時間管理についてのひとりごと−3 「理にかなう」ということ
こんにちは。水口です。
今日は、時間管理についての「ひとりごと」話です。
■ 「誰でも簡単にうまくいく方法なんてない」という主張をする人の話
先日、あるブログを読んでいて「これはちょっとないよなあ・・・」と
思ったことがありました。
少し批判的になってしまうので、どのブログかは申しませんが、
話の主旨をざっくりとまとめますと、
・ある詐欺事件の話題に関連して・・・
怪しい投資話にお金を出してしまう人がいる。
なぜだまされてしまうのか?
↓
・それは、「楽して儲かる方法がどこかにあるかも」と、
心のどこかで信じている部分があったのでは?
↓
・そういう「簡単にうまくいく方法さえ教えてもらえばうまくいく」と
いう期待は、私たちの中にあるのでは?
↓
・ビジネススキルも同じ、「誰でも簡単にうまくいく」というノウハウが
どこかにあるのではないか、という期待が私たちにも少しはあるのでは?
↓
・でも、本当はそんなものはない。
たくさんのことを知り、学んでいくことが大事。
たくさんの方法を学び、実践して自分で選んでいくしかない。
という話です。
この話について、私の意見を言うなら・・・
反対8割・賛成2割という感じでしょうか。
賛成の2割は、いわゆる「成功法則」にとりつかれたように
学び続ける人への警鐘として有効だからです。
しかし、上記の主張に対して、私は基本的に大反対です。
「誰でも簡単にうまくいく」という方法は実際にあるからです。
■ 「誰でも簡単にうまくいく方法」はある。という話
「誰でも簡単にうまくいく」という方法は実際にあります。
もちろん、それは魔法のようなものではありませんし、
ごまかしでもありません。
ただ単純に、「理にかなった方法かどうか」という違いだけです。
一例をあげてみましょう。
「トヨタ生産方式」のひとつに、「かんばん方式」と呼ばれる手法があります。
(JIT:ジャスト・イン・タイム生産の基本の手法です)
「かんばん」と呼ばれる札を、現品に添付し、
それを運んだり、使ったりするときに、そのかんばんを外して
指定の置き場に置く。
↓
外れたかんばんを元にして、物を運搬したり、作ったりする
という動作が元になっています。
詳しく知りたい方はこちらのページを見てみてください。
(工程間で使うかんばんには2種類あって、その流れが図示されています)
トヨタ自動車:企業情報 > ビジョン/フィロソフィー
パッと見は複雑そうに見えるのですが、実際に運用している現場を見ると、
とてもシンプルです。
この仕組みのキモは、各場所で作業する人が、決まった手順で作業している
だけで、確実に運用されていくことにあります。
(誰かが集中管理する必要はありません)
それでいて、工程間の在庫量は一定の範囲にキープされる仕組みです。
在庫が増えすぎることもなければ、在庫が切れて困ることもない。
在庫管理と生産計画を兼ねそなえたシステムです。
これは非常に理にかなっています。
逆に、「かんばん」を使わずに、工程間の在庫管理をしようとすると大変です。
例えば、誰かが毎日在庫を確認して、表に記録していくとか、
あるいは在庫管理専任の人をつけて管理するとか・・・
そういう、手間やお金がかかるやり方にどうしてもなりますし、
チェックもれなどのトラブルが発生する危険性も高いです。
このように・・・、
この「かんばん」を使うという発想は、生産管理・在庫管理という目的を
達成するためのとても大きな「ブレイクスルー」です。
そして、「かんばんを使う」というノウハウは、間違いなく
「誰でも簡単にうまくいくノウハウ」のひとつです。
もちろん、魔法でもなんでもなくて、理にかなった手法であると
いうだけの話ですが。
(逆に言えば、従来のやり方は理にかなっていなかったということです)
こんなふうに、「理にかなった手法」とそうでない手法の差は
明らかに存在します。
「理にかなっていない手法」をいくら組み合わせても、
「理にかなった手法」には絶対に勝てません。
(また、「部分最適」の積み重ねが「全体最適」として
正しいとも限りません)
そういう意味では、「誰でも簡単にうまくいくノウハウ」というのは
従来の問題点を合理的に解決した手法のことなのです。
(そして、部分最適の積み重ねではなく、全体最適になるような
ブレイクスルーを含む手法です)
話としては、とても単純です。
「誰でも簡単にうまくいくノウハウなんてない」という主張は、
浅薄すぎると思います。
「ブレイクスルー」なんて無い、と言っているようなものです。
そもそも、そういうブレイクスルーの否定は、
人類の科学史や産業史を否定することでもあるのですから。
【補足の・・・ぼやき?】
もちろん、「誰でもうまくいく」と称するノウハウの中には
理に「かなっていない」手法もたくさんあるというか、
それが多数派である。という現実もあります。
それはそれで問題なんですけどね・・・
【おまけ:トヨタ生産方式 豆知識 】
・ すでにお分かりではないかと思いますが・・・
「かんばん」方式は超多品種少量生産や受注生産の場合には使えません。
あくまでも工程間に在庫を持つことを前提としたものです。
・ よく、「カンバン」という表記も見かけますが、「かんばん」が正しい表記です。
カタカナで書くと本当の「看板」と間違えられます(← それはないか・・(笑) )
「時間管理についてのひとりごと」 前回までの内容はここに↓
時間管理についてのひとりごと−1 計画は過去の産物?
時間管理についてのひとりごと−2 時間管理のやり方とネーミング
従来の手法の問題点を、
従来よりも簡単な手順で解決する。
そういうノウハウにこそ、私が惹かれるような気がします。
(時間管理以外でも)
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今日の記事作成時間は65分でした。
では、また明日!


Posted by 水口和彦 at 23:51│Comments(0)│TrackBack(1)
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なんかどこぞのブログで「誰でも簡単にうまくいく方法なんてない」と書かれていて、それに部分的に反論しているようなのですが、その“反論”部分...
簡単な方法・・・?【電気鼠】at 2007年10月08日 01:59
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