トップチームと、そうでないチームの違いとは?
こんにちは。水口です。
今日は本の話です。
■ 「世界最速のF1タイヤ」
3年前の本ですが、私は最近読みました。

世界最速のF1タイヤ―ブリヂストン・エンジニアの闘い
(新潮新書)
ブリヂストンのモータースポーツ・モーターサイクルタイヤ開発本部長の
浜島裕英さんの本です。
浜島さんは、F1のテレビ放送でも時々登場しているので、見たことの
ある方も多いと思います(タイヤの解説などをされています)。
この本は、浜島さんのタイヤのエンジニアとしての経歴から始まり、
F1の裏事情的な話まで書かれた本です。F1興味のある方はもちろん
ですが、そうでなくてもメーカーでエンジニアとして働く人は面白く読める
本だと思います。
※ これは私の個人的な思いなのですが・・・
日本には「ものづくり」系のエンジニアで優秀な方がたくさんいる
はずなのに・・・、こと書籍の分野になると、あまり目立ちません。
それにはいろいろ理由はあると思いますが・・・、1つの大きな
理由は、「エンジニア」には文章を書いたり、情報を発信したり
することが苦手な人が多いところにあると思っています。
IT系エンジニアの方は、比較的発信量が多いように思いますが、
「ものづくり」系エンジニアの方の情報発信は少ないです。
もちろん、本業が忙しいから・・・という事情もあるでしょうが、
文章を書いたり、情報を発信したりすることにもっと挑戦して
みてはいかがでしょうか。そうすることで、社内、社外の両方で、
多くの人の役に立つことができると思うのですが・・・。
■ 一流のチームとそうでないチームを分けるもの
この本の後半は、著者のF1での経験談がいろいろ書かれています。
興味深い点はいくつもあったのですが・・・こんな話がありました。
(『』内は引用です)
『 強いチームほどディスカッションは徹底して行う。ワンメイクの時代に全
チームと付き合ったのでよくわかるのですが、弱いチームはディスカッション
の時間が短い。ところが、トップチームになると、候補の二種類のタイヤを
徹底的に比較検証し、ケーススタディを十分にしてからでないと絶対に
決定しない。リスクをなるべく少なくするために、チームもドライバーも十分
に納得したうえで、タイヤの選択をしたいと考えている。私たちはだれもが
納得する「論理的な根拠」を示さなければならないのです。』(166ページ)
※ 「ワンメイク」というのは、F1に参戦する全チームが同じタイヤを採用
していた時期のことです。この本が刊行されたころはブリヂストン以外
にミシュランも参加していたのですが、昨年から再びブリヂストンの
ワンメイクになっています。
※ 補足しておくと・・・ これはテスト走行後(レース前日)の数時間に
行われるミーティングの話です。ですから、『ディスカッションは徹底して
行う』といっても、「慎重に慎重を重ねて・・・決断を先延ばしする」という
のとは全然違います。
また、90ページにも、トップチームと弱いチームの差について書かれて
います。トップチームがオフシーズンに行うテスト走行について、
『朝九時から夕方の六時までサーキットを予約しているとすると、彼らは
その九時間がフルに使えるような環境を整える。(中略)
もしどこかのパーツが壊れれば、すぐに別の新しいものにセットごと交換
する。これならば三、四十分後にはまた走れ、時間に無駄がでない。』(166ページ)
とあります。これに対して弱いチームは、
『スペアエンジンはもってきても、パーツをセットしておくところまでは準備
していない。エンジンを交換するとなると二時間から二時間半はかかり、
実質は四時間くらいのテストになってしまう。』
『トップチームと中堅以下のチームとでは、テストでの走行量がまったく
違うのです。これがチーム力なのかと、つくづく感心しました』
とあります。
もちろん資金力や人員構成にも差はあるのでしょうが、それだけでなく、
ポイントになる部分(レース前やテスト前)で、「最善の答を追求する」、
「リスクを最小化する」ということをいかに徹底できるか。
そのためには、事前の準備や長いディスカッションをいとわない
(妥協しない)という姿勢があるか。
という点で、大きく違うのではないでしょうか。
もちろん、F1の場合は、資金力や積み上げてきたノウハウも大きく違う
のでしょうが、トップチームはそれにあぐらをかいているわけではなく、
他のチーム以上に何事も徹底しているということなんですね。
以前、聞いたことがある話ですが、テニスの世界ランキングに入るような
トッププレイヤーは、技術的・体力的にはほとんど差が無いと言われます。
ランキング上位のプレイヤーと、下位から脱出できないプレイヤーを分ける
ものは、精神的な部分だと言います。
それと似たように、F1に限らず、トップチームであるためには、ほんの少し
の妥協を許さずに取り組むかどうか、そしてその積み重ねが大きな違いに
なるのではないでしょうか。
これは「プロフェッショナル」論にも通じる話です。
自分の仕事のなかで、妥協してはいけないポイントはどこにあるか、
考えてみるといいかもしれませんね。
今日の記事作成時間は47分でした。
では、また明日!
