「指導」だけで済ませてはいけない
こんにちは。水口です。
今日こんなニュースがありました。
Yahoo!ニュース - 毎日新聞 - 福知山線事故 ブレーキ遅れ「気が緩む」 JR西が説明会
そうです。一昨年に起きた脱線事故の話です。
この話は、職場でのルールや問題発生時の対処方法、スキルの共有化、
管理者と実務担当者の関係などなど・・・、働く立場、管理する立場の
両方の人が考えなければいけない問題が含まれています。
■ 機械的な歯止めと、人の指導・教育
この記事にもあるように、
・新型ATS(列車自動停止装置)があれば事故は防げた
わけです。
これは当たり前といえば当たり前の話です。多くの乗客の安全にかかわること
ですから、コストをかけてでも、事故が起きない(事故を起こしようがない)仕組み
を作るべきだった、と言えるでしょう。
それはそれで置いておいて、今日は「人」について考えてみます。
福知山線の事故についてはいくつかの人的要因があったと推定されています。
(『』内は引用。改行を追加しています)
『JR西は、事故調が指摘した
(1)伊丹駅でのオーバーランを報告する車掌と指令員の無線交信に
注意を払っていた
(2)日勤教育を懸念した
(3)車掌らの交信内容をメモしようとした
の3点に加え、
大幅に短い距離を車掌が報告したため動揺した
過少申告に安心して気が緩んだ
と、個人的要因を重視した五つの可能性を加えた。』
と説明されています。
この説明、言い訳っぽいと感じませんか?
「なぜなぜ解析」的には、こんな原因調査では落第です。
本当は、もっと源流にさかのぼって原因を探すべきです。
例えば、ちょっと信じがたい話ですが、 (『』内は引用です)
『 JR西では、17年9月〜昨年12月までの間に約2400件の
オーバーランがあり、他のJR各社より多い。』
『 事故が起きた福知山線でも主に4、6、7、8の4種類の車両編成があり、勘違い
しやすいことに加え、ブレーキをかける位置は「体で覚える」(JR西関係者)よう
指導されているだけでブレーキポイントもなく、運転士任せにされていた。』
という話もあります(この記事↓からの引用です)。
「オーバーラン多発…ブレーキ地点設置、JR西に勧告へ 事故調」
■ 本当の要因は?
すごく簡単にまとめてしまうと、事故の要因として、
「問題が起こったときの対策は、すべて運転士任せにしていた」
という体質が挙げられると思います。
例えば、普段からオーバーランが多いことの原因をさかのぼっていけば、
運転士が経験だけで対処している事実や、ちょっとした勘違いでミスする
ことがあるという事実は、必ず見つけることができたはずです。
そして、その対策として、ブレーキポイント(標識)を設置したりすることも
可能だったはずです。ATSを設置するほどのコストはかかりませんから、
やればできる話です。
そうできなかった最も大きな理由は、運転士への指導や教育を行うだけで
よしとする発想そのものにあったと見るべきでしょう。
■ 製造業での例
こういう部分では、製造業の方が考え方が進んでいます。
もし、製造業で問題が起こったとして・・・、
(例えば、「不良品を気付かずに出荷してしまった」という問題)
その対策として「作業者に厳しく指導します」 という案を報告したら、
社内からも顧客からも、怒りをかうのは間違いありません。
製造業での再発防止の考え方はこうです。
・人に頼るだけでは、必ずいつか同じ問題が再発する
・本当に有効な再発防止は「仕組み」「やり方」を変えること
理想は、その問題自体が起こり得ない設備や作業方法にすること
作業者の負担を増やす方向で対策する場合には、本当にその方法で、
問題ないか充分検討する
(むやみに負担を増やすと、別のミスが起こることもある)
こういう発想があれば、標識設置のアイディアはすぐに出てきますし、
それを実行に移すことのメリットも充分理解できたと思うのですが・・・。
■ 「指導」だけで済ませることの弊害
「問題が起こったら、その対策として担当者に指導する」
というのは、どこの職場でも行われていることです。
それがすべて間違いというわけではありませんが、
「指導した」ことで「対策完了」と考えてしまうのは問題です。
本当は、仕事の「仕組み」を見直さなければいけないのかも
しれないからです。
というのが、この話の主旨でした。
また、指導にも上手い下手があります。
例えば、仕事の納期がいつも守れない部下に対して、
(ようやく時間管理に関連した話になってきました (笑) )
「ちゃんとやれ!」「計画的に仕事しろ!」というのは、簡単です。
しかし、これでは怒った上司は「指導してやった」という気に
なったとしても、本当に効果があるかは疑問です。
しばらくは大丈夫でしょうが、必ず同じ問題は噴出します。
また、「しっかりやれ!」と怒るのは、起こる側の自己満足に過ぎない
場合もあります(怒ることで対策ができたという錯覚を招きます)。
で、要注意ということです。
本来ならば、「なぜ失敗したのか?」という原因を探り、
「仕事のやり方」を具体的に変えなければ、恒久的な効果は得られません。
具体的には、
・ 自分の時間やタスクを管理していないなら、管理させる
・ 管理しているはずなのにうまくいかないなら、やり方を変える
といったことです。
これに気付かせること、そして行動を変えさせることも、
本来は管理監督者の役割なのです。
異論はあるかもしれませんが、私はそう考えます。
(そう考えると、上司であることって、実は大変なことです)
まあ、実際これができていない上司が山ほどいる
という現実も、一方ではありますけどね・・・。
■ まとめ
「指導した」だけでは、対策にはならない
具体的なやり方を変えることが重要
という教訓が、この事故(JR西日本の体質)からも
見てとれるのではないでしょうか。
そして、私が常々感じるのは・・・、
同じ病が、ホワイトカラーの職場にも蔓延しているということです。
「宝くじ」の本は、この手の本としては、具体的な方策を多く散りばめています。
これも「具体的なやり方を変えよう」というホワイトカラーへの提案なんです。
この福知山線、私もよく利用していましたから、
事故の話はショックでしたね・・・。
なんてことを思い出したりもしました。
というわけで・・・、
「やばいな」と思った上司の方も、
「多分大丈夫」と思う上司の方も、
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今日の記事作成時間は、90分でした。
(ちょっと長いですね)
では、また明日!


Posted by 水口和彦 at 23:56│Comments(0)│TrackBack(0)
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