2005年09月03日     このエントリーをはてなにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマーク

明後日買いにいきましょう!・・・日経ビジネスAssocie


日経ビジネスアソシエ0920号.JPG

今回は、日経ビジネス Associe  2005年9月20日号(日経BP社発行)に
興味深い特集があったので紹介します。
時間管理・タイムマネジメントとは直接関係ありませんが、
 仕事のやり方として、参考になると思います。)


この号では、『最強の書類術』と題して、書類作成に関する特集が組まれています。
(この号が書店に並ぶのは来週月曜から火曜ぐらいだと思います。)


まずは、ビジネス文書に関する、上司と部下へのアンケートがあります。

上司は、部下の文書に対して、『結論が分かりにくい』ことに困っていて、
部下は、文書について注意されたこととして『レイアウトが整っていない』
を1位に上げています。(同 24ページより)

記事の中では、このアンケート結果について、『上司と部下、意識のズレ深刻』
とまとめられていますが、私は設問の仕方に問題があったのでは?と思います。
(上司と部下への質問が、対応していないのです。)

それはともかく、面白いアンケートなので、一度見てみてください。


それ以外にも、多くの記事があるのですが、この中で、『トヨタ式文書』と題して、
A3サイズ 1枚で書類を作成する方法が紹介されています。

  私が自動車部品の設計をしていたときにも、A3サイズ1枚の資料はよく作成
  しました。A3で1枚にまとめて、それに補足としてA4サイズのデータ集を付ける
  というスタイルです。

この形式は、自動車業界に限らず有効な手法だと思います。
話の筋道がちゃんとしているビジネス文書は、たいていA3サイズ1枚にまとまる
ものです。まとまらないと感じるときは、たいてい内容が良くないのです。

また、1枚で全体をまとめるという制約によって、話の筋道にムダが無くなるという
効果があると思います。

こういうスタイルを使ったことがない方には、この記事は一見の価値ありです。
是非一読をおすすめします。

(ちなみに、この号はCD-ROM付きとなっていますが、内容は、記事中に出てくる
 フォーマットがPDFファイルになっているものでした。Excel等が使える方は、
 自分で作ったほうが便利だと思います。)





※ 以下は、この雑誌を読む方が誤解するといけないので書きました。
   この雑誌を読まない方は読み飛ばしていただいて構いません。



と、『トヨタ式文書』記事をほめましたが、ちょっと意見を言いたいところもあります。

記事では実際の仕事の改善案についての文書例と、添削指導が載っています。

確かにこの文書はイマイチの出来映えですが、添削例もあまり良くありません。


この文書は、『目的』『現状把握』『要因解析』『対策』『実行スケジュール』
の5項目で構成されています。(同 30ページより)

それぞれの項目について、「ここはもっとこう考えるべき」という
感じの添削があります。
しかし、私はこの文書には、もっと根本的な間違いがあると思います。

そこを直さない限り、決して結果は得られません。また、そこを直して
もう一度考え直せば、かなりレベルが上がるというポイントがあるのです。


そのポイントは、この文書は、『現状把握』と『要因解析』がごっちゃに
なっているところなのです・・・ごっちゃというか、ほとんど逆転しています。

『現状把握』は、あくまでも定量的なデータや、客観的事実によるものでなければ
いけません。その上で、『要因解析』で、その要因になっているものを洗い出したり、
仮説を立てて検証していくのが、本来のやり方です。

それが、この雑誌の中の文書では、『現状把握』のところに、書き手が要因と
考えていることが書かれており、『要因解析』のところに、事実(データ)が
書かれているのです。

これは、
現状「把握」だから、全体の傾向を見る、
要因「解析」だからデータに基づいて書く、
と考えてしまったのでしょう。明らかに初歩的な勘違いです。

本来は、
「現状」把握は、現状の事実に基づく内容になるべきですし、
「要因」解析は、原因を調べる・考えるという内容であるべきです

※「要因解析の部分はデータで示せ」というのは、大きな間違いです。
 トヨタが得意としている「5なぜ解析」のように、定量的データではない
 要因解析手法を使うべき場合もあるのです。


ここを間違えると悲惨なことになります・・・。というのは、

次の、『対策』は、『要因解析』の結果や仮説に対してなすべきものです。
もし、『要因解析』の内容がずれていたら・・・ピントのずれた対策案しか
出てこないのです。

ですから、私はこの『現状把握』と『要因解析』の逆転は致命的だと考えます。
こんな文書を見たら、まずこの点を指摘して、改めて考えさせるのが、本来
指導すべきことだと思います。

実際に、この文書の『対策』は、書き手の思いつきで書かれています。この
『対策』を打っても、実際に問題が解決できるかどうかが、まったく見えません。


もし、トヨタ自動車の社員に、こんな論法で攻めたら・・・
悲惨な結果が待っていることを、私が保証しましょう (^_^;)
(私は技術系の方しか知りませんが、どの方も文書の読み方はシビアでしたよ。)



蛇足かと思いましたが、せっかく良いテーマを取り上げていたので、
読んだ方が勘違いしないように、この解説を書いてみました。
興味のある方は、この雑誌を見て、どこが悪いのか考えてみてください。




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Posted by 水口和彦 at 23:12│Comments(0)TrackBack(0)

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