ピラミッドと逆ピラミッド、どちらがいいですか?
こんにちは。水口です。
今日は昨日の話に関連して、「ピラミッド」の話です。
■ 逆ピラミッド型組織
先週の月曜日に放送された「カンブリア宮殿」という番組(テレビ東京系)に、
「千房」というお好み焼きチェーンの社長、中井政嗣さんが出演されていました。
(↓その回の概要はこちら:テレビ東京のサイトです)
カンブリア宮殿:テレビ東京
このサイトには載っていないのですが、番組のなかで、中井社長が示したある図に
村上龍さんが驚くというシーンがありました。
その図とは、「逆ピラミッド型組織」を示す図です。村上龍さんが驚いた理由は、
今まで数々の一流のビジネスパーソンが出演したこの番組で、その「逆ピラミッド」
の図を描いたのは、他に1人だけ、カリスマヘッドハンターと呼ばれる古田英明さん
だったことでした。
(それと同じ図を描く「お好み焼き屋のおやじ」はすごい!という驚きです)
(古田英明さんの出演した回はこちら↓)
カンブリア宮殿:テレビ東京
古田さんの言葉にも、
(『』内は引用です)
「欧米のリーダーはピラミッドの頂点。日本で考えなくてはいけないリーダーは、
逆三角形の底辺で支える人。」
とあります。 (上記サイトより引用)
こんな感じでしょうか。

「上司は部下よりも偉い」という考え方ではなく、
「上司は、部下が仕事をしやすいようにサポートする存在」という考え方です。
これと同じ意味で、「上司とは、部下に奉仕する存在である」と言われること
もあります。
この考え方だと上司は当然大変なのですが、先の古田さんは、そうなれる人に
こそ、リーダーになってほしいという考えだそうです。
「苦しい、もう辞めたい、と思う人間にこそ、その仕事のリーダーにつかせたい。」
という言葉があります。
私もこの考え方に基本的に賛成です。その理由は、
部下と上司の役割分担を考えると・・・、
最前線で物やサービスを作ったり売ったりするのは部下です。
(実際に企業の利益をあげているのは部下です)
ですから、上司の(おそらく)最も重要な役割は、部下が仕事を
やりやすくすることにあります。
※ これは、TOC(制約条件の理論)で言うところの、「制約条件」に該当する
のは部下だ、ということです。
生産性を上げるためには、まず制約条件をできるだけ活用するのが基本
です。「制約条件を活用する」といっても、部下の尻を叩いて働かせると
いうことではなく、上司の決断の遅さや、組織内の問題などの要因で
部下の仕事を止めないようにすべきだということです。
そういう意味で、
「上司は部下の仕事を支える存在」
「上司は部下への奉仕者」
という考え方は、理にかなっています。
(もちろん、そういう上司がいたら部下は心強いですし、
モチベーションや組織の活性化という意味でもいいはずです)
昨日の話に関連したことで言えば、上司の意思決定が遅いせいで
部下の仕事を遅らせてはいけない。本来ならば・・・ということです。
■ 逆ピラミッドはいつでも有効なのか?
