2006年11月27日     このエントリーをはてなにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマーク

「罪を憎んで人を憎まず」 ではダメ! という話


こんにちは。水口です。

昨日の記事でも書いたように、私は、手順やルールを作ることが、
仕事の生産性を高めるために役に立つと考えています。

手順やルールというのは、仕事の「やり方」 や「仕組み」 ということです。
ホワイトカラーの仕事でも、「やり方」 や「仕組み」 が重要なんです。


今日は、それに関連して、「罪を憎んで人を憎まず」 の話です。

「罪を憎んで人を憎まず」 ・・・ いい言葉ですけど、
仕事の仕組みを考える上では、これでは不足しているんです。


■ 「人」 を憎むとどうなる・・・?

例えば、仕事上のことで、何か問題が発生したとします。

あなたが管理職で、部下を持っています。
そして、その部下の失敗で問題が発生したケースを考えてください。


この場合、部下が失敗したことに対して、

「なぜだ!」 「なぜ言ったとおりにできないんだ!」
「しっかりしろ!」

と叱責すれば、自分の怒りはおさまるかもしれませんし、
管理監督の義務を果たしたような気もします。

これは「人」 を責めている例ですね。

これは、同じ失敗を再発させないという観点で見ると、
あまり効果がありません。

正確に言うと、ある程度の効果はありますが、長続きしません。
 (もちろん、部下のメンタル的にも良くありません。)

当事者は、「次からは気をつけよう」 と思いますし、
周りも「自分も気をつけよう」 と考えます。

これは、なかなか長続きしないものですし、
逆に萎縮しすぎて力を発揮できなくなる場合もあります。

管理者として「人」 を責めるのは、ストレス解消には良くても
(周りはよくないですが・・・(笑) ) それ以外にあまり良いことはありません。

   ※ ただし、これは「失敗」 についての話です。
     悪意があって「悪さ」 をする人に対しては、
     厳しい対応を取るべきなのは、言うまでもありません。


■ 「罪」 を憎むとどうなる・・・?

では、問題や失敗が起こったときに、
「人」 ではなく、「罪」 を憎むとどうでしょうか。

「人」 ではなく、それが起こった状況、起こった原因に
ついて、見ていくわけです。


何か失敗が起こる場合には、必ずその原因が存在します。

そして、「今回こんな問題が起こったから、次からはここに気をつけよう」
と周知徹底させることは、それなりの効果があります。

しかし、次にまた別の問題が起こり、さらに別の問題が起こり、とくり返していくと、
そのうちに「気をつけないといけないこと」 だらけになってしまいます。


「○○に気をつけろ」 「□□に気をつけろ」 ・・・ と、
気をつけることばかり増えていくのは、手かせ足かせを増やすようなものです。

「気をつけないといけないこと」 が増えるほど、ストレスが高くなりますし、
古いものから順に、風化していきます。

そして、忘れた頃にまた同じ問題が起こるのです。

  ※ 余談ですが・・・
    これと似ているのが、「自己啓発マニア」 的な人です。
    本を読んで「これはいい」 「これをやろう」 と思うのはいいとしても、
    次から次へ新しいことを聞いたり読んだりするうちに、古いものから
    順に風化していってしまいます。これでは、自己満足に過ぎません。
    (もちろん、「何もしない」 よりはマシだと思いますが・・・。)


■ 「罪」 を憎まず、「やり方」 を変えること

「罪を憎んで人を憎まず」 という考え方は、
「人を憎む」よりも前向きな考え方です。

しかし、「罪」 の部分(起こった問題や失敗) にフォーカスすると、
「○○に気をつけよう」 「次はしっかりやろう」 と考えてしまいがちです。

これは、仕事のやり方でもそうですし、実は時間管理でも同じですが、
「気をつけよう」 は長続きしないものだと考えてください。

「気をつけよう」 ではなく、「やり方をどう変えるか」 と考えるべきです。

そういう意味で、「罪を憎む」 のは、良くないんです。
「罪」 も憎まず、「やり方」 を変えるべきなんです。


失敗が起こる場合、そこには必ず原因があります。
そして、その原因は仕事の「やり方」 の中にあります。

もちろん、同じ状況でも、失敗する人としない人はいます。
危険な状況を察知して、気をつけることが出来る能力には
個人差があります。

こうした能力が高いに越したことはありませんし、こうした能力を
高めるよう、継続的に教育していくことも重要です。

しかし、問題が起こった場合、仕事の「やり方」 や「仕組み」 を変えようとする
視点が無ければ、またいつか同じことをくり返す可能性が高いんです。

  (ちょっと余談的な話です)
  時間管理の場合は、もっと悲惨です。

  「○○に気をつけろ!」 「□□を考えろ!」 ということばかりの
  時間管理は、忙しくなって注意力が落ちたときに問題が起こります。

  一番時間管理が必要な忙しいときに、問題が起こりますから、
  たまったものではありません・・・。



「罪を憎んで人を憎まず」 よりも、

「人を憎まない」、「罪も憎まない」、その代わり「やり方」 を変える

という考え方が重要です。


そして、この考え方は、「人」 の場合だけでなく、
「自分」 の場合も同じです。

「時間管理や自己管理でうまくいかなかったときに、
 自分を責めないでください。」

ということを、私はあちこちで書いたりしゃべったりしていますが、
それには、こういう意味があったんです。


「時間の使い方がうまく出来ない」 と感じている方は、自分を責めるよりも、
自分の「やり方」 を具体的に変えてみてください。

・手帳を使っていないなら、手帳を使ってみる

・手帳を使っているなら、使い方を変えてみる
 (メルマガや本で書いたように、「手帳は常に開いておく」というのが
  とても効果的です。「すぐ書く」「すぐ見る」ための工夫です。)

・手帳がうまく使えないなら、手帳を変えてみる
 (もちろんPROFETもおすすめです。)


昨日の記事の「決める・守る・直す・守る」 にもつながる話です。)



この話は、仕事(というか・・・生き方? ) 全般につながる話で、奥が深いです。
今日はここまでとしておきまして、また機会を見つけて考えてみたいと思います。

今日の話に、何か感じるところのあった方は、
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今日の記事作成時間は、65分でした。



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Posted by 水口和彦 at 07:24│Comments(0)TrackBack(0)

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