2007年09月25日     このエントリーをはてなにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマーク

「日本のサービス業の生産性は低い」はウソでした。


こんにちは。水口です
今日は本の話題です。

ん・・・? これは本と読んでいいのかな?


■ 「労働生産性の国際比較」

「日本の製造業の生産性は高いのに、
 日本のサービス業の生産性は低い 」

と言われることがあります。

その根拠になっている「労働生産性」として、
よく使われるのは「1人当たりGDP」です。

↓この資料の4ページを見ると・・・
労働生産性の国際比較2006年版プレスリリース

2004年の製造業の労働生産性指数は15.4%向上(2000年比)
2004年のサービス業の労働生産性指数は0.7%向上(2000年比)

となっており、これが

「日本の製造業はがんばってる。日本のサービス業は生産性が低いまま」

という印象を与えます。

これについて、もう少しくわしく知りたかったので、
上のプレスリリース(抜粋)ではなく、原本を入手してみました。

こちらです。
amazon
労働生産性の国際比較〈2006年版〉 (生産性研究レポート)
(amazonでは現在在庫切れです)

しかしこれ、A4サイズ102ページで4,200円。高いぞ・・・ (笑)


■ 「日本のサービス業」の生産性は低い・・・はウソ

それはともかく、これを見ていると、
上の指摘がウソであることが分かってきました。

・日本の労働生産性が振るわない・・・ これは事実(30カ国中16位)

 ※ 購買力平価の適用の仕方に問題があるという指摘もあるのですが、
    ここではその話は置いておきます。


・「日本のサービス業」の生産性が低い・・・ これはウソ

  日本のサービス業の生産性が低いというのは事実です。
  しかし、本当は他の国でもサービス業の生産性は低いんです。

  ですから、サービス業の生産性が低いのは日本だけのような
  印象を持たせると、それはウソになってしまいます。


  それを表す数字がこれ↓です。
  全産業ベースの労働生産性を100とすると・・・

  日本は 製造業 116%  サービス業 78%
  米国は 製造業 108%  サービス業 69%

  となっているのです。
  (サービス業は他の国もほとんど70%台です)
  また、伸び率で見ても低いです。

  結局、どの国でもサービス業の生産性は低いのです。
  (製造業が強いとか、金融が強いとかは、国によって違いますが、
   サービス業に限っては、どの国も全産業平均の70〜80%なんです)


というわけで、

「日本の製造業はがんばってる。しかし、日本のサービス業は生産性が低いまま」
というのはウソなんです。

ウソは言い過ぎとしても、かなりの印象操作になります。

(上記のプレスリリース自体が、そういう結論を導きやすく
 作られている・・・といったら考えすぎでしょうか? )

とにかく、本当はどの国でもサービス業の生産性は低い。
この事実を隠すのは、フェアじゃないですよね。


なぜサービス業の生産性が低いのか、という点については、
色々考えられる要素があります。

  例えば、
  ・ 製造業は規模の大きさによる優位性が大きい
    (開発費の面でも、設備投資の面でも)
  ・ サービス業は規模の大きさによる優位性は小さい
    (だから、比較的新規参入がしやすい。過当競争にもなりやすい)

  のような理由で、サービス業はより厳しい価格競争になりやすい
  とも考えられます。

それ以外にも構造的な原因があると思いますが、
この辺の話はちょっと置いておきましょうか。


■ 結局、労働生産性は分かりにくい

また、そもそも労働生産性がGDPで計れるのか?という疑問もあります。

いくら能力が高い人が働いていても、お客さんがこなければGDPは上がらない
わけですから、一人当たりGDP=「労働者の生産性」と見てはいけません。
(広義の「生産性」として、会社の戦略も含めて考えるべきものです)


結局、業種や業界ごとの生産性を比較するなら、両方の世界を
見た人の意見を聞くしかないのかな・・・という結論になりますね。

  私は「 宝くじを買う人は、仕事ができない」の前書きで、
  製造業とホワイトカラーの生産性について触れています。

  ここで「ホワイトカラーの生産性はもっと上げられる」と
  言い切っているのは、私が「製造業のホワイトカラー」として
  両方の世界をよく見てきたからこそ断言できたことなんです。

また、現状の生産性が高い・低いという議論をするよりも、
生産性を上げられる余地がまだ残っているかどうか?
という見方をするべきなのかもしれません。



なんでこういう話をしたかというと・・・、

こういう「日本のサービス業の生産性が低い」というような話は
ひとり歩きしやすいものです(特にネットの上では)。
ですから、反論をネット上に置いておくことが必要だと思うんです。
それもあって、書かせて頂きました。



今回は「いろんな人が言っているから」「広く言われているから」
必ずしもそれが事実とは限らない、ということを実感した出来事でした。

いつでもクリティカルな目を持っておかないと・・・ とあらためて思いました。


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今日の記事作成時間は45分でした。

では、また明日!


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Posted by 水口和彦 at 23:54│Comments(1)│TrackBack(0)

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Posted by マルコ at 2007年09月26日 15:48
 

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