・・・と、この「逆ピラミッド型組織」について、先週から考えていたのですが、
どうしても腑に落ちないこともあります。
「逆ピラミッド」ではうまくいかないケースもあるような気がするんです。
では、どんな場合にそうなるのか考えていたのですが、それを一言でいうと、
「平時」とときと、「有事」のときの違いではないでしょうか。
「平時」、つまり安定した情勢にあるとき(成熟産業がこれに該当します)には、
逆ピラミッドが有効です。
しかし、「有事」、つまり危機的な状況が起こった場合には、逆ピラミッドよりも
トップが引っ張る正ピラミッドでなければ混乱するばかりです。
そして、多くの大企業は(特別な状況が起きない限りは)前者(逆ピラミッド)が
適しているように思えます。
逆に、創業したばかりのベンチャーや、ベンチャーが急成長する過程でいろいろ
な問題が発生した場合などは、後者(正ピラミッド)が適しているのではないで
しょうか。
そういう視点で企業の成長過程を振り返って見てみると面白いかもしれませんね。
(たとえば、本田をそういう視点で見ると面白そうです)
話を昨日の「フラット化」に戻しますと・・・、
今日の話を前提に考えると、「ピラミッド」は必ずしも悪いことではないように
思えてきませんか? 階層の多すぎるピラミッドはもちろん問題ですし、
ピラミッドの上層に立つことを一種の既得権のように考える人がいたりすると
最悪ですが、ピラミッドそのものが悪いというわけではないと思います。
もし、完全フラットな組織やチームを作ったとしたら、上記の逆ピラミッドの
メリットも、正ピラミッドのメリットもありません・・・。それって、かえって良くない
ことのように思います(例外がないわけではないと思いますが)。
【参考に】
前にも紹介したと思いますが、「平時」と「有事」それぞれの指揮官のあり方に
ついて書かれたこの本↓、面白いのでおすすめです。

平時の指揮官有事の指揮官―あなたは部下に見られている
(文春文庫)
今日の記事作成時間は98分でした。
(図も含めて)
では、また明日!
意思決定のスピードアップのために: フラット化よりも○○○○
こんにちは。水口です。
今日は昨日の「組織のフラット化」についての補足です。
■ 「組織のフラット化」の一番の目的は
昨日コメントでご指摘頂いたのですが(ありがとうございます!)。
昨日の記事では「フラット化する」目的がそもそも何なのかという話が
抜けていました。
フラット化する目的は、よく言われるように「迅速な意思決定」にあります。
これが第一の目的です。
では、「フラット化」すれば迅速な意思決定ができるか? というと、
実際のところ、どうなのでしょうか・・・?
■ フラット化による意思決定のスピードアップ
組織の中で働いていると、意思決定の遅さにイライラしたり、
がっかりしたりすることがあります。
たとえば、私自身が経験した例では・・・
工場でも研究部門でもそうでしたが、改善やトラブル対策の予算を
取りたいときに、その承認をもらわなければいけない場合があります。
そんなときには、文書を回して承認をもらいます。そういう書類のことは、
私が前勤めていた会社では「起案書」と呼んでいました。一般には
「稟議書」と呼ばれることが多いです(ここでもそう呼ぶことにします)。
この稟議書をはじめとした承認手続きの関係は、時間がかかるものです。
「フラット化」されていなければいないほど、ハンコの数が多くなります。
それだけ、承認する人が多いわけで、その分時間もかかるということです。
そして、その承認手続きが終わらないと、せっかくの改善や対策が進められ
ません(予算が取れないと発注手続きができないため)。 これが困ります。
書類がなかなか返ってこない場合などは、誰のところで止まっているかを
確認するためあちこち電話するのですが、これこそ「ムダな仕事」です。
(これは電子化でマシになりますが・・・完全になくなるわけではありません)
「フラット化」して階層を減らせば、関与する人が減り、意思決定に
かかる時間が短くなりますから、これは大きなメリットになります。
■ 「フラット化」が迅速な意思決定につながらないケースは?
