2005年08月29日     このエントリーをはてなにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマーク

時間管理術の7つの嘘 その2 : 80:20の法則に従えば、うまくいくのか? (2)

すべての仕事が80:20の法則に従うわけではない!

80:20の法則に当てはまる仕事と、当てはまらない仕事がある!

と前回述べました。


どういう場合に80:20の法則が成立し、
どういう場合に成立しないのか、考えていきましょう。


80:20の法則を、人の生産性に適用した例として、

  売上の80%は20%の営業マンによって上げられる。

と言われることが多いです。


ここで、
80%の売上げを上げる営業マンを「スーパー20%
20%の売上げしか上げられない残りの人を「ノーマル80%
と呼ぶことにします。

人数比と成果の関係は、このようになります。

80対20の法則(人と成果2).jpg

では、1人当たりの生産性について考察するために、
10人の営業部隊を考えてみます。

スーパー20% = すごい営業マン2人
ノーマル80% = 普通の営業マン8人
となります。

80対20の法則(1人当たりの生産性2).jpg

ここで、1人あたりの数字にすると、

スーパー20% = すごい営業マン2人 → 1人で40%
ノーマル80% = 普通の営業マン8人 → 1人で2.5%

となります。
1人当たりの売上げは・・・4倍ではなくて、なんと16倍です。

恐ろしく差がありますね。でも、ある種の営業の世界では、
実際にこのレベルの差がある例はあるそうです。



私自身の経験でもあります。私の場合は、
新製品を開発する仕事がこの法則に当てはまっていました。
(自動車関係の製品です。)

ある日、ふと思って、製品の売上をカウントしてみました。

約20人の開発グループの中で、ある3人が開発した製品の
売上をカウントしていくと、売上の約80%になっていたのです。
20%以下の人数が80%の売上を生み出したことになります。
(幸いにして、私はその3人の中に入っていたので、何だか
 ほっとしました・・・。)



こんなふうに、80:20の法則に従って、生産性に恐ろしく差が
出てしまうことは実例があります。



しかし、これを読んでいる方の中には、「1人当たりの生産性が
16倍も違うはずがない!」と思う方もいるはずです。

実は、私もそう思います。ある条件下、では16倍の差はつきません。
その条件とは・・・

例えば、

  ファミレスのウェイターや、マクドナルドの店員では、
  16倍の売上げの差は絶対につかないでしょう。

  瓦葺き職人が1日に葺くことのできる瓦の枚数にも、
  16倍の差がつくことはないでしょう。
  (技術や精度には16倍の差があるかもしれませんが。)

  事務処理的な仕事もそういう傾向があります。
  3倍、4倍の差がつくことがあるかもしれませんが、
  普通の人の16倍できる人はおそらくいないでしょう。
  
  ※ダメな人と比較して16倍ではなく、普通のそこそこ
   できる人の16倍だということに注意してください。


これらの仕事は80:20の法則が当てはまらない仕事の例です。
(他にもたくさんあると思います。)

そして、このような、人による差がつきにくい仕事では、
「重要な20%に集中すれば、80%の成果が得られる」とは
言えないのです。

 ※もし、言えるのならば、重要な20%に集中する、
  「スーパー20%」が必ず現れるはずですから。



では、なぜ仕事の種類によって、80:20の法則が適用できたり、
できなかったりするのでしょうか?


ここに、とても重要なヒントが隠されているのです。


実は、さっきの「差がつきにくい仕事」の例には、
ちょっとしたトリックがあります。

瓦葺き職人の話です。

  普通の職人の16倍の速さで屋根を葺く職人は、
  おそらく存在しないでしょう。

  しかし、普通の職人の16倍の収入を得る職人は
  いるかもしれません。



これがヒントです。


次回は、この答えとともに、私が考える80:20の法則を
本当に活かすためのポイントについて述べたいと思います。


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Posted by 水口和彦 at 22:44│Comments(0)TrackBack(0)

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