いきなり名刺を作るというのは、そう変な話ではありません。
一方、「ポートフォリオ(作品集)を作ろう」という、かなり実践的(だと思う)
アドバイスもあったりします。
イラストレーターやデザイナーになるなら、有名作家でもない限り、作品を
見せないと話が始まりませんし、それ以外の職種でも同じです。
でも、みんな意外に作らないのが、ここでいう「ポートフォリオ」。
私も最近は意識して使っていますが、もっと早くからやっとけば良かったかも。
※ 私も研修の仕事などで、初めて依頼を受ける際には、過去の資料を
見せながら打ち合わせしたりします。これも「ポートフォリオ」に近いです。
この本、本の造り自体がポップな感じですし(薄い本です)、起業志望者の
「背中を押す」どころか「背中を押しまくる(笑)」感じすらありますが、言って
いることは至極まっとう。私もうなずけるところが多くありました。
ちなみに、いきなりドカンとお店を出して、人を雇ったりするタイプの起業では
なく、ローリスクなタイプ(まずは自分の技術を売るタイプ)の起業モデルです。
(私自身もそういう起業の仕方をしています)
そういう職種につきたいという方におすすめですね。
「やりたいこと」を仕事にしたいなあ・・・と思うところがある人は、ちょっと
読んでみてはいかがでしょうか。
今日の記事作成時間は24分でした。
では、また明日!
「今、読むべき本 500冊」 と 「時間管理のおすすめ本 9冊」 番外編
こんにちは。水口です。
日経ビジネスアソシエさんの記事で選んだ「時間本」について
少し解説を加えていましたが、今回はその「番外編」を。
記事で紹介する本の候補に入れていたけど、選にもれた本です。
□ 「日本人の時間意識」の歴史を知る
「時間」に関する読みもの的なものとして、歴史的な観点で見たものがあると
面白いかなと思って、候補にあげていたのは↓こちらの本です。
遅刻の誕生―近代日本における時間意識の形成
タイトルは「遅刻の誕生」とありますが、内容はあまり「遅刻」とは関係なくて、
江戸時代から明治にかけての時間意識の変遷について書かれた本です。
(年代ごとの時計の普及率の推計なんてのもあります)
あまり実用性が無いので、記事には結局取り上げませんでしたが・・・。
□ 時間に関する「心理」の本
心理学の観点から、「時間」について書かれたのが、こちらの本↓です。
時間を作る、時間を生きる―心理的時間入門
時間に関する心理学は、研究の概説をまとめたような分厚い本はありますが、
入門書的なものはあまりないので、そういう意味で貴重な本です。
「心理的な時間」というと、割と短い(秒単位の)時間に関する研究が多く、
実用面ではあまり役に立たない感もありますが、読みものとしては面白いと
思います(そういう方面の興味があれば)。
□ 「先延ばしグセ」対策の本
時間管理と切っても切れない関係なのが「先延ばしグセ」。
せっかく計画を立てても、先延ばししてしまうようでは、うまくいきません。
ですから、私もひとつのテーマとして、結構重要視しています。こちらの本↓
では、1つの章を「先延ばしグセ」に費やしました。
たったこれだけのことで!仕事力が3倍アップする時間活用法
さらに、「先延ばしグセ」について知りたい・・・という人向けに書かれた本も
あります。実は、「先延ばしグセ」関連の本は意外に多く、私が知っているだけ
でも、10冊近くあったのではないかと思います。そのなかでも、分かりやすく
まとまっていると思うのがこちらの本↓です。
「今すぐできない!」自分を変える本―もう先送りしない6つのトレーニング
また、こちらも少し「先延ばし」に関連した本です。
こっちは、よりビジネス的な「優先順位」の話も入っています。
カエルを食べてしまえ!
さらさらっと読める本ですが、内容は面白いと思います。
□ 時間系の「ムック本」から
また、時間管理関連の「ムック本」から1冊選ぶとすれば・・・という観点で、
こちらのムックを候補に入れていました↓
人生を変える☆時間管理術 (日経ホームマガジン 日経WOMAN別冊)
日経ビジネスアソシエからも、時間管理のムックは出ていますが、アソシエの
読者には、おそらく既読の人が多いだろうと・・・。そこで日経WOMANさんの
ムックを紹介しようと思ったわけです。これにはもう少し理由があって・・・
これはあくまで私見ですが・・・ 「時間をうまく使う」ことに関して、より真摯に
取り組んでたり、工夫していたりするのは、男性よりもむしろ女性だと感じて
います。そういう意味で、男性諸氏にも日経WOMANさんの記事は参考になる
かと思います(アンケートなども含めて)。
※ どちらかというと男性は、「追い込まれてからがんばればいい」という
タイプの人が多いと感じています。
女性向けの習い事関連の記事もあったりと、あまりピンとこない部分もある
かもしれませんが、こういうのも一種の(広い意味での)勉強かもしれません。
あえて、男性諸氏に一読をおすすめします。
先に紹介した9冊や、今回あげた本以外にも、「時間術」的な本はいろいろ
ありますし、いろいろ読んでみるのも良いかと思います。
何冊も読んでいると、内容的にかぶっている部分もあったりしますが、それでも
役立つところはどこかしらありますし。
本を読むときは、その著者の経歴も考慮して頂くと、より参考になると思います。
たとえば、営業の仕事を長くやっていた人と、デスクワーク主体の人。
会社勤めが長かった人と、主にフリーでやってきた人、経営者として長い人。
それぞれ、環境(やっている仕事のタイプ)が違いますから、時間術的にも
違いは出てきます。(それぞれ、傾向・特徴があります)
自分の仕事と近いタイプの本からは、速攻性のノウハウが得られますし、違う
タイプの人からは、違う視点からの考え方や、将来役に立つかもしれないノウ
ハウが得られます。
※ 違うタイプの人のノウハウを「無理矢理」自分に当てはめると、ちょっと
苦労するかもしれませんので、ご注意を・・・。試してうまくいかなかったから
といって、自分を責めないでください。
たとえば、フリーで(割と平穏な環境で)仕事をしている人の時間術は、
「仕事がバンバン振ってくる」職場にいる人には合わないという感じです。
今日の記事作成時間は30分でした。
では、また明日!