しかし、「フラット化」がすべて迅速な意思決定につながるとは限りません。
たとえば、引き続き予算の話で考えるとして・・・、
フラット化された組織では、決済権限を持った上司までの階層の数が
少なくなります。
部下の立場で見れば、それだけ近い存在になったのだから、より早く
意思決定してもらえそうに思いますが・・・、上司の立場で見れば、
少し違ってきます。
「少階層−多分岐化」を推し進めると、上司の下にはたくさんの部下が
つくことになります。そうすると、1人の上司が承認しなければいけない
案件の数は増えます。
この場合の意思決定のスピードは、上司の能力に大きく左右されます。
極端な例では、「いま忙しいからちょっと待って・・・」と言われたまま延々と
待たされる・・・ということにも成りかねません。
そういう意味では、「フラット化」は、上司の能力が問われる
組織形態だということになります。決断力や情報解析力が高い上司に
当たればラッキーですが、そうでない場合は困ったことになります。
※ 多階層の組織の場合も、上層にいくと承認する案件数は増えますから、
これを真面目にやる上司には高い処理能力が必要とされるはずです。
しかし実態は、あまり深く関わらないケースも多いものです。たとえば
部長が承認した案件を役員が精査し直すことはあまりないでしょう。
(いわゆる「めくら判」というやつです)
このフラット化による弊害は、平時(大きな動きがないとき)には、あまり
顕著になりません。
しかし、立て続けに問題が発生したり、進行中のプロジェクトで大きな問題が
発生したときには、上司の意思決定能力がパンクしてしまう可能性があります。
「多分岐化」(=直属の部下の数が多い)ことの弊害が出てしまいます。
※ 逆に言えば、それほど大きな問題が起こらない(今後も起こる可能性が低い)
部署であれば、フラット化の弊害は少ないということです。
ということは、「組織のフラット化」を考える際には、普段どれだけの頻度で
上司の意思決定が必要になっているか? ということを考えなければいけない
ということですね。
また、その際には、(実際に起こる頻度は少ないにせよ)同時多発的に問題が
起こる可能性も考えておかなければいけないわけです(一種のリスク対策として)。
■ 「迅速な意思決定」のもう1つの手段
さて、話を少し戻しまして・・・
「迅速な意思決定」を行うためには、「フラット化」以外の方法もあります。
「フラット化」しなくても、権限委譲するだけでも意思決定は迅速になります。
たとえば、予算の例だと・・・、
多くの会社では、予算の額に応じて決裁権限を持つ階層が決められています。
○○○万円までは課長、□□□万円までは部長、□□□万円を超えたら役員
会の承認が必要、という感じで決められています。
こうした基準を見直すことができれば、1つの意思決定に関与する人の数が
減り、意思決定は確実に迅速化します。
※ その分、決裁権限者にかかるプレッシャーは高まるかもしれませんが、
そういうケースは案外少ないような気がします。より現場に近い人間
(より分かっている人間)のほうが、より自信を持って決済できるケース
が多いのではないでしょうか。
これは予算に限った話ではなく、意思決定のスピードを左右するのは、
権限の所在そのものにあり、迅速な意思決定のためには「権限委譲」
が欠かせません。
そして、こうした権限委譲を行えば行うほど、上層に近い上司の仕事が
減ってきます。それに応じて適切な人員配置をしたとしたら、結果的に
「フラット化」になってくるはずです。
※ 「上層に近い上司を減らす」というのは、情報の流れの観点でも正しい
ことです。部下10人を抱える課長と、部長3人を抱える役員のどちら
のほうが「抜いても支障のない存在か」と言えば・・・明らかです。
そして、ここが大事なところですが・・・、
もし、その人員配置の見直しができなかったとしても、権限委譲さえ
進んでしまえば、(形式上フラット化していなくても)意思決定の
スピードは上がります。
ですから、組織の構成として「フラット化」しているかどうかよりも、
「権限委譲」、つまり、意思決定の権限をどの階層に置いているか
のほうが、実際にはより重要だということです。
また、「フラット化」のために無理に「多分岐化」すると、上記のように
弊害があるわけですが、権限委譲そのものには、この弊害はありません。
(上司の決断力、という意味で人材育成は必要ですが)
少しまとめると・・・ 迅速な意思決定のためには、
□ 組織構成上の形よりも、意思決定までの階層数を減らすこと。
そのためには組織構成よりも先に、権限委譲を考えるべき。
□ 権限委譲したあとの業務に応じて組織構成を見直せば、
本当に必要な「フラット化」の形が見えてくる。
□ 「フラット化」にともなう「多分岐化」には要注意。
かえって意思決定のスピードを遅くしてしまうこともある。
ということになりますね。
これを元に考えると・・・、
・権限委譲が伴わない「フラット化」はあまり意味がない。
・「課」の数を減らして「フラット化」と称するのは良くない。
(課長はもともと分岐数(部下の数)が多いのが一般的なので)
・むしろ分岐数の少ない部長以上の階層を減らすべき。
というのが正しい方向ではないでしょうか。
※ ただし、過去に「課」を増やしすぎた経緯のある会社の場合、
「課」の数を減らすことに問題はないでしょう。しかし、これは
「フラット化」と呼ぶべきではなく、普通に「組織構成の見直し」と
呼ぶべきだと思います・・・。
フラット化が「目標」ではなく、権限委譲を進めたことによる「結果」と
して達成されるべきものなんですね。本来は。
これらは、冷静に考えれば当たり前のことですが、なかなか実行されない
ことでもあります。そして、こういうところに手をつけずに、「フラット化」と
いう言葉(イメージ)だけが先行していることが多いようにも思えます。
(私はこれまで「フラット化」という言葉の使われ方に、微妙に違和感を
感じることがあったのですが・・・その違和感の原因はこれでした。)
※ ちょっと余談ですが・・・
企業全体を見た場合の権限委譲の1つの形に、事業部制にして
事業部長に権限を持たせることや、分社化することがあげられます。
しかし実態は・・・分社化しても、親会社の意向をうかがってからで
ないと何も進まないというケースも多いのではないでしょうか。
(ときどき耳にする話です・・・)
これは、権限委譲しているようで逆に意思決定のスピードを遅くする
悪い事例のように思えます。
■ 権限委譲を進めるためには?
では、権限委譲を進めるためにはどうすればいいのか? ということに
なりますが、これはなかなか奥が深い問題です。
好意的に解釈すれば、従来のスタイルは「慎重に判断する」ために、承認者
の数を増やしていたとも取れますし、違う見方をすれば、問題が起こったとき
に糾弾されないように責任を分散させているだけとも取れます。※
※ さらにうがった見方をすれば、年功序列制を維持するためにポストを用意
してしまったので、そのポストの存在意義が無くならないように、各ポストに
いろいろな権限を付与しているとも取れます。(← これが実態?)
これは突き詰めれば、
「部下を信用するかしないか」
「慎重に慎重を重ねるか、スピードを重視するか」、
「性善説か性悪説か」
という違いにまでつながってくる話です。
と、話がだんだん大きくなってきました・・・(汗)
これは、「そもそも上司は何のために存在するのか?」という問いにも
つながってきます。これについては、最近気になっていることがあるので、
その話は明日か明後日にでも・・・
今日の記事作成時間は95分でした。
では、また明日!
組織のフラット化における問題点と対策
こんにちは。水口です。
今日は一昨日の話の続きで、「組織のフラット化」についての話です。
■ 「組織のフラット化」は簡単ではない
一昨日、こんなことを書きました。
―――――――――――――――――――――――――――――――
しかし、「フラット型」には、明確な欠点があります。それをどう克服するか
という方策なしに、「フラット化」「情報の共有化」だけを進めても、決して
うまくいかない、というのが私の意見です。
―――――――――――――――――――――――――――――――
(この記事です→) 「強い課長の作り方」
「組織のフラット化」という言葉には、なんとなく良いイメージがあります。
自由で気さくなイメージだったり、民主的なイメージだったり、
官僚的でない若々しい組織のイメージだったり・・・。
しかし、イメージ先行で「フラット化すればうまくいく」と考えるのは、
危険だというのが私の意見です。
※ ここでいう「フラット化」は、個人として、社会としての「フラット化」
ではなく、あくまでも「組織のフラット化」についての話です。