「今、読むべき本 500冊」 と 「時間管理のおすすめ本 9冊」 その3
こんにちは。水口です。
日経ビジネスアソシエさんの記事で選んだ書籍について、さらにもう少し・・・
(↓この記事です)
昨日の記事で話に出たもの以外では・・・
□ 考えさせられる「時間本」
上段にあげた3冊のなかで、ちょっと異色なのが『時間術』という本です。
この本は、いわゆる「ビジネススキル」的な側面とは少し違った観点の本です。
1980年代にフランスでベストセラーとなった本で、エッセイ的な雰囲気の本
です。「時間」についてあれこれと書かれていまして、一見すると、なんだか
小難しいことばかり書いているような印象なのですが、じっくり読んでみると、
深い内容に考えされられるところが出てきます。
この本の著者は、とても合理的な考え方をしているところもある反面、少し
哲学的なところもあって、それを両立している人は少ないと思います。
個人的には、すごく「はまった」本ですし、かなり独特な本です。
時間について、じっくり考えてみたいときに、ぜひ。
□ 「時間」をテーマにしたお話
いわゆる「ビジネス書」以外で、小説や読みものみたいなものがあれば・・・
というリクエストに、ほぼ「これしかない」と思って選んだのが、『モモ』という
児童文学です。
時間に追われ、あくせくしがちな日常について考えさせられる・・・というと、
何だか重たい感じですが、単純に読んで面白いお話です。
作者は『はてしない物語』(映画『ネバーエンディングストーリー』)の、
ミヒャエル・エンデ氏です。
□ 現代人に必要!? 気持ちの切り替え術
あとは、これも「時間管理」の本とはいえないのですが・・・
『タイムシフティング―無限の時間を創り出す』という本を紹介しています。
この本、サブタイトルの「無限の時間を創り出す」というのは、ちょっと内容に
そぐわない感じで、内容は「気持ちの切り替え術」的なものが書かれています。
現在は、「ONとOFFの気持ちの切り替えがうまくなりたい」とか、「リラックス
できる時間を作りたい」といった思いを持つ人が多いので・・・ そういう人に
読んでみてほしい本です。
また、仕事を離れてもメールやネットで忙しい・・・なんだか落ち着かないと
感じている人にも、本書でいう「タイムシフティング」が役立つと思います。
□ とにかくエピソードが豊富な時間本
そして、事例(エピソード)を豊富に含んだ本もあったらいいな・・・ということで
選んだのが、『成功する人の時間術』という本です。
最近は「成功する人の○○」という本や、「できる人の○○」といった本が多く、
食傷気味な人もいるかもしれません・・・。
※ なかには、「できる人の○○」というタイトルの本で、著者個人のエピソード
に終始している本もあったりします。つまり、自分自身のことを「できる人」と
言い切ってるわけで・・・ これはちょっと、見てて恥ずかしいです。
(本のタイトルは著者自身に最終決定権が無いことも多いので、著者と
しては不本意だったのかもしれませんが・・・)
しかし、本書は本当に色々な人(成功者も普通の人も)のエピソードが豊富に
入っています。エピソードの密度でいうと、時間本で一番だと思います。
一気に読み進めると「お腹いっぱい」という感じになるので、少しずつ読み進め
るのがおすすめです。
・・・と、ここまでが記事中で紹介した本でした。
「最近の本が少ない」という印象をお持ちの方もおられるかもしれませんが、
「オリジナリティのある本を選択しよう」と思って選んでいったら、こういうセレ
クトになってしまいました。
この数年、「時間本」はよく出ていますし、そういう本も読み手によっては、
(特にその手の本を読んでいない人にとっては)役に立つはずですが、
全般的に、過去から言われていることの「焼き直し」が多いのは否めません。
目を引くネーミングと、著者の自慢話で引っ張っていくという感じでしょうか。
そういう本がダメというわけではないのですが・・・、もう少し長い目で見て
評価されるべき本を選びたいと思った結果がこのセレクトでした。
絶版本が結構多いのはご容赦ください・・・(汗)
今日の記事作成時間は33分でした。
では、また明日!
時間管理術研究所の無料メールマガジンで
モチベーションアップしてみませんか?
Copyright (c) 2005-2014 BizARK Inc. All rights reserved.