また、私は「フラット化に絶対反対」というわけではありません。
階層の多すぎる、官僚的すぎる組織はフラット化したほうがいいと
思いますが、なんても「フラット化」すればいいというわけではないと
言いたいわけです。
■ 3つの「組織のフラット化」
では、組織をフラット化すると、どんな問題があるのか? という
ことについて考えていきたいと思いますが・・・
その前に、「組織のフラット化」にもいくつかパターンがあるので、
それを整理しておきたいと思います。それぞれ、意味するところが
違います。
「組織のフラット化」には、次の3つのパターンが考えられます。
(勝手に名前をつけました)
1−少階層−多分岐化
これは、組織の階層の数を減らすことです。
係長−課長−部長−○○担当役員−社長という階層や、さらにその間
に付加された階層など・・・そういう階層の数を減らすものです。
企業で「組織のフラット化」というときは、多くはこのパターンを指します。
階層の数が減るということは、当然1人のリーダー(この場合管理職)が
見るメンバーの数は増えます。分岐(枝分かれ)が増えるので「多分岐化」
というわけです。
2−完全フラット化
これは、完全にフラットな組織になるということ、特にリーダーを設けない
組織(というか集団?)です。
こらは組織としての例はないと思います。ただ、「組織のフラット化」という
言葉を使う際に、こういう組織をイメージされる方もいますので、区別する
ためにあげておきました。また、「組織」という言葉が適切かどうかはわかり
ませんが、フリーランスの人が集まって構成される「チーム」や、オープンソース
のソフトウェアを開発している人たちがこれに近いです。
この「完全フラット化」は自由で民主的なイメージがして良さそうですが、
趣味的なチームや一時的なプロジェクトとしてならともかく、「組織としての
仕事」を実行するには向いていません。「監督のいないチーム」は、平時には
大丈夫でも、何か問題やトラブルが発生したときには弱いですから。
3−分散リーダー型
「完全フラット」型と同じように特定のリーダーを設けない組織として、
各プロジェクトごとに(役職と関係なく)リーダーを決めるというタイプの
運用方法もあります。
同じ人がプロジェクトごとに、リーダーになったりメンバーになったりする
わけです。リーダーがたくさんいるので「分散リーダー型」というわけです。
一部の業務にこの方式を導入している企業はたくさんあります。
「プロジェクト制」と呼ばれるものがそうですし、「CFT(クロス・ファンク
ショナル・チーム:部門横断組織)」もそうです。
■ それぞれの「フラット化」の問題点
では、それぞれの「組織のフラット化」にどんな問題があるか、
考えてみましょう。
1−少階層−多分岐化 の問題点
少階層化・多分岐化にともなう問題点は、情報の伝達に関するものです。
階層を減らせば、おのずとリーダー1人当たりのメンバー数が増えます。
ここで情報の伝達上の問題が出てきます。
情報の伝達には、
トップダウン(指示・方針の伝達)
ボトムアップ(問題点の吸い上げ・結果のフィードバック)
の2種類があります。
メンバー数が増えると、トップダウンはともかくとして、ボトムアップのほうに
問題が出てきます。これは「電子メールやネットの活用」では超えられない壁
です。
IT化は情報伝達にともなうコストと、伝達のスピードを向上させます。
しかし、肝心の情報の選別や、その情報に対するフィードバック(指導や
教育、アドバイス等々)は人が行うものですから、どうしても限界がある
わけです。
この限界はリーダーへの教育や、システムの作りこみによってある程度
高めることはできるでしょうが、それにも限界はあるでしょう。特に、
「現状維持」ではなく、組織の革新や業績の向上が必要な場合はなお
さらです。ですから、無理な多分岐化は一時的に機能することはあって
も、長期的には成立しないものです。
(長期的に見て「組織の革新」を必要としない業種など、現在は存在
しないのではないでしょうか)
逆に言えば、もともと分岐が少ない階層については、その階層をカット
しても問題はないわけです。「階層」と呼ぶのが適切かどうかはわかり
ませんが、「部長代理」のような職制や、「○○担当役員」のような階層
がそれに当たります。
(そういう人たちが働いていないと言うつもりはありませんが、抜いても
それほど支障が無いのは事実ではないでしょうか)
2−完全フラット化の問題点
これは言及するまでもありませんが、リーダー不在では組織として成り立ち
ません。たとえば、リーダー不在でも物事を民主的に(多数決で)決めて
いけばいいじゃないかという意見があるかもしれませんが、それでは長期的
にはうまくいきません。
これは監督不在のチームのようなものです。野球やサッカーで、もし監督が
いなくても1つの試合を戦うことはできると思います(戦力は落ちるとしても)。
しかし、長期的にチームの編成や補強を行っていくことは難しいでしょう。
また、この場合は誰も引き受けたがらないような問題が発生したときに、
押し付け合いになってしまい、機能しなくなる可能性があります。
先ほども言いましたが、「趣味的なチーム」や、1つの目標に特化した一時
的なプロジェクトとしては成り立つ可能性がありますが、それ以上は無理
だと考えます。
唯一例外があるとしたら、極めて高いモラルとプロフェッショナル意識を
持ったメンバーが集まる場合くらいでしょうか。
ある意味では理想ですが、実現が難しい形態です。
3−分散リーダー型
「分散リーダー型」は、実は私も1つの理想と考えている組織形態です。
しかし、普通に分散リーダー型(プロジェクト制)を推し進めていくと、
致命的な問題が発生します。
それは、プロジェクト間の利害関係を調整することができないことです。
プロジェクトが乱立して、メンバーのかけもち状況が入り組んでくると、
この問題は必ず起こると思います。
どのリーダーも、自分のプロジェクトのメンバーには、できるだけ多く働いて
もらいたいと思うのが普通です。ですから、各リーダー間で、メンバーの
工数(その仕事にさく時間)の取り合いになってしまいます。
これを避けるためには、各メンバーに動いてもらう工数をプロジェクトの
予算に組み込み、厳密に管理することが必須です。
しかし、それだけでは問題は解消しません。単に時給ベースで予算管理
しただけでは、実際には「お買い得」な人と、「そうでもない」人が出てきます。
そうすると、「お買い得」な人に仕事の依頼が殺到して調整がつかなくなり
ます。
※ ここで、「お買い得」な人本人の希望だけで選ばせるという方法も考え
られますが、このやり方では組織全体として最適な人員配置になるとは
限りません。嫌な言い方ですが、「面白い仕事」と「儲かる仕事」が一致
するとは限らないですから。
この問題を解消するためには、「市場を作る」しか方法はないと思います。
各メンバーの工数に市場で値段をつけるわけです。人気がある人は当然
値段が高くなって、それだけ使いにくくなる・・・それでバランスが取れると
いうわけです。
(この「市場」については、以前もブログに書きましたのでご参考に↓)
「労働のパケット化」が進むと社内に「市場」が生まれる(1)
「労働のパケット化」が進むと社内に「市場」が生まれる(2)
この「市場」は、話としては合理的ですが、実際にやるのは難しいと思います。
言い出した私自身、「モラル的にどうなの?」 と思いますし。
・・・ずいぶん長くなってしまいましたが、
3つの「組織のフラット化」の問題点(と一部の対策)について、私の考えを
整理してみました。
今回、整理していて思ったのですが、「フラット化」の多くは、一時的には
機能しても、長期的に機能させるのは難しいように思います。
特に言えるのが、平時はいいにしても、問題やトラブルが起こった場合や、
将来を見すえて組織を変革していく場合には、フラット化は適さないですね。
・・・裏を返せば、そういうときほどリーダーシップが必要なので、
当たり前といえば当たり前の結論ですが。
こういった問題点に対しての策を持たずにフラット化しても、うまくは
いかないと思います(もともと不要な階層の場合は別です)。
「IT技術が進めば、フラット化が加速する」的な楽観論を述べる人も
少なくないので、あえて苦言を呈してみました。
今日の話は、私の経験(一応大きめの組織に十数年いました)から感じた
こともいろいろ含まれています。逆に、大組織でもまれた経験の多い人に
とっては「釈迦に説法」な話だったかもしれませんが、お許しください。
今日の記事作成時間は103分でした。
では、また明日!
時間管理の学び方
こんにちは。水口です。
今日は、「時間管理の学び方」、特に研修についての話です。
■ 時間管理はどう学ぶ?
「時間管理はどう学ぶべきか?」 なんて言うと大げさな質問のように
思えるかもしれません。しかし、これは皆さんの場合は、普段から
行っていることと言えるかもしれません。
時間管理の学び方は、大きく分けて2つあります。
1つは、人からやり方を教えてもらったりして、それを試してみること。
この中には、
・どんなツールを使うのか?
・どんな行動指針(判断基準)で行動するか?
といったものがあります。
もう1つは、日常的な仕事や生活の中で実行し、
やり方を見直したり、改善してみたりすることです。
例えば、このブログを定期的に読んでいる読者の方は、
この両方に対して意識は高いと思います。
「意識はあるけど、なかなか行動に移せない」という方もいると思います。
行動に移すことが大事なのは言うまでもありませんが、そういう意識すら
持っていない人と比べると、すでに大きな差があるんです。
実際、そういうことをほとんど考えない人もいるわけで・・・、
そういう人に、時間管理を身につけてもらうのは、ちょっと難しくなります。
例えば、「社員研修で時間管理を身につけさせよう」という試みは
なかなか難しいものです。
■ 時間管理の社員研修はどうあるべきか?
社員研修にも色々な内容のものがありますが、一般的な進め方は・・・
・対象社員に集まってもらう
・半日・1日(あるいはそれ以上)の時間をかけて研修を行う
・後でレポートを提出する場合もある
という感じです。
しかし・・・、私自身が研修を受ける立場だった時を思い返すと、
こういう研修って、どうしても「やりっぱなし」になってしまいます。
学んでいる間は、それなりに頭を使いますし、知識も習得できますが、
その後、そのスキルを実践してくれるかどうかは個人まかせです。
特に時間管理の場合、ここが難しさになります。
時間管理は、継続しないとまったく意味がありませんから。
当初は、弊社もそういう一般的な研修スタイルにならって、
研修を構成していたのですが、それがベストだとは思えません。
では、時間管理の研修はどうあるべきか?
ということが課題でした。
特にポイントとなるのは、
・フォローアップの機会を設けた方がいい
まず基本のやり方を学び・・・それを実践してみた後で、
知識を復習し、問題点を解決する機会を持つ
・一度にノウハウを詰め込むよりも、段階的に学んだ方が
効果が高い
一度にまとめて教えた方が、教える側は楽なのですが、
学ぶ側にとってそれがベストではない
という点です。
■ 新しい時間管理研修の形
この課題に対して、ようやく答が見えてきたかな、
というのが最近のことです。
現時点で私が考えるベストの解はこうです。
・ 比較的短時間の研修 (講義主体)
↓
・ 実践期間(1ヶ月ほど)
↓
・ フォローアップ+問題点解決 (ワーク主体)
↓
・ 実践期間(1ヶ月ほど)
↓
・ フォローアップ+長期スケジュールとの連携 (ワーク+講義)
↓
(必要ならさらにフォロー)
2時間程度の研修を3回に分けて行うというスタイルです。
こうやってフォローの機会を設けることは、「復習」の意味が
あるだけでなく、その間の実践期間のやる気にも影響します。
私が推奨している時間管理の手法は、元々継続しやすく
作ってあります。しかし、それでもフォローアップの機会は
あった方がいいと思います。
どうしても「研修を受けた」だけで終わったと思ってしまう人は
いるものです。フォローアップの機会を設けることで、
その間の実践期間中の身の入り方が違ってきます。
この手法であれば、通常の研修よりもさらに高い効果が見込めます。
できれば、よくある階層ごとの研修ではなく、「チーム単位」の研修として
取り組んだ方が、さらに効果は高いのですが・・・これは受ける側の事情も
あり、なかなか難しいところです。
というわけで、この手法についての資料を現在作成中です。
ご興味があるという方は、以下よりお申込み頂ければ、
来週から資料を送付させて頂きます。
お申込みはこちらのページから
↓
新研修プランの資料お申込みページ
この手法で実施するのは初めてということもありますので、
最初の数社までは研修料の割引を適用しようと考えて
います。ご興味のある方はお早めに。
研修の話ばかりしてしまいましたが、この手法は個人向けの
セミナーにも応用したいと考えています。
それはまた後日紹介しますね。
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今日の記事作成時間は45分でした